5月、混乱とやさしさと傷と癒しが混じり合う日本in地球にて。いつも愛を選ぶ輪がここにあることに感謝して。
無題 or
星とあなた
あの日
あなたと星を見た
目をこらすと
ようやく見えてくる
本当に
ちいさな輝きだった
その光は
海が
いのちの波を
生むまえの
雲が
空の底に
あつまるまえの
草花が
この地に
香るまえの
わたしが
わたしで
在るまえの
掌の
芥子粒の
不思議のように
誕生のすべてを抱えて
輝いていた
「なつかしい ひかりだね」
あなたが
さよならの目で言った
わたしは
うなずきもせず
あなたが見つめる光の先を
ずっと遠くまで
どこまでも
ただ一緒に
眺めていた
あなたは
笑い
わたしは
泣いた
それから
何度も
泣いたけれど
あのときほど
哀しくて幸福な涙を
わたしは知らない
ひとつとして生きた
あたたかい道は
やがて
ふたつにわかれ
わたしたちは
新しい風にふかれて
別々の旅を
歩きはじめた
今も時折
時が消える あの空間で
わたしはあなたと
交差する
「なつかしい ひかりだね」
声にしないで
わたしたちは
すれ違う
わたしたちの
この旅は
銀河の母すら
その先を知らない
新しい共鳴が生む
はじめての旅
ちいさな
愛の胸からはじまった
信じることの
冒険
この星が
奇跡の赤ん坊に
蘇る
その時まで
あなたの瞳に
やさしく燃える炎を
こころに灯して
また
わたしは
旅を続ける
Yukari Sakurama
【後記】
お能の人みたく
めちゃ、、ゆっくり
部屋を歩いている
亀時間のわたし。。
夜中に、寝ぼけたまま
ベッドから降りようとジャンプして
着地に失敗し
足を捻挫してしまったの（笑）
幸い、骨はセーフだったけれど
ひどく歩行困難で
自宅ごもり。
（ワタシの無意識よ、、何故年甲斐もなく、
こんな少年じみたことをやらかす？）
じっとしていると
普段気にならないものに
意識が向いて
寝つけない夜
ふと、
書棚から抜き取った本を
パッと開く、、、
「わたしを束ねないで」
おお
新川和江さんの
有名な詩ではありませんか。
「わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱のように
束ねないでください」
偶然のページに
思いが重なり
吸い込まれてゆく。
「わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡す限りの金色の稲穂」
この方は、、
大地を呼吸して
いのちとつながり
おのれの魂を生きられた。
シンプルだけど
難しい覚悟の生。
詩は
「わたしは終わりのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡がっていく
一行の詩」
と、終わる。
はてしなく流れ、拡がってゆく
一行の詩としての、
自分。
今では
想定外のことがばんばん起きて、
社会の常識は揺れ
ひとの数だけ生き方があると
新しい考え方が広がってきたけれど
定型をよしとする
枠組の固い時代を
やわらかな言葉を通して
打ち破り、自由を開く
意思と力を
思う。
なんとエネルギーに
充ち満ちた
「一行の生」なのだろう。
何度でも
新しく響く思い。。
50年前
重圧の強い環境で
あの詩を綴った
新川さんは、そのまま
今、
わたしたちとともに
ここにいて
この大きな転換点を
もしかすると
私たちより少し先を
自由に、新しく
生きておられるのではないか
と想像した。
「はてしなく流れ、拡がっていく」
その波はきっと
ふと元気になったり
わけもなく透明な気持ちに
運ばれたり
そんな私たちの
日常に突然訪れる
なにげない瞬間の
理由なんじゃないかな。
そして
きっと、いろんな場所に
新川さんのような
思いの波は
放たれていて
その、強くて
やさしい意識の
見えない輪につながって
わたしたちは思いがけない
救いを得る。
なんだか
とりとめもない考えに
胸がときめいて
ページを閉じた。
そして
本を抱いて
また、のろのろと歩き
書棚にぎゅっと差す。
母なるスターシードに
深く感謝して。
どうぞ、いつまでも
お元気でいてください。
聖なる
捻挫の夜に。
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