処分結果を見て
JFAから天皇杯の件の処分が出た。
「2024年度天皇杯(天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会)の参加資格の剥奪」だそうだ。
JFAのリリースで特に印象が残ったのは以下。
ウ 対象者の有責性
(※抜粋)
本件サポーターらによる本件管理規定違反行為は、対象者がサポーターとクラブとの間のコミュニケーションを通じて適切な管理監督と指導を行っていれば、防止することができたものであるといわざるを得なかったものであり、対象者には、自チームのサポーターに適切な観戦マナーを守らせ、施設の適切な使用等を周知し、遵守させる義務があるとした天皇杯試合運営要項第30条第1項に定める指導責任(サポーターの行為についての管理監督責任及びサポーターへの指導責任)の懈怠があったものと認められる。
エ 情状
(※抜粋)
「今回生じた当該サポーターらの行為については、従前の経過に照らして発生の蓋然性が高いとは想定しておらず、それに対する具体的な打ち合わせはできていなかった。」との弁明は、上述のとおり、参加チームは、自チームのサポーターに対して、適切な施設の利用を含む観戦マナーを守らせる義務を負うものであり、また、本件は、対象者によるサポーターへの事前の適切な指導、周知が徹底されていれば、このような危険な行為を防止することも十分に期待することができたといわざるを得ず、対象者の義務違反の度合いを軽減する事情とはなり得ない。
オ 懲罰
(※抜粋)
これまでにも、対象者のサポーターが引き起こした問題行動による懲罰事案は、Jリーグ及び天皇杯を含めて2000年以降だけでも11件にも上る。サポーターの問題行動が起こるたびに、対象者が、再発防止に向け、様々な取組みを行ってきたことは一定程度評価するものの、残念ながら、そのような取組みにもかかわらず、対象者のサポーターによる問題行動は繰り返され、それらの問題行動は改善を見せるどころか、本件のような集団的に暴徒化するという許されざる暴挙にまで至っている。
(※中略)
以上を踏まえ、本件がトーナメント制を採用する天皇杯において行われたこと及び対象者が既に本年度の天皇杯を敗退していることを考慮し、当委員会は、対象者に対して、譴責(始末書の提出)に加えて、「2024年度天皇杯(天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会)の参加資格の剥奪」というこれまでに対象者に科した懲罰よりも重い懲罰を科すことが相当であると判断した。
これらを要約すると
1.浦和は浦和サポーターにきちんと観戦マナーや施設利用ルールを遵守させる義務がある
2.浦和側は「こんなこと起こるなんて思わなかった」と言ってるけど、そもそも「1.」を徹底していればこんなこと起こらなかった。
3.これまでも浦和サポは問題起こしすぎ。なので今までの分も考慮して天皇杯の次大会参加禁止。
ということらしい。
「1.」については、「まぁそういう風に規約が決まってるんだな」という感想。
「2.」については、何とも言えない。そりゃごもっともだとは思うけど、「対象者によるサポーターへの事前の適切な指導、周知が徹底」って言われてもな。クラブとサポーターが常日頃から顔を突き合わせてるわけでないし。
「3.」については、「サポーターの過失を、何もしていない選手に背負わせるの???」と。
何より、この処分で問題を起こしたような連中が反省したりするのだろうか。
今回の処分が今後こういった問題を未然に防ぐ抑止力になるだろうか。
もちろん今回問題を起こした連中がすでに入場禁止などの処分を受けているのは知っているが、結局のところ実行力を伴う罰でないと意味はない。
入場禁止という処分がどれだけ実行力を持っているのかもわからない。
この点はクラブが追加罰則も含めてどう動くか次第な気がする。
昨今のJリーグの問題発生時の対応を見ると、とにかく「よそに言われる前にこれでもかってくらいの処分を出しときました」というケースが多い気がする。
それ自体は特に異論はない。そういうところは浦和が一番できていない気がするし。
今回やこれまでの浦和のケースを見て反面教師にしているところも大きいとは思うけど。
だからといって責任を関係ないところに求めるのはどうなんだろうなって思ってしまう。
サポーターの問題を選手に取らせる形になっている。
これはすごく歪な処分に思える。こういった処分の前例を出すことでこの歪さがどんどん大きくなっていくことにならないかなと。
だからといって「クラブはJFAに断固抗議すべき!!」なんてことは思っていない。
この処分を受け入れるも、不服として異議申し立てするも、クラブで判断してくれればいい。
(現時点で浦和から何かリリースが出ているわけではないが)
だって自分は当事者じゃないのだから。感想を述べることはできても口をはさむことはできない。
これが今回の処分を見ての自分の感想。
ここからは今回の件というより「浦和レッズというクラブと(主にゴール裏中心部の)サポーターの関係性」について思うこと。
何度か書いている気がするけど、やっぱりクラブは本気でこういった問題を根絶しようと考えているのだろうかと疑問に思う。
「過去に何度も問題を起こすサポーターがいて、それをうまく制御できていないクラブ」という多方面からの評価は、正直自分でもそう思う。
もちろん自分が知っている事情なんてのはクラブからのリリースだったり、あるいはクラブスタッフからのコメントだったり、そういった範囲でしかない。
その中で「問題を起こし、リーグなりJFAなりからの度重なる処分を受けている」という事実を、浦和レッズというクラブはどう捉えているのか、正直よくわからない。
