風のたまごを見つけた   

風のたまごを見つけた   

for pilgrims on this planet.
この惑星はなんて不思議!

自分を思い出す光と風、大人のための童話を、電子空間に執筆してゆきたいと思っています。


・執筆、その他のお問い合わせは、メッセージかプロフィールに記しましたURLよりアクセスして下さい。




 

ノーベル文学賞を

『ベルリン・天使の歌』の脚本を書いた

オーストリアの作家、ペーター・ハントケ氏が受賞!

 

台風情報に集中して、全くアンテナが

立っておらず、ありがたくも、

友人のSNSで、第一報に触れた。

 

嬉しくて緊急ブログ♡

 

豊かな詩情を持ち、ジャーナリスト的視点も鋭く、

社会的な影響力を持つ作家は、

日常に詩の伝統が浸透している東欧では

珍しくないと思うけれど、

やはり、私がひかれるのは

ハントケさんは、、

母親に自死されてしまうという

重すぎる現実を抱えながらも、

自分のハートの王座に、、

無垢な子どもを、座らせ続けていること。

そして、その子どもを、

大切に胸に抱いたまま

この世界を奥深くまで、見通す、

深い深い、その瞳。

 

ベルリン・天使の歌に挿入されている

『子どもは子どもだった頃、、』で始まる詩の言葉は

どこまでも透明で、胸がつまる。

 

 

久しぶりに図書館に行った、ある日のブログに、

ふと『ベルリン・天使の歌』を思い出し、

映画のyou tube を貼っていた。

 

 

この日のブログには

父の死の直後、不思議な偶然で参加した会

(ほぼ他言していないのに、なぜ書いたのか!?)で

ユーゴスラビアの内線による

母国の深い分裂と、傷に心こを痛める男性と

出会い、お話したことに言及している。

 

ブログでは触れなかったけれど、

原爆で親を失う体験をした亡き父が、

ずっと私たちの側にいて、

彼の話を、静かに聞いている気がしていた。

あの天使みたいに。。

 

 

ハントケ氏はユーゴ内戦時、自分の信念を貫いた発言をした方で、

今回の授賞は「勇気ある決断」だとご本人も語っている。

私は読んでないけれど(絶版で、値段がなんとも高騰しています!)

『空爆下のユーゴスラビアでー涙の下から問いかける』という

詩の言葉で、当時のメディアの報道を斬るような著書も出されている。

 

この日のブログは、

他愛のない、ごく個人的な日記だけど

人生で一度、リアルな天使と出逢った日、

見えない糸のようなものを感じて、、、予定外のアップです。

 

 

 

 

 

 

 

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季節は秋ですが、夏日が続いた東京。

 

今日は穏やかな風がふき、Indian summer な午後で、

こんな、小春日和にぴったりの

素敵な映像と出逢いました。

 

月光のメッセージの動画化 二番目は

レイラとベンが、再会した章、『春の訪問者』からです。

 

 

 

余談ですが、誕生日近辺の多忙は

やや落ち着きました。

 

自分がアタマでっかちになってしまうとき

私はときどき、

周囲の景色を、「ずらして」見ることがあります。

 

ずらして、、というのは奇妙な表現ですが、

 

見えている物事や、騒がしい理屈の

その、ちょっと隣に、ひそやかに在る

無言の空間に

意識を移す感じです。

 

それは、ずっとそこにあって

気づかれるのを、いつも辛抱強く待っている

透明な空間。。

時間がない、その空間に

意識の焦点を、あててみると、、

 

すると、

 

やわらかで生き生きした、

楽しさの素粒子のようなものが

その「ズレ」の空間に満ちてきて、

わけもなく喜びに満たされます。

 

言葉にすると

やっぱり、奇妙だけれど、、

子どもはよく、知っている気がする。

 

世界を複雑に見せていた、

巧妙な嘘が、はがれ落ちて、

とてもシンプルなつながりが

あらわれます。そんなとき

言葉はいりませんね!

(わたしが言うのは、矛盾してますけれど!)

 

きっと、誰もが、それぞれの

秘めたる方法で、

同じような作業をしながら、日々を新しく

してゆくのだろう、と

都会の秋の風景を眺めながら想うのでした。



長い余談ですみません。動画は1分くらいです(笑)

魂の仲間のみなさんと、そしてちょっと

ほっとした私自身へ!

