美容室の売上が増えても経営が楽にならない理由|まず探したい「利益の漏れ」
「売上は去年より増えているのに、なぜかお金が残らない」
「スタッフは忙しいのに、給料を大きく上げてあげられない」
「毎月、新規のお客様は来ているのに予約が安定しない」
「広告費を減らしたいけど、新規が減るのが怖い」
美容室経営をしていると、こんな悩みを感じることがあります。
こんなとき、多くの経営者が考えるのは、
もっと売上を上げること。
もっと集客すること。
もっと客単価を上げること。
です。
もちろん、どれも間違いではありません。
でも僕は、その前にやるべきことがあると思っています。
それは、
新しい売上をつくる前に、今どこで利益を失っているのかを見つけること。
美容室には、数字として表面に出てこない「機会損失」がたくさんあります。
忙しい美容室=儲かっている美容室ではない
予約表がいっぱい。
スタッフも忙しい。
新規のお客様も来ている。
一見すると順調な美容室です。
ところが決算を見ると、
「思ったほど利益が残っていない……」
ということがあります。
なぜでしょうか。
僕はここで、
売上を「入口」だけで見ないこと
が重要だと思っています。
例えば毎月40人の新規客が来店している美容室があったとします。
その40人を集めるために、
予約サイトを使う。
広告を出す。
SNSを運用する。
クーポンをつくる。
スタッフが時間を使って担当する。
会社はすでに多くのコストを使っています。
それなのに、そのお客様が一度しか来店しなかったらどうでしょうか。
翌月、また新しい40人を探さなければなりません。
これを繰り返している限り、
売上を維持するためのコストも使い続けることになります。

経営者が見るべき「見えない売上」
例えば、
客単価1万円のお客様がいたとします。
1回だけ来店してくださった場合、売上は1万円です。
でも、そのお客様が年間6回来店してくだされば6万円。
さらに何年も通ってくだされば、その価値はもっと大きくなります。
ホームケアを使ってくださるかもしれない。
ご家族を紹介してくださるかもしれない。
口コミから新しいお客様につながるかもしれない。
つまり経営者が考えたいのは、
「今日いくら売れたか」だけではありません。
そのお客様との関係が続いたときに、
これからどれだけ価値を届けられる可能性があったのか。
ここです。
逆に言えば、一度で来店が終わってしまうと、今日の売上だけではなく、
未来に生まれる可能性があった売上まで失っている
と考えることができます。
僕はこれも、美容室経営の大きな機会損失だと思っています。
新規客を増やすより先に「どこで離れているか」を調べる
売上が伸びないとき、
「新規が足りない」
と考える前に、一度数字を分解してみてください。
例えば、
新規のお客様は2回目に来ているのか。
3回目まで残っているのか。
既存のお客様の来店周期は伸びていないか。
スタッフによって再来に差がないか。
次回予約をしているお客様はどれくらいいるのか。
長く来店していないお客様は何人いるのか。
ここまで見ると、
「集客が弱いと思っていたけど、実は再来が問題だった」
ということがあります。
つまり、
問題を間違えると、対策も間違える。
ここが経営ではとても重要です。
「スタッフにもっと頑張ってもらう」は経営改善ではない
リピート率が低い。
店販が伸びない。
次回予約が取れない。
そんなとき、
「もっとカウンセリングしてください」
「次回予約を必ず聞いてください」
「もっと商品をおすすめしてください」
と言ってしまうことがあります。
でも、それだけではスタッフの負担が増えるだけです。
経営者が考えるべきなのは、
頑張らせることではなく、できる仕組みをつくること。
例えば、
カウンセリングで何を確認するのか。
今日の施術目的をどう説明するのか。
施術後に何を伝えるのか。
ホームケアをどう説明するのか。
次回来店時期をどう提案するのか。
ここまで会社として決める。
そうすると、スタッフによる差を小さくできます。
トップスタイリストの感覚や経験だけに頼るのではなく、
成果が出ている美容師の行動を会社の仕組みに変える。
これが経営者の仕事だと思っています。

