実際に見た風景
はるか昔ヨーロッパの各地を放浪して歩いたことがありました。その時いつも頭にあったのは映画で観た場所,風景でした。
その一つに「禁じられた遊び」の中に出てくる農家があります。ヒッチハイクの途中,あの映画と同じような造りの農家の納屋にその夜の宿を借りたのです。最初はぶっきらぼうで粗野な印象を受けたのですが,異国の見知らぬ青年にそのような機 会を与えてくれたことは,実は気持ちの暖かさなのだと,あとでしみじみと思いました。「禁じられた遊びで」は二人の子供が十字架ごっこをしている後ろで若者が藁にまみれてイチャついていますが,僕はその納屋で暖を取ろうとして藁に火をつけ,農家の主人にひどく説教されたのでした。
僕は,「ヘッドライト」でフランソワーズ・アルヌールが死んでしまったのはこの辺り(中部から南部)の農家ではないかと想像しています。「ヘッドライト」の長距離トラックのルートは僕がヒッチハイクをしたルートそのものでした。今も映画をみるたび,闇に浮かんでは消える道路標識をなつかしく思い出しています。