映画「美しき諍い女」物語編(9)
「庭に出ていましょう。」
「いい庭だ。」 「私が造ったの。前はジャングルのようだったのよ。何だっけ,キョウチ...」 「キョウチクトウ。」
「そう,キョウチクトウで一杯だった。彼に任せていたら今でもそのままよ。」(注1)
「マガリ,借りてもいい?」 「ダンスの稽古です。」 「残念ね。」
「主人,見なかった?」 「いいえ,アトリエでは?」 「まさか。」
「忘れたんでは?」 「ありえるわ。」
「めったにないけど,ひとつに集中するとほかを忘れる性質なのよ。」
「まずい時に来た?」 「そんなことない。」
「ねえ,バルタザール,ひとからヒ素の石ケンを貰っちゃったの。
害虫用だけど,手で触って平気?」
「前は何を?」
「DDTと石鹸の混合液。」
「それでいい。砒素のは捨てろ。」
「でも,昔の...
「君が黒い舌で倒れているのを見たくない。」
「なぜ?」
「指を舐める癖さ。」
「あら,何してるの?」
森番か庭男か,ドラキュラか? いやこの城の主人である老画家がやっと登場。
手には狩の成果と見られるウサギをぶら下げている。
注1:夾竹桃は有名な毒草である。
















