映画「1984」:(11) ビッグブラザーを愛するようになるまで(3)
「ニュースピーク辞書」の第10版だ。
しかし,中扉を触ってみると,それは二重になっており,内側に書いてあった本当のタイトルは,
エマニュエル・ゴールドスタイン著「寡頭支配による集団主義の原理と実践」であった。
テレスクリーンでは敵であるイースト・エイジアとの戦争に向けたアジテーション演説が続けられていた。
-暴虐を尽くすイースト・エイジアに死を!
人々は口々にビッグブラザーを讃えている...
- ダブルスィンクの原理に従えば、戦争が事実であるかどうか、
何時それが起こるかは問題ではない。また勝利というのは本来的に不可能である。
戦争の意義は継続にある。近代戦における本質的な活動とは人間の労働により産み出されたものの破壊である。
階層的な社会は貧困と無知を基盤とした場合にのみ可能となる。
原則として、戦争行為は常に社会を飢餓の淵に立たせるように計画しなければならない。
戦争は専ら主体(自国のこと)に反対する支配的グループ(敵のこと。探偵注)の側が引き起こすものである。
そしてその目的はユーレイシアやイーストエイジアに勝利することではなく、自分たちの社会の構造を緊密に保つことである。


目が覚めたかい?
なんだかお腹がすいたわ。コーヒーでも入れ直しましょ。
お湯が冷たくなってるわ。変ね,石炭も沢山あったはずなのに。
窓の下ではプロレタリアのおばさんが歌を歌いながら洗濯物を干していた。
They say that times heal all things,
They say you can always forget
But the smiles and the tears across the years
they twist my heartstrings yet. (注1)
「おばさんの腰まわりはゆうに1メートルはあるわね。」
「でもそれが自然な美しさなんだ。未来は彼女達の側にある。」
「私たちは死者だ。」
そのとおり,お前達は死者だ。そのまま動くな!
「私たちはどこからか見られているわ。」 「その通り,お前達は包囲されている。」
突然,壁の絵が落ちて中からテレスクリーンが現れた。ビッグ・ブラザーがこちらを睨みつけていた。

「手を頭の上で組め。部屋の真ん中で,背中合わせに立て。」
窓が破られてソート・ポリスが侵入してきた。ソート・ポリスはドアからも入って来た。
「私たちはさよならを言った方がいいみたいね。」 「その通り,お前達は別れの挨拶をする必要がある。」
珊瑚を封じ込めたガラス玉を見つけた兵士は,それを無造作にゴミ箱に放り込んだ。壊れた珊瑚が床に落ちた。
ジュリアの側に回ってきた兵士がいきなりジュリアの下腹部を力任せに殴りつけた。
そしてジュリアを担ぎ上げるとドアから出て行った。入れ替わりに男が現れた。
「それを拾っとけ。」
アンティーク・ショップの主人はソート・ポリスだったのだ。
ウィンストン・スミスの意識は遠のいて行った...(続く)
注1:時がすべてを癒すと言うけれど,
人は忘れることができると言うけれど,
微笑みや涙は何年も続き,私の心の糸が縒り合わされて行く...
(イスラエルのフォークソングより)。








































