 

こちらをクリックしてご覧下さい。↓

虹朗読動画 2 「春の訪問者」虹

 

 

 

 

 

 

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エッセイ・随筆ランキング

 

 

 

 

 

 

 

電子版

『おぼえておいて』  →  ☆☆

 

『きのことかもしか』  →  ☆☆

 

『きのことかもしか』総集編  →  ☆☆

 

 

毎年のことなのですが、

 

誕生日が近づくと、なぜか色々重なって

にわかに忙しくなるのです。

 

アンマのお誕生日にあたる27日に、

白い花びらをイメージする瞑想と、

基本のヨガを行って、

師へささげる薔薇と、今週の自分の誕生日を

祝う薔薇を買い

気持ちにゆとりをあげました。

 

選んだのは、赤。

 

花を抱いていると、

なぜか会う人の顔がみな、優しくて、

何だか気恥ずかしい。。

 

 

自宅に戻り

ひとつひとつ

棘をぬいてあげると

だんだんに、自分もやわらぎ、

祭壇に手向けるときには、

花にも、自分にも

愛おしさが増しています。


 

 

さて、、今日は新月ですが

満月に連載している『満月のスープ』

よく、冒頭の、お月さまのメッセージが

楽しみ、と言っていただきます。

 

ああ、本文は長すぎってことかな、、、

スミマセンなんて、深読みしてしまうのですが、、

冒頭は、作者にとっては重要なメッセージ。

思えば、あの抽象的かつ、

本文から飛躍した詩文を、いつも

たいせつの思って下さる読者さんがいるということ!

 

それは、得がたい励ましであり、

とてもありがたい、ハートのネットワークだ!

と、気づきました

 

ありがとうございます!

 

 

『おぼえておいて』の動画も、

素人の発声に耐えて

多くの方に視聴していただき

感謝しています。

 

今後も継続されるなら、

チャンネル登録しますが、と

わざわざ尋ねて下さった方がいて、

その時は、全くyou tube 的発想がなく

予定なしです、なんて、申しましたが、、

 

そうだ!

『満月のスープ』のお月さまメッセージを

少しずつ(きっとスローペースになると思いますが)

朗読シェアしよう!

と、秋分の日に

思いたちました!!

 

 

 

私には、とうてい

流行のyou tuber動画 のような

展開のものは作れません。

けれど、

受け取ったアムリタだけは、いっぱいにこめて

シェアすることはできます。

 

ほっとしたい時や

日常の想念からちょっと

はなれてみたくなったときなどに、

気軽に、つながっていただく場所になれれば

嬉しい限りです。

 

 

SNS音痴の私にとっては

かな~り、無謀な挑戦でもあります。

ちゃんと管理できるもの?、、と知人に相談したら

あなたのような特殊な動画は、来訪しそうな人数から言って

まず、心配ない、と言われました。

(それって。。。)

 

 

新月の今日から

シェアしたいと思います!

こちらです。

聴いてみて、気に入っていただけたら

you tube からチャンネル登録していただけると嬉しいです。

     

 

 

 

 

そう、

お気づきでしょうか!

朗読終わりの「コ!」という音。、

実は、手で押さえていたストラップが

ゆれてスマホを打った音。

こちら、


 

明治神宮の「やわらぎの鈴」

です。縁起物なので、という言い訳ですが

初発信のお守りとしてそのままにしました。

ごめんなさい!

 

(ちなみに、ご神木で作られた

「こだま」という鈴もよいです。

私は音的に、やわらぎを選びました。)

 

 

こういう動画作りは、、『おぼえておいて』が

はじめてで、まだなにもわかりません。

 

ガレージバンドで朗読を録音し、

i pad のi movieで音楽と映像に重ねています。

 

ガレージバンドの「ノイズケートゲート」という機能で

声が変質しない程度に

背景のノイズを遮断するのですが、

ホワイトノイズ?(と言うのでしょうか?)が

切れず、申し訳ありません。

 

 

簡単に削減でできる方法など、

まだわからないのですが、

ご存じの方がいらっしゃっると

ありがたいです!

少しづつ学んでゆこうと思います。

 

恥ずかしいですね。。

本当にすみません!