次回予約は「予約枠を埋めるため」ではない
次回予約も、経営者側の都合で考えてしまうと上手くいきません。
「来月の予約を埋めたいから次回予約を取る」
では、スタッフもお客様も営業のように感じます。
そうではなく、
「今日カラーをしたので、次はこのくらいの時期に根元が気になってきます」
「次回は毛先への負担を減らしながら、ここを整えていきましょう」
と伝える。
これは営業ではありません。
お客様の髪の未来を美容師として計画している
ということです。
美容室を、
「髪が気になったら行く場所」
から、
「髪を継続して管理してもらう場所」
へ変えていく。
ここが再来につながる大きなポイントだと思っています。
店販が伸びない店ほど「商品を売ろう」としている
店販も同じです。
「今月はシャンプーを○本売ろう」
「店販比率を○%にしよう」
数字だけを追うと、スタッフにとって店販は営業になります。
すると、
「押し売りしたくない」
「嫌われたくない」
となって、提案そのものをしなくなります。
でも本来、美容師がお客様にホームケアを伝える理由は、
商品を売るためではないはずです。
美容室できれいにした髪を、自宅でも良い状態に保ってもらうためです。
お客様が美容室に来るのは年間のうち数日です。
残りの日々は、自宅でシャンプーをして、乾かして、アイロンを使ったりします。
だから、
サロンケアだけでお客様の髪を考えるのではなく、
次回来店まで含めて髪を考える。
僕たちがViváte Hを開発した理由もここにつながっています。
僕たちが目指しているのは、
「髪の健康寿命をのばす。」
ことです。
シャンプーを売りたいからシャンプーをつくったのではありません。
美容室で整えた髪を、自宅で過ごす時間まで含めて守っていく。
そして次回来店したときに、また良い状態から施術を始められる。
そんな循環をつくりたいと思っています。

利益がなければ美容師の給料は上げられない
僕が美容室の利益にこだわる理由があります。
それは、
美容師という仕事をもっと報われる仕事にしたいからです。
美容師は人をきれいにします。
髪型が変わって笑顔になる。
自信がつく。
人に会いたくなる。
人生まで前向きになることがあります。
こんなに価値のある仕事なのに、
経営側に利益がなければ、十分な給料を払うことはできません。
福利厚生も改善できない。
教育にも投資できない。
新しい設備も入れられない。
だから、
「スタッフのために利益を出す」
という考え方も必要だと思っています。
そして利益を増やす方法は、
「もっと売れ」と言うことだけではありません。
今発生している機会損失を減らすことでも利益は変わります。
経営者なら一度この数字を並べてみる
売上が伸び悩んでいる美容室なら、まず次の数字を見てみてください。
新規客数/新規再来率/既存再来率/スタッフ別再来率/平均来店周期/次回予約率/失客数/店販購入率
ポイントは、
数字を出して終わらないことです。
例えば新規再来が弱ければ、
なぜ2回目につながらないのか?
スタッフごとの差が大きければ、
成果が出ているスタッフは何をしているのか?
来店周期が伸びていれば、
次回来店の必要性を説明できているのか?
店販が弱ければ、
商品説明ではなく、お客様の髪の問題から提案できているのか?
と考える。
数字はスタッフを評価するためだけのものではありません。
会社の中に隠れている機会損失を見つけるためのもの
だと思っています。

1%の改善を軽く見ない
例えば再来率が1%上がったとします。
1か月だけを見ると、大きな変化には見えないかもしれません。
でも、そのお客様が半年、1年、3年と通ってくださったらどうでしょう。
さらにホームケアを使ってくださる。
ご家族を紹介してくださる。
口コミを書いてくださる。
1%の改善が積み重なれば、数年後の顧客数や売上は変わっていきます。
だから僕は、
経営改善とは、派手な一発を当てることだけではない
と思っています。
今ある小さな漏れを見つけて、一つずつ塞いでいく。
それが結果として強い会社をつくります。
売上を追う経営から「利益を残す経営」へ
新規集客は必要です。
客単価アップも必要です。
新しいメニューも必要です。
でも、それだけではありません。
せっかく出会えたお客様が離れていないか。
スタッフによって提供する価値に大きな差がないか。
次回来店の理由を伝えられているか。
ホームケアまで提案できているか。
来店周期が必要以上に伸びていないか。
こうした一つ一つの「漏れ」を改善する。
僕はこれを、
機会損失を見つける経営
だと考えています。
経営者の仕事は、
スタッフに、
「もっと売って」
「もっと新規を取って」
「もっとリピートさせて」
と言うことではありません。
売上や利益がどこで失われているのかを発見し、スタッフが成果を出しやすい仕組みに変えること。
それができれば、
売上が安定する。
利益が残る。
スタッフの給料を上げられる。
教育へ投資できる。
働く環境も良くできる。
そして美容師という仕事そのものの価値を、もっと高めていける。
もし今、
「新規をもっと増やさなければ」
と思っているなら、その前に一度だけ、
「今いるお客様を、僕たちはどこで失っているのだろう?」
と考えてみてください。
新しい売上を探しに行く前に、
すでに自分の美容室の中に、改善できる利益が眠っているかもしれません。
僕は、そこを見つけることから美容室経営は変わると思っています。
