コンドル(12)
でも簡単に受け入れるわけにはいかない。
小声で言う。「かってだわ」(“Unfair”)
ターナーにもそれは分かっている。短い時間で説得できるような問題ではない。
ターナーは改めて部屋の中を見渡し,今度は女に質問した。
「あのシャツの持ち主はどこだ」
「スキー場よ。グリーン・マウンテンの。クロスカントリーをする予定よ。すべてを忘れて約2週間。」
ターナーは男がスキー場に先に行っていることを確認すると共に,彼女にとっての,おそらく最後のチャンスを奪いつつあることを感じた。信頼し切れていはいない男ではあるが,やっとその話に乗ってみようかと決心した矢先。その約束を破れば,もうこの女に幸せは巡ってこないだろう…
「出発は40分後か。6時のニュースまで休みたい。」
ターナーはソファー・ベッドの方に女を連れて行くと壁に背を向けて横になるよう,命じた。
「お願い,やめて」
怯える女の横にターナーは身を寄せ,拳銃突きつけながら言う。
「いいな,よく聞け。私は疲れた。すこし眠りたい。頭を休めたいんだ。動いたり,ベッドから離れようとすると感じで分かるから,君を撃つぞ。」
「向こうの部屋に行かせて」
「だめだ」
「あなたの話を信じる」
「無理だ。自分でも疑っている」
こんな形ではあるが,ターナーは女にぴったり身を寄せてしばらく眠った…(40分後にまたお会いしましょう。探偵)