 

 

 

こんな私なので、、

『おぼえておいて』のほかに、

シェアしたyou tube動画と言えば、、、

以前、筑波山ハイキングで撮った

森の中の小鳥の声、

たった一本だけ(笑)!

 

にも、かかわらず、、、、

あえて、登録をしてくださった、

「3名!!!」の方。

や、、やさしぃー、、、

心から、ありがとうございます(涙!)

 

これから少しずつ、

地味ながら、チャンネルらしく(なるかな?)

アップしますので

よろしくお願いいたしますね。

いっぱしに、新規登録の

お願いもしましたし!

 

 

 

ブログ冒頭の写真は、明治神宮です。

 

今回の発想を得た、秋分の日は

明治神宮に参拝した日。

風の強い日でした。

 

そのときの空と雲、

あらゆる邪気を吹き飛ばすような

風の力が、たくさんの勇気をくれました。

 

 

 

ひとつの行為の背後には

見えないさまざまなつながりがあることを

感じます。

 

新しい出逢い、そしていつも

たいせつに作品を楽しんでくださるつながり。

 

みなさまに感謝をこめて。

 

 

極上の秋を、過ごしましょう♪

 

 

 

 

 

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voices from Fullmoon of  September

 

 

 

One memory



それは、まだ
あなたが

言葉を知る前の

光るいのちだったころ

あめの音と

そらの雲と
とりの声と
くさの香りと


あなたはいつも
語り合い
笑い合い

溶け合った


あなたは
おしみなく

光を
世界にかえしてくれて


その力は
つぼみを開かせ
とりを歌わせた


互いに

ひとしく触れあった
いのちといのちのつながりが


濁ることなく
巡り巡る川のように


ただ、嬉しそうに
わたしたちを

流れていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おばあちゃんの家のキッチンは

土間にあった。 

窓から満月が見える

小さな台所に今も香る

幾種ものハーブとお茶の香り

満月の日は

ここに来てお湯をわかし

こころを開いて

なくなったおばあちゃんの

光のスープを 

静かに、飲んでみるのです。

 

レイラ

 

 

 

 

満月のスープ 第二章 7




 

ベンのデビュー  Debut


レイラの下絵はぐんぐん進んだ。
まるで子鹿が、よく知っている深い森を
自由に駆け回るように、一度もつまずかないで
描くことを楽しめている気がした。
この勢いで、一気に完成させると信じたのに
色をつけはじめてから、
レイラの絵は途端に進まなくなった。

生まれて初めて、自分以外の誰かのために
描こうと決めた絵だった。

けれど、いよいよとなって心が揺れた。

心が揺れると、忘れたはずの
子どもの頃に感じた寂しさや、両親のため息や、
おばあちゃんの亡くなってゆく時の、
どうしようもない気持ちが、どこからか蘇る。
その記憶は、こうして一生懸命描いたって
ここに来る人が、自分の作品に感動してくれることなど
あろうはずもなく、自分はとんでもない勘違いをして
ここにいるんじゃないか、という不安を
呼びさました。

いてもたってもいられない気持ちになって、
レイラは書棚に行っては、意味もなく本を手にとり、
ぱらぱらとページをめくった。
しゃがんで書棚の下段を物色すると
ベンが惚れ込む、マイルスの大型本を見つけた。
最後のページの、彼の言葉が目に飛び込む。


「 So what ?(それがどうした)」


レイラは本を閉じた。
窓の外は、どこかしら秋の気配を帯びている。
もうすぐ実りの季節だというのに。



 

先週末、レイラはベンのストリートライブを聞きに
桟橋に行った。そこは去年、レイラの誕生日にベンが初めて
トランペットを聴かせてくれた場所で、

ベンがイベント場所に選んでくれたことが、

レイラはちょっと嬉しかった。

ライブの一時間くらい前に着いたのに、
もう、少しずつ人垣ができはじめていることに驚いた。
みんな、わくわくした顔をして集まってきて
あのローカルFMで聞いた曲をやるのだろうかとか、どこそこの
ネットインタビューを見たかとか、自慢混じりにベンのバンドの
情報交換をしていた。



 

ベンたちは、緊張した様子で準備を進めていた。
音合わせが終わって、ベンがOK?という目で
相棒の男の子を見つめると、
みんな踵を浮かして、二人の姿を見ようとした。

