美容室のアルカリ除去は必要?「数十円の原価」より経営者が見るべき数字
美容室を経営していると、
「材料費が上がって利益が残らない」
「カラー客は多いのに利益率が上がらない」
「店販をもっと伸ばしたい」
こんな悩みが出てきます。
そこで原価を見直して、
「この処理剤は本当に必要なのか?」
「ここを削れば少し利益が増えるのでは?」
と考える。
もちろん、原価管理は経営に必要です。
でも僕は、美容室経営では、
“使った金額”だけでは見えないコストがある
と思っています。
その一つが、
アルカリ除去
です。
アルカリ除去を「いくらかかるか?」だけで考えない
カラー施術でアルカリ除去を取り入れると、当然ですが材料費はかかります。
仮に一人あたり数十円だったとしても、お客様の人数が増えれば年間ではそれなりの金額になります。
すると経営者としては、
「本当に必要なのか?」
と考えます。
でも、ここで僕なら違う質問をします。
「やらなかった場合、何を失う可能性があるのか?」
です。
例えばカラーを繰り返しているお客様が、
「最近、カラーした後の髪が気になる」
「以前より毛先が扱いづらい」
と感じ始めたとします。
その結果、
毎月カラーしていた人が2か月に一度になる。
2か月に一度だった人が3か月に一度になる。
こうなれば、材料費を数十円削減できたとしても、年間売上ではそれ以上の機会損失になる可能性があります。
だから僕は、
アルカリ除去の原価だけを見るのではなく、そのお客様がこれから何回来店してくださるのかまで見る。
この視点が重要だと思っています。

美容室の商品は「店を出た瞬間」で終わるのか?
カラーをきれいに染める。
ツヤを出す。
仕上げをきれいにする。
もちろん大切です。
でも、お客様が美容室で過ごす時間は、生活全体から見ればほんの一部です。
美容室を出た翌日からは、
シャンプーをして、
ドライヤーを使って、
アイロンをして、
紫外線や乾燥など日常生活の中で髪と付き合っていきます。
だから僕は、
カラーという商品は「染めて終わり」ではない
と考えています。
施術直後だけではなく、
次回来店までのお客様の髪をどう考えるか。
ここまで含めて美容師の仕事ではないでしょうか。
その考え方の中に、アルカリ除去があります。
失客より怖い「来店回数が少しずつ減る」という機会損失
美容室では「失客率」を気にします。
でも、もっと見えにくい数字があります。
それが、
来店周期です。
例えば年間6回来店していたお客様が、年間4回になる。
そのお客様は失客していません。
顧客数を見ても、大きな変化として表れないかもしれません。
でも会社から見ると、年間2回分の売上機会がなくなっています。
さらにカラー回数が減れば、
トリートメントの機会も減る。
店販を提案する機会も減る。
次回予約を取る回数も減る。
つまり、
一つの来店周期の変化が、複数の売上に影響します。
だから美容室経営では、
「何人失客したか?」
だけではなく、
「既存のお客様の来店回数が減っていないか?」
を見る必要があります。

アルカリ除去を「無料サービス」で終わらせない
もう一つ、僕がもったいないと思う美容室があります。
それは、
良いことをやっているのに、お客様がその価値を知らない美容室です。
例えばカラー後にアルカリ除去をしている。
でもスタッフは何も説明しない。
お客様からすると、
何をされたのか分かりません。
これでは技術的に良いことをしていても、
お客様が感じる価値には変換されていません。
難しい成分説明をする必要はないと思います。
例えば、
「カラーは染めた直後だけではなく、その後の髪も大切なので、今日は施術後のケアまでしておきますね」
これだけでも違います。
お客様は、
「この美容師さんは、今日だけじゃなく先の髪まで考えてくれているんだ」
と感じるかもしれません。
技術を提供するだけではなく、その技術の意味まで届ける。
ここまでやって初めて、サービスの価値になると僕は考えています。
店販が売れない原因は「商品説明不足」とは限らない
店販についても同じです。
経営者から、
「もっとシャンプーを紹介して」
「店販比率を上げよう」
と言われると、スタッフにとっては“販売”になります。
美容師は営業職になりたくて美容師になったわけではありません。
だから苦手意識が出るのは当然だと思います。
僕なら、
「商品を売って」ではなく「次回来店までお客様の髪を担当して」
と伝えます。
美容室でアルカリ除去やトリートメントをする。
その理由を伝える。
そして、
「美容室では今日ここまでできます。でも、明日からはご自宅で髪を扱いますよね」
とホームケアへつなげる。
するとシャンプーやトリートメントの提案は、
商品を買ってもらうための営業ではなく、今日の施術を自宅でつないでもらう提案
になります。
ここが変わるだけで、店販の意味は大きく変わります。