浦和のクラブスタッフは確か200人もいなかったと思うが、そのうち試合運営を担当している人数がどれだけか知らない。
どんなに多く見積もっても30名~40名程度(実際にはボランティアや外部リソースを入れているが)かと思うが、それで数万のサポーターを相手取るというのがどれだけ骨の折れる仕事かもわからない。
分からない・知らないことだらけだ。
それでも問題が起こった後の対処について「腑に落ちない」と思うケースのほうが多い。
今回の件でいうと↓とか。
問題発生時の初動をできるだけ早く起こすという発想自体はよかったと思う。
が、処分内容について多くの人が「さすがに軽すぎでしょ」と感じただろう。
ここらへんは上に書いた「昨今のJクラブの対応」と大きく認識が乖離している部分な気がする。
なんでもかんでもそういった風潮に迎合しろというつもりはない。
しかし個人的には拙速にこんな処分を出すくらいならこの時のリリースは「関係各位と調査しています。確かなことがわかったら詳報を出します」だけでよかったと思う。
そうして処分について十分に協議してから処分内容を出していれば、世の反応・印象はまた違ったものになったと思う。
なんかずれてるんだよ、やってることが。
そういったなんかずれてる(と思う)このクラブが、こういった各問題をどう思っているのか。繰り返しになるが自分にはわからない。
普通の、というとおこがましいが、問題が発生して処分を受けたら「もう次は受けないようにしよう」と考えると思う。
そういった感覚が薄いんじゃないか、と。「別にいいや」くらい思ってるんじゃないかとすら思える。
もちろんそんなことはないと思いたいが。
仮にクラブが「処分なんて別にいいや」と思ってたとして、というよりは「こういった問題への対策をすることによって失う何かにおびえている」のだとして、そこはクラブが何を重視し、何を守るべきと考えているかによる。
その考えの本音のところは部外者の自分にはわからない。
クラブが信じたとおりに進めばよいと思うし、その結果何かを失うことになったとしても、それはクラブにとっても織り込み済みだろう。覚悟の上のことだろう。少なくとも自分はそう信じたい。
そんなクラブのことは関係なく、ただ一個人の感想を述べさせてもらうとしたら、「俺たちはワリを食っている」ということだけだ。
世間がどう見ているかはさておいて、浦和サポの大半は「違反行為などしていない」んだから。
自分もこの件以降、別に特に何も後ろ暗いことなくスタジアムに通っている。
ほとんどの人たちがそうだ。
しかし今回のような件が起きれば、そういった人たちの中でも「なんで俺たちが白眼視されなければならないんだ」という思いが出る。
そして同じ浦和サポの中でも「自分は指定席で座って見ているだけなのにゴール裏の奴らめ」とか「ゴール裏にいるけど特にチームに所属していない個人サポなのに中心部の奴らめ」といったような味方内での対立感情が出てくる。
そういった空気間の行き着く先はクラブそのものの衰退でしかないと思う。
クラブはそういうことをどれくらいわかっているのだろうか?と思っているが、まぁこれはあくまで個人の推測(妄想といってもいい)なので、実際はもっと違うのだろう。
なのでくどいようだが、クラブがクラブ自身の信じる方向を進んでくれればいい。
その結果を、俺みたいな部外者はただ眺めていることしかできないんだから。
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と、記事投稿したところでクラブからリリースが出た。
特に処分内容について異議申し立てみたいなことは考えてないようだ。
そのことについてはどうとも思わない。決定を尊重したい。
再発防止策も挙げられているが、それらの中でも目を引いたのはこの2つ。
4.違反行為者への適時適切且つ毅然とした対応(即時退場を含む)
6.ファン・サポーターのみなさまとのコミュニケーションの再構築
「4.」は今までも宣言していたし正直「ほんとにできるの????」「どう実現するの???」とめっちゃ懐疑的だが、「現場対応にあたるスタッフへの権限移譲も含めた対応体制の見直し」とある。
ここは必須だと思っていたので期待はしたい。どこまで実行できるかわからないが。
「6.」は「具体的なコミュニケーション手段、実施頻度」次第だが、自分も参加できるならしてみたいと思った。
特にオンラインでの開催も検討してほしい。
常にオンサイトで参加できるような人以外からも意見を募ってほしい。
もう一つのリリースがこれ。
新基準の策定によって違反行為者に対してより厳しい処分を課すことや、その方針を示すことによって違反行為の発生を抑止することが重要な要素であることは事実ですが、最も重視すべきは、現在取り組んでいる策定業務や他の再発防止施策の実行を通じて、浦和レッズというクラブはいったい何を表現したいのか、誰にどう理解されたいのか、そして誰とどの様に歩んでいきたいのかということを私どもが改めて考え直し、その考えをクラブスタッフ一人一人が場面を問わず実践していくことであると考えております。
ここでいう「誰」に自分のような立場の人間も含まれていることを願うよ。
koutarou
JFAの浦和サポーター向け処分内容を見て
>今回のケースは負傷者や死者を出すような重大な事故を引き起こす危険性も孕んでいました。
もうこの一言に尽きる。
この認識をクラブは持っているのだろうか?
万が一こんな事態が起こったとしたら、サポーターが起こしたことでも選手たちに処罰の影響が出ることは十分考えられる。
そんなザマを誰が見たいんだ?
クラブとして中心部とのサポーターとどう向き合っていくのか。
どんなに味方だといってもクラブとサポーターの間には明確な線が引かれているべきだと思う。
クラブの存続・発展のためにも、絶対にその考えが必要だ。
koutarou