二人は相変わらずの黒T、黒デニムだったけど
もう誰もそれを、ダサいとは思っていない。
自分を新しい世界に連れて行ってくれる、

初々しいアーチストが、音を発する瞬間を待っている。

音楽が始まると、みんなしんとした。
ベンの音楽は、上手いというのとは違う。
素人のレイラにもそれはわかる。けれど
誰もが身体ごと、音に引き込まれてゆく。

ベンには独特のパッションがあって、

ひとの心を宝石みたいに、きらきらと輝かせる。
聴く人に、自分は目に見える以上の存在なんだと
思わせる何かがあった。

大勢の知らない人たちの後ろで、

背伸びをして聞いていたレイラは

胸がいっぱいになって、あたし、彼のともだちなの!と

叫びたい気持ちになった。
人の隙間から金色のトランペットと、

ターコイズのバングルが見える。

とん、と踵を落とすと

「おめでと」と、そっと祝福した。
ベンの魔法はもう、レイラだけが知っている魔法ではない。
ベンは自分の扉を開けて進み始めたのだ。
 



 

音楽に身体を揺する大人たちをかき分けて、
レイラはそっと人垣を外れた。
絵が忙しいからライブには行けないと嘘をついていた。

 

 

何かが、すっかり変わった。

レイラにははっきり、それがわかった。


残暑が残る海辺に夕風が吹いた。
くせっけがもつれないように、レイラはゴムで髪の毛を束ねて
海を見た。
夕陽がきれいだった。
まだ家族だった父さんと母さんと一緒に
最後に食事をしたときの海。
でももう、あの日とは全然違う海。

 



それからベンとは、会っていない。
ネットの音楽ニュースでは、人気の若手タレントが、
ベンたちのことを、型破りの気になる新人と紹介していた。
ジャズの本流の人たちは、ベンの音楽を
ジャズと呼ぶのはどうしたものかと議論している。
きっと、ベンにはどうでもいいことだ。
それだけ注目される存在になったということだと
レイラは思った。


ベンからは時々、思い出したようにメッセージが届く。
相変わらず文章は短いけど、
さりげなくレイラや、絵のことを気遣っているのがわかって、
レイラはただ、「順調」とだけ返信した。
本当は順調ではなかった。

けれどこれ以上、ベンを自分の幼さや

弱気に巻き込むのは
違うんじゃないか、という気がして、
もう弱音は吐くまいと決めた。
ここは、このカフェは、
レイラの舞台なのだから。

 


 

そう思えるようになったのは
香りの力もあるのだと思う。
レイラの作ったジャムがきっかけで、おじさんは
新メニューの、オレンジパンを焼きはじめた。
ここに来て初めての、オレンジの香りが

レイラの脳を刺激した。


大きな柱時計や、重厚な机や、図書館みたいな書棚に
かすかな柑橘の香りが、ふうんわりと漂うようになって、

空気がやさしい光に包まれるようだ。

オレンジは、気分を明るくしてくれる。
レイラが勝手に「おひさまパン」と名付けると
おじさんは、キラッとした顔で
それ、いいね、と、おひさまパンの

手書きポップを作った。

ぶどうパンとチョコデニッシュだけの
殺風景だったガラスケースも、橙色のパンが加わって
ちょっと華やいでいる。

厨房にはパン窯があって、壁に白衣一式が何着か掛けてあった。
驚いたのは、お客さんが時々無心にパンをこねている光景だ。
困った時の料金代わりに、と、おじさんが考えたことらしい。

「パンは誰でもできる陶芸だよ。庶民のアートと言ってもいいね」

あのきれいな指を顎に当てて、そう呟いたときの
おじさんの本当に楽しそうな横顔を思い出して、
レイラは窓を見ながら、自然に笑顔になった。

 

 

記憶が、明るい方に上書きされてゆくような、
心地よい光がさして、レイラは
マイルスの分厚い本を書棚に戻すと、
ガラスケースからおひさまパンをひとつとった。

ただ丁寧に、一日、一日に集中しよう。

そう、気持ちを整えて、絵の前に戻った。



 

