真夜中に流れる誰かの想いに切なさを感じて、
彼はまた読みかけた本を閉じてしまった
きれいに並べられた文字たちは
その世界を主張し、景色を描かせてくれる
それはまるで歩き始めの幼い子供みたいな、彼の綴る拙い言葉とは真逆みたいだ
想いって、どんな色をしているんだろう?
誰もが胸に秘密に抱える大切な想いは
まるで夕焼けに輝き始める一番星みたいに透き通っている
どんなに偽ろうとしても自分に嘘はつけないように、
想いはただ本当を晒して
ひたすらに未来へと焦がれて行くんだ。
降り続く夜の雨の中をびしょ濡れになりながら、どこかで誰かが働いている
風が吹き荒ぶ夜の中も同じように。
そう、彼がこの小さな部屋でうつつに佇んでいるこの瞬間でさえも。
彼は彼が愛する大切な人たちの笑顔になりたくて、
やっぱり今夜も顔を上げて今を求め続ける
「真夜中にしか出逢えない独り言の価値に、いつも未来を信じていたいから。」
笑われても、バカにされても
きっと守りたい夢のカケラを抱きしめながら、この深い夜と向き合って行きたい
時に降り注ぐ雨は裁きのように、子守唄のように旋律を奏でる
その旋律に導かれる世界はきっと、
日付変更線を超えて明日へと、ただただ繋がって行くのだから。