美容室のリピート率を上げたいなら店販を「売る仕事」にしない|経営者が見直したい顧客とのつながり
美容室を経営していると、
「新規のお客様は来ているのに売上が安定しない」
「次回予約は取れているのに失客が減らない」
「店販をすすめるスタッフがいつも同じ」
「もっと店販を伸ばしたいけれど、ノルマにはしたくない」
こんな悩みが出てくることがあります。
美容室のリピート率を上げたい。
店販も伸ばしたい。
そう考えると、
次回予約をもっと取ろう。
商品キャンペーンをやろう。
販売トークを勉強しよう。
という対策を考えがちです。
でも僕は、もっと根本から考える必要があると思っています。
それは、
お客様との関係を「来店した日だけ」で考えていないか?
ということです。
実は、美容室のリピート率と店販には共通点があります。
どちらも、
お客様との関係を次へつなげる仕事
だからです。
美容室を出てから次回来店まで、誰が髪を管理するのか
美容師は、お客様が来店された数時間については一生懸命考えます。
カット。
カラー。
トリートメント。
仕上げ。
接客。
でも、例えば次回来店が60日後だったとします。
美容室で過ごす数時間より、その後の自宅で過ごす時間の方が圧倒的に長いですよね。
毎日シャンプーをする。
乾かす。
アイロンを使う。
紫外線や乾燥などの影響も受ける。
つまり、
次回来店時の髪は、美容室での施術と、その後の毎日の積み重ねによってつくられる
ということです。
ここを美容室側がまったくサポートしていなかったら、どうでしょうか。
施術直後はツヤツヤだった。
でも数週間後にはまとまらなくなった。
するとお客様にとって、
「美容室に行った日は良かった」
で終わってしまう可能性があります。
僕は、この退店後の時間に美容室経営の大きな機会損失があると思っています。
店販の目的を「売上」にするとスタッフが苦しくなる
店販が伸びないと、
「もっと商品をすすめよう」
という話になります。
でも美容師の多くは、商品を売りたくて美容師になったわけではありません。
お客様をきれいにしたい。
喜んでもらいたい。
似合う髪型をつくりたい。
そう思って美容師になった人が多いと思います。
そこに突然、
「今月は店販を5万円売ってください」
と言われる。
これでは、
美容師から販売員へ仕事が変わったように感じるスタッフがいても不思議ではありません。
だから僕は、店販の定義そのものを変えた方がいいと思っています。
店販とは、
商品を販売する仕事ではなく、
お客様が自宅でも良い状態を維持できるように、プロとして必要なケアを伝える仕事。
こう考えます。
商品を紹介する前に「髪の未来」を説明する

例えばカラーをしたお客様がいたとします。
いきなり、
「このシャンプーがおすすめですよ」
と言えば商品販売になります。
でも、
「今の毛先はカラーの繰り返しもあって乾燥しやすくなっています」
「今日は美容室でここまで整えました」
「ただ、次回までの毎日のケアも大切です」
「ご自宅では、この部分を意識してください」
と説明する。
その中で必要なら商品を紹介する。
これなら順番が違います。
商品が先ではなく、お客様の悩みが先。
ここが大切です。
店販が苦手なスタッフほど、
「何を売ればいいか」
ではなく、
「このお客様が次回来店するまでに何をした方がいいか」
を考えるようにする。
それだけで提案の意味が変わります。
売れなかったことより怖いのは「何も伝えていないこと」
僕が経営者として気になるのは、店販購入率だけではありません。
例えば月400人のお客様が来店して、40人が商品を購入したとします。
購入率は10%。
数字だけを見ると、
「もっと20%まで上げよう」
となります。
でも、その前に確認したい。
400人のうち、
何人に自宅でのケア方法を伝えたのか?
もし100人にしか伝えていなければ、300人には十分なアドバイスができていない可能性があります。
僕はこちらの方がもったいないと思っています。
商品を購入するかどうかは、お客様が決めればいい。
でも、
プロとして必要な情報を伝えることはできます。
だから店販売上だけではなく、
ホームケアを説明できた割合
を見る。
これは美容室のリピート率を考えるうえでも重要な数字になると思います。
次回予約を「予定」から「約束」に変える
美容室のリピート率を上げるために、次回予約を強化している美容室も多いと思います。
僕も次回予約は大切だと思っています。
ただ、
「次は2ヶ月後ですね」
だけでは少し弱い。
例えば、
「今日はこの部分をケアしました」
「家ではこの方法を続けてみてください」
「6週間くらいしたら、今日気になった毛先がどうなったか一度確認しましょう」
と伝えたらどうでしょう。
次回来店の意味が変わります。
単に髪が伸びたから美容室へ行くのではありません。
自分の髪の状態をプロに確認してもらうために行く。
この関係ができれば、
次回予約はただの予約ではなくなります。
店販商品を買ってもらった後が一番大切