メルが黄色いモップで、絵の前の散らかった床を
せっせと掃除している。
 

「ごめんなさい、あたしやる」
レイラがメルに駆け寄ってモップに手をのばすと、

 

「気にしないで。

あたしダメなの。散らかってるとストレスなの。
あなたのせいじゃない。個人的なくせ」
と、メルはモップの柄を自分の方に引いた。

「あなたは絵に集中しなさい」

 

メルの命令口調は

レイラのスランプムードを

察しているからだ。


「ありがとう」と素直に言うと
メルは手を止めた。

 

「あなたの友だち、あれから来ないのね」
 

「ジャズ、頑張ってて忙しいの。でも、ここのことは

気に入ったみたい」

レイラは、努めてサラっと答えた。

 

 

「あの子、ヘンよ。
あたしに笑われたくせに、

あたしの声が面白いって!
一回、演奏に合わせて歌う?って。。
ナメてる!馬鹿じゃない、ほんと」

驚きだ。ベンは、

本当にメルに声をかけていたのだ。

 

メルは、苦情でも言うように

眉をひそめたけど

レイラには何かがスルーできず、

ひっかかっている感じに

見える。

 

そういえば、メルは小さい頃から
教会で歌っていて、町一番の
美声で評判だったと、おじさんから
聞いたことがあった。

「今も聖歌隊で歌ってるの?」

レイラが何気なく尋ねると、
メルはびっくりして、顔を上げた。
 

「何で知ってるの?誰から聞いた?」

「あ、、ボーダおじさん。天使の声だって」

メルは、ルール違反だとおじさんに抗議するように

もう、とモップで床を叩いた。


「どこが天使よ!って思ったでしょ。

安心して、もう歌なんて歌ってないから」

「そうなの?」

 

「母さんが死んじゃったの。
弟たちの面倒見なくちゃいけないし
聖歌隊どころじゃないから」

メルは、事務的にそう言うと、

髪の毛を揺らして

モップに力をこめながら

本音をつぶやいた。

「もう絶対、神さまになんて歌えない。。
きっと神様は助けてくれると思ったのよ、母さん。
でも助けてくれなかった。どうしても、どうしても
助けて欲しかったのに、助けてくれなかったもの」

 

 



 

床を拭く音に、言葉の余韻が残った
思いがけず、触れてはいけない傷に触れてしまったと
後悔して、レイラは、「ごめん」とメルに謝った。

無意識に、おひさまパンを半分に割って

メルに差し出しながら。
 

メルは遠慮なく片手で受け取って、別に、と

ぱくっと頬張ると、無表情にもぐもぐと食べた。

そしてふと、心の中で何かを決めたように

レイラに向き直って切り出した。

「あなた、おじさんがお医者さんだったこと、知ってるでしょ?」
 

初耳だった。

いつもほっとする、やさしくて清潔な
おじさんの手。あれを医師の手だと言うなら

レイラにはすごく腑に落ちる。

「そうなの?聞いたことなかった」


レイラの返事に、メルはちょっと戸惑って

どう話すべきか思案する顔になり、

慎重に話を続けた。

 

「そう、、、じゃあ詳しくは言えないけど
おじさん、ここで病院やってたの。

名医だったのよ。でも、できなくなって、、
閉じちゃったの。
娘さんのことで、ここ、やられて、、」

そう言って、メルは自分の胸の真ん中に手を置いた。


「娘さんね、いろいろあって、、亡くなったの。

おじさん、自分を責めちゃって、、

まるで生きてる時みたいに、

ひとりで娘さんと話したり。。。」

 

「うそ、、、」

レイラは言葉を失った。

 

「でもね、おじさん、自分はやられてなんかいないって。

普通の人にはわからないって。

おじさん、昔から芸術にも通じてて、

そっちの世界の人は、そんなおじさんのことを

受け入れたの。おじさん、それで、

決心してここを作ったのよ。

どんな人にだって、

奇跡を受け入れる場所が必要なんだって。

アートはその扉になるよって」

 

メルの話を聞いても、頭がぼやっとしていた。

混乱している。

 

メルはきれいになった床に満足して

ふっと、息をつき、ぐるっと周囲を見渡した。

 