アルカリ除去を「スタッフ個人の技術」にしない
経営としてアルカリ除去を考えるなら、もう一つ重要なことがあります。
それは、
誰が担当しても同じ考え方で提供できるようにすることです。
Aさんはアルカリ除去を説明する。
Bさんは何も言わない。
Cさんはホームケアまで提案する。
これでは店舗の商品として成立しにくい。
だから、
なぜアルカリ除去をするのか。
お客様へどう説明するのか。
どのタイミングでホームケアを伝えるのか。
次回来店をどう提案するのか。
ここまでを一連の流れとして決めておく。
すると、
「売れる美容師のやり方」が「会社の仕組み」に変わります。
これは多店舗経営になればなるほど重要だと思っています。
値上げを考えるなら、先に「価値」を増やせないか?
材料費、人件費、家賃、光熱費。
美容室経営のコストは上がっています。
だから値上げは必要になると思います。
ただ、
「カラー7,000円を8,000円にする」
だけでは、お客様には価格だけが見えます。
そこで僕なら、
カラーという商品の定義そのものを見直します。
カウンセリングをする。
カラーをする。
施術後の状態まで考えてアルカリ除去をする。
必要なケアをする。
自宅での扱い方を伝える。
次回来店の目安を伝える。
これら全部を、
「カラー」という一つの商品
として設計する。
すると、お客様が比較する基準も変わります。
「どこが一番安いか?」
ではなく、
「どこが自分の髪を長く考えてくれるか?」
という比較に変えていけるからです。
Viváte BIJU System「美寿」で僕たちが考えたこと
僕たちがViváte BIJU System「美寿」を開発した背景にも、この考え方があります。
僕は美容業界で長く仕事をしてきました。
美容師は、人を綺麗にし、自信を与えられる素晴らしい仕事です。
だからこそ、
美容師という仕事の価値が、もっと経営的な価値にもつながってほしい。
そう考えています。
Viváte BIJU System「美寿」も、単に手触りを良くするためだけではなく、
お客様の未来の髪まで考えるサロンケア
という発想から作っています。
そして美容室で整えた髪を、次回来店までの毎日につなげるためにViváte Hがあります。
目指しているのは、
髪の健康寿命をのばすこと。
お客様が長くカラーを楽しめる。
長く美容室に通ってくださる。
美容師への信頼が積み重なる。
ホームケアにもつながる。
再来につながる。
会社に利益が残る。
そして、その利益を美容師の待遇改善へつなげていく。
僕は、商品開発も美容室経営も、ここまで一本につながっていると思っています。
アルカリ除去を見るなら「原価」ではなく4つの数字を見る
美容室経営者にぜひ見てほしいのが、
再来率
来店周期
カラー継続率
店販率
です。
アルカリ除去によって材料原価が少し増えた。
その一点だけを見ると「コスト増」です。
しかし、
来店周期が安定した。
カラーを続けてもらえた。
ホームケアの提案につながった。
再来率が上がった。
こうなれば経営上の意味はまったく変わります。
原価を下げることと、利益を増やすことは、必ずしも同じではありません。
僕が経営で考えたいのは、
「一番安く提供する方法」ではなく、
「お客様にも会社にも、最も長く価値が残る方法」です。

まとめ|アルカリ除去から見える美容室経営の機会損失
アルカリ除去というと、
「必要なのか?」
「原価はいくらなのか?」
という話になりがちです。
でも経営者として見るなら、その先まで考えてほしい。
アルカリ除去をすること自体が目的ではありません。
大切なのは、
カラーをしたお客様の髪を、次回来店までどう考えるか。
そして、その価値をスタッフ全員がお客様へ伝えられる仕組みにできているか。
美容室には、
すでに良い技術があるのに、
説明していない。
仕組みにしていない。
次回来店やホームケアにつなげていない。
そんな「見えない機会損失」がたくさんあります。
新規集客を増やす前に。
追加メニューを増やす前に。
値上げをする前に。
一度、今のカラー施術を最初から最後まで見直してみる。
そこに、
まだお客様にも伝わっていない、利益にも変わっていない価値
が残っているかもしれません。
アルカリ除去は「数十円の材料費」なのか。
それとも、
お客様の未来の髪と、美容室の未来の利益を守るための投資なのか。
美容室経営では、この視点の違いが大きいと僕は考えています。