もう一つ、美容室でよくある機会損失があります。
商品を購入していただいたのに、その後について何も聞かないことです。
次回来店されたら、
「前回の商品どうでした?」
「使い方で困ったことはありませんでしたか?」
「前回気になっていた毛先、今日は少し状態が違いますね」
と確認する。
この一言が大切だと思っています。
なぜならお客様からすると、
自分の髪のことを覚えてくれている
と感じられるからです。
そして美容師も、
自分の提案が本当に良かったのか確認できます。
提案する。
自宅で使ってもらう。
次回来店時に確認する。
必要なら変更する。
また次の提案をする。
店販をこの循環の中に入れる。
すると、単発の商品販売から、
継続的な美容サービス
に変わります。
店販が売れる人の「やり方」を共有する
美容室には、自然に店販ができるスタッフがいることがあります。
でも、
「あの子は話すのが上手だから」
で終わらせたら、その能力は本人だけのものです。
経営者なら、そこを分解した方がいい。
何を質問しているのか。
どのタイミングで悩みを聞いているのか。
髪の状態をどう伝えているのか。
商品を紹介する前に何を説明しているのか。
購入されなかったときはどうしているのか。
次回来店時に何を確認しているのか。
成果が出ているスタッフの行動を言葉にする。
そしてスタッフ全員で共有する。
これができれば、
個人の能力が美容室の仕組みに変わります。
店販を「診断から始まる仕事」にする
僕が店販教育で大切だと思っているのは、商品知識だけではありません。
もっと大切なのは、
お客様を見る力です。
例えば、
「髪がパサつく」
という悩みでも原因は一つとは限りません。
カラーなのか。
熱なのか。
乾燥なのか。
普段のケアなのか。
いくつかが重なっているのか。
まず考える。
そして、
今の状態はどうなのか。
美容室では何をするのか。
自宅では何をするのか。
次回までにどういう状態を目指すのか。
ここまで考える。
そうすると、
「この商品を買ってください」
ではなく、
「今のあなたの髪には、こういうケアが必要です」
と言えるようになります。
これは販売ではなく、美容師の専門性だと思っています。
美容室のリピート率と店販を一緒に数字で見る

僕なら店販を見るとき、売上金額だけではなく、
ホームケアを説明できた割合。
必要な商品を提案できた割合。
実際に購入された割合。
次回予約につながった割合。
実際に再来店した割合。
継続してホームケアを使っている割合。
まで見ます。
例えば店販購入率が低くても、その前の説明率が低ければ、商品そのものが原因とは限りません。
説明はできているのに提案できていない。
購入されているのに継続されていない。
次回予約は取れているのに実際には来店されていない。
こうやって分けて見ると、
どこでお客様との関係が途切れているのか
が見えてきます。
数字はスタッフを責めるために使うものではありません。
美容室の機会損失を発見するために使う。
僕はそう考えています。
店販が増えることより大切にしたいこと
僕は美容業界で長く仕事をしてきました。
美容師という仕事は、
人をきれいにして、
その人に自信を与えることができる、
本当に価値のある仕事だと思っています。
だからこそ、その日だけきれいにして終わりではなく、
5年後。
10年後。
その先まで、お客様がきれいな髪でいられることを考えたい。
僕たちが大切にしているのは、
10年後の髪と地肌を守り、美しさの寿命を伸ばすこと。
美容室で整える。
自宅で守る。
次回来店時に確認する。
そして、また必要なケアを考える。
店販は、この流れの一部です。
美容室のリピート率が上がらないときは「来店していない時間」を見る
美容室のリピート率が低い。
店販が伸びない。
経営者としては、どうしても数字を改善したくなります。
でも、
「もっと売ろう」
「もっと予約を取ろう」
だけではなく、
お客様が美容室にいない時間に、自分たちは何ができているのか?
を考えてみる。
ここに改善のヒントがあると思っています。
店販は商品を売るためだけのものではありません。
お客様と美容室を、次回来店までつなぐものです。
ホームケアを通して髪を守る。
次回来店時に確認する。
また改善する。
その積み重ねによって、
「またこの美容室に来たい」
ではなく、
「これからもこの美容師に自分の髪を任せたい」
という関係をつくる。
それができれば、美容室のリピート率も店販も、結果として後からついてくると思っています。
美容室経営で本当に増やしたいのは、
商品を買ってくれる人の数だけではありません。
長く通い続けてくれるお客様の数です。
そのために店販をどう使うのか。
そこから考えることが、美容室のリピート率を変える一つのきっかけになるのではないでしょうか。
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