「あなたたちのこと、アウトだって

はぐれちゃった人みたいに言ったけど、
ここはそうなの。みんなそう。おじさんも含めて。

みんな急に心に真っ黒い穴が空いちゃった

ひとばっかり、、、普通に暮らしてるみたいだけど、

心の中は違う」

 

 

カウンターに、透明な水差しが置かれていた。

水にうつる淡い虹のような光が

宿っていたおじさんの目を、レイラは思い出した。

とても繊細な心を持つ人の瞳。

 

 

「勘違いしないでね。
やさしさとか、癒やしとか、誰も求めてないから。
天国の扉を、描いてほしいわけじゃないの。
ただ、本気で生きてる画家にしか

開けない扉があるって、おじさんは言ってた」

 

メルはそう言って、レイラと

目を合わせた。

メルがレイラのために

話してくれているのだと、ようやく気づいて

レイラもメルの目を見た。

そして、思い切って笑いかけると、

メルの口まねをして、尋ねてみた。

 

「"悪いケド、アナタ子どもで、本気に見えなかった"でしょ?」

 

メルは、上から目線で、そうよと頷いた。

 

レイラは、パンの残りを口に放り込み、

メルを見つめて、ごくんとのみ込んで、言った。
 

「で、こうして本当のこと話してくれたってことは、

今のレイラは違うっていうのね?」

メルは、首を傾けて
ちょっと面白そうな目をした。

そして、かすかに微笑んだ。
メルが微笑むのを、レイラは初めて見た。

 

【続く】

 

 

宝石緑本文中の「レイラの誕生日」の章はこちらから→ 

第一章は右のテーマ欄「【物語】満月のスープ」から、

第二章は『【物語】満月のスープ 第二章」からお読みいただけます。

 

 

 

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エッセイ・随筆ランキング

 

 

 

 

 

○『おぼえておいて』テキストの期間限定公開は

9月14日で終了いたしました。

全文朗読の動画はこちら、you tube よりご覧いただけます。

 

 

電子版

『おぼえておいて』  →  ☆☆

 

『きのことかもしか』  →  ☆☆

 

『きのことかもしか』総集編  →  ☆☆

 

 

 

 

 

 

目覚めると

 

 

どこか違う場所に

いる気がすることがありませんか。

 

 

すごく静かな

海の音が聞こえる時がありませんか。

 

 

私はつい

ぼうっと、この優しい音に

聞き入ってしまうときがある、

 

 

洗面台で歯を磨き

ざぶっと顔をあらって

朝食の準備をするころには

海の音は、すっかり

日常の雑音にかき消され

 

心の片隅で

切ない気持ちを感じつつ

プランターの植物に水をやり、

大都会のヒトの顔になり

その日を始める。

 

 

 

けれど

 

この日は、

 

始まらなかった。。

 

 

パジャマのまま暫く

窓のそばにぼんやり。

 

とてもとても慌ただしい

広島帰省中

まだ、お墓参りも、これからなのに、、

耳が、ずっと

その音を追い続け。。

さらに、、


 

♪~~脳内BGM  calling you  ~~♪

 

 

 

 

can't you hear me? ♪

 

 

 

 

 

 

can't you hear me? ♪

 

 

 

 

 

 

「行こう」!

 

 

 

呼んでいるのは、、、

 

 

そう、あれは確か2年前

 

東京から広島へ向かう

帰省新幹線の中、

不思議な出逢いで

その名を知った

 

 

「仙酔島」

 

 

 

 

あのときのお母さん、

はるくん、

おぼえていますか?

 

 

当時、私は知らなかったけれど、仙酔島は、

宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」の舞台として知られ

島全体が神社のような聖域であり

パワースポットだそうですね。

東京からも、ツアーが出ているそう。

 

 

【出逢いのエピソードはこちらです】↓

 

 

広島市からなら

新幹線で福山まで約30分。

そこからバスに乗り約30分で鞆の浦。

鞆の浦からフェリーで5分。

 

じゅうぶん日帰りできるもの!!

 

心を決めて、ことりっぷ支度を始めた途端

「また出た!衝動旅?まじ?オトナでしょ!

