誰が為に鼻は高い | 映画探偵室

誰が為に鼻は高い

あまりにも有名な場面なのでご記憶の方も多いだろう。「キスするとき鼻は邪魔にならないの?」と坊主頭から毛が生え始めて間もないイングリッド・バーグマンがアメリカから来たレジスタンス義勇兵士のゲイリー・クーパーに言うシーンだ。(日本で)封切り当時,鼻が高いことを鼻にかけやがって,と嫌味を言ったヒトがいたようだが,こんな質問をした理由を理解すればこれはとても哀しい言葉だと言うことが分かるはずだ。そんなヒトにはその後の台詞も理解できなかっただろう。

クーパー「同じことをしてもいいのか?」

バーグマン「Yes, Yes]

ヘミングウェイが最後には猟銃で自殺した理由はこの映画にも少し出てくる独白に隠されている。あまりにも重いことなのでここでは深く語る積りはない。映画は結局その人が観た通りでしかないから。

前にも書いたアンソニー・クインの演じた「老人と海」では,創作に行き詰ったヘミングウェイが「作家」として登場する。その作家も,老人もヤンキースのジョー・ディマジオのスランプに心を傷めている場面では,男の苦悩について考えさせられる。