「美しき諍い女」予告編
今回はカンヌ映画祭でグランプリを獲得したジャック・リヴェットによる「美しき諍い女」をお送りしたいと思います。これはもう大家の域に入ったと言われている画家が昔断念した題材を新たなモデルを得て,それに闘争を挑むという作品です。闘争は画家だけでなく,モデルをはじめとして,昔断念した方の絵のモデルであった今の妻,その妻のかつての恋人で現在画商としてこの大家を買っている男,そして新しいモデルの現在の恋人で駆け出しの画家である青年の間で繰り広げられます。また,ゴダールと並んでカイエ・デュ・シネマの中心人物だったジャック・リヴェットはシナリオを一切書かないことで知られる気鋭の監督でもあり,また実際の絵を描いているのが本当の画家であるベルナール・デュフォー(絵の進行はクロノロジカルに辿られている)であるという,関係者全員の間の真剣勝負でもあります。日本で公開時にはヘアが見えるか見えないかという低次元の話題が起こったのは,まことに見当違いであった,という他はありません。さらに言えば,それを撮影するという立場にいるカメラマン(ウイリアム・リュプチャンスキー)も勝負に加わっている(カメラマンは画家と同族ですから)と言えるかと思います。
そしてもちろん,観客も。
戦場 戦士達