やることメチャメチャあるでしょ。あれでしょ、これでしょ」

そう、朗読のアップもまだだったし。。

 

 

ああ、理性の声が、

最大のボリュームに。

 

 

けれども、この日

内なる声が、理性の声を強く却下。

 

オトナのワタシ、ヨイコのワタシの声を聴いてると

未来永劫、行けないもの。

 

 

 

乗っちゃう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(↓こちらは弁天島です。フェリーはこの向こうの仙酔島に向かいます)

 

 

着いたら、そこは

潮と岩の島だった。

 

 

 

聖地と言うのだけれど、、、

大地の情熱がたぎり

いのちが吹き出した瞬間が

今も続いているような

 

強いエネルギーを感じる土地。

 

 

およそ9000万年前、

この付近で、

大きな火山活動が起こり

激しい地殻変動が起きた結果

大地が大きく傾斜し、さらに

大規模な地震が何度も起きたという。

当時の地層が残っている珍しい土地。

 

あとで調べてみると、その時代は

大陸が再編成された時期で

平均気温は現在の2倍くらい。

さらに海底火山の影響で、海洋生物は死滅。

生物にとっては、およそ平穏とは言いがたい

恐竜が生きていた時代の、すさまじい地球。

 

 

 

この島で、パワースポットとして

最も有名なのが

赤、黒、白、黄、青の色から

「五色岩」と呼ばれている、島独特の岩。

 

 

これは、これは!

「シュリー・ラリターの千の御名」に

デーヴィを称える美しい花々の詠唱があるのだけど、

まさに、その花に岩が重なって

大いなる女神に見えてくる。

 

 

 

「チャンパカ(黄色)、アショカ(赤)、プンナーガ(白)、

サウガンディカ(青)の花を髪に飾るお方」

(シュリー・ラリターの千の御名より)

 

 

 

女神はきっと黒髪だろうから、合わせて五色。

ごつごつした雄々しい岩場も、女神の髪飾りと思えば

美しくも、広大な惑星全体を包む、

母なるパワーを発しているよう。

 

 

 

そういえば、ポニョの母、

グランマンマーレも、美しい海の女神で

大海そのものが女神の身体のように壮大に描かれていたっけ。

 

 

 

着いたのはお昼前。

殺人的な炎天下で、

海水浴客で賑わう、船着き場近くの

ビーチを除き、

ほぼ誰も、外を歩いていない。

 

たったひとり、てくてく。

どこから見てもひ弱っちい、

都会の物書きおばさんが

大地の力に歩かされる。

 

 

途中、熱中症で運ばれちゃ

かっこわる過ぎ、と

バッグから炭酸水を取り出して

体育会系の少年みたいに

頭にかけながら(笑)

ひたすら黙々と、歩く

 


 

時折見つける

瞑想にぴったりの(笑)

こんな岩陰で、ちょっと休憩しつつ、

 

 

やがて着いた

彦浦の先。

 

 

ここには

「閃きの門」という門が開き、

宮柱が立つと言われる。

 

 

「3時間座れば

生まれてきた役割に気づく」

 

という

遠大なコピーがつけられた浜。

 

 

 

しかし、、、

さすがに、この炎天下に3時間座ってたら

役割に気づく前に逝ってしまうでしょう、、、

 

 

 

浜には人気がなく、。

小さな貝がたくさんあって

あの日、お母さんが

「朝、桜貝を拾うの」、と呟いたことを

ふと、思い出した。

 

ここだろうか。

 

 

冬の海辺しか散歩したことのない私だが、

この日はつい靴を脱ぎ、、

ぬるい海水が足首をくすぐぐる、夏の浜辺を

あるいてみた。

 

 

あ、ひと組、

プライベートビーチ状態を

満喫するカップルを発見。

 



 

熱愛カップルの視界に

私のお散歩はあまりに

野暮だから

 

 

足を拭いて、

さっと靴を履き

ひとり、その先の岬へ

どんどん、どんどん上る。

 

日本で最初に

朝日が昇る地であるという

烏の口展望台。

 

 

 

ああ、ここで朝日や夕陽が

見たいと思う。

 

 

 

新幹線の、はる君とお母さんも

もしかすると、この夏

ここで同じ景色を眺めたのではないかしら。

お勉強好きな感じだったから

もしかすると、お受験期かな。。

 

などなど。。

心の片隅に、二人の面影をちらつかせ、

遙か白亜紀の激しい地殻変動の痕が残る

地球の上を、

ただわけもなく

汗をふきふき、てくてくと歩いた一日。

 

 

 

 

 

どくどくと

地球の鼓動。

 

からだと言葉が繋がったとき

言葉の仕事は

実になってくれて

必要な誰かに届く。

 

けれど

どんな言葉も

地球の創造作品には叶わない。

 

あたりまえだ。

 

それでも

時間を超えた

地球のコアの言葉を

人につなぎたいという

燃え立つような衝動が

 

体内から

湧き上がってきて、

 

 

空を見た。

 

 

勢いよく空を駆ける、龍のような雲が

ふわりと浮かんでいた。

 

 

 

 

次回は宿泊しようと

パンフをいただきに宿へ向かう。

 

 

ピークシーズンだから、満室なのだけど

よほど名残惜しそうにしていたのか

「おひとりなら、何とかできるかも、、」と

パンフをくれたスタッフさんが

私の目を見て、声をかけてくださった(笑)

 

 

「え?ホントですか??(嬉↑)」

充電器も宿泊準備も全くない。

でも、、携帯なし、お化粧なしの

ワイルドお泊まり体験もよいかも!

なにしろ原初の力に満ちた島だもの、、

 

「泊まります~!」

と叫びたい気持ちがマックスになった時

ああ、コンタクトレンズがないと

なにも見えないのだった、、、と気づき、

がっかり。。

哀しき現代人。

 

 

次回はきっと

蝶の飛び交う森を探索をしたり

弥山に登ったり、

ディープに潜入してみたい

仙酔島。

 

 

海と森に自分のルーツを感じる方には

記憶の底に眠るものを

呼び覚ましてくれるかも。。

 

 

戻ってからもしばらく、意識が都会に定まらず

なぜか、感情が高ぶり、

ふと、理由もなく涙が溢れ、

なかなか文字の世界に戻れなかった。

 

むき出しの地球に触れ、

見える世界、感じる世界が

変わってゆく感覚。

 

 

セドナ好きの友人が、セドナは

洗濯機に入るような場所だと言っていたけど

ちょっと、似た感覚かもしれません。

 

 

そういえば、

ネイティブアメリカンの部族には

岩を、敬愛する祖父に喩えた

「ミシュミシュ」という癒やしの言葉があるそうです。

抑圧された感情を解き放つのに用いる岩。。

 

 

 

 

 

 

 

ハートが開かれ、

アーシングたっぷりで

東京に戻って、暫くして

脳にガツンと衝撃をくらう。

 

 

熱帯雨林火災の大惨事。

 

わたしたちの、呼吸の源であり

わたしが名前すら知らないような

多様な生物を生かし守ってくれている

母なる地球の危機を

とても小さなニュースで知った。

 

いつもそうだ。

 

大音量で伝えられるニュースの陰で

一番たいせつなニュースは

ささやき声のように小さい。

そして、

それはまず、

見えない場所から、こころの内側に

伝わってくる。

 

 

さらに今、日本では

九州地方で浸水被害が出る豪雨。

 

 

工業用油が流出して

排水作業が滞ってしまうなんて

初めてのことではないだろうか。

長期化しなければよいけれど。。

 

 

 

朝瞑想が

祈りになり。。

あの、白い花びらが、おびただしく

降り注ぐ新月。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生きている奇跡。

 

 

奇跡的な命の繋がりの先に

 

生かされて

 

生かされて

 

ここに、いま

一緒に生きている。

 

 

 

 

 

   ***************

 

 

 

虹 special thanks!  虹

 

 

この8月は

大人になってからずっと住んでいる東京と、

思春期まで、両親と暮らした海街のひろしまが

私の中でひとつにつながったような、特別な月でした。波

 

 

『おぼえておいて』の広島イベント上演、

著者朗読の動画で生まれた、

アーチストのみなさま、応援してくださるみなさまとの暖かいつながりと、ご協力に本当に感謝していますキラキラ

 

 

それから。。

作品は心が触れてくださった方々のインスピレーションや、想像力で完成するもの。

著者朗読はひとつの例に過ぎません。

 

ご自身の感性で、自由な表現をしてもらう、ニュートラルな土台のようなものになれば幸いです。

 

 

『おぼえておいて』の本文は来月の満月まで公開します→☆☆

 

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