政治学プロセス論

「市民の疑問を解消し,質の高い市民意思の表明のための条件となるべき住民説明会は,「催眠商法」と揶揄されるほど,賛成誘導に偏した,法の規定にある「わかりやすい説明」とはほど遠い内容のものとなっている。柏原 誠 (大阪経済大学・准教授) 政治学・地方自治

橋下徹氏が詐欺的なセリフやグラフを使い続けていることも大問題です。」北山俊哉 (関西学院大学・教授) 行政学・地方自治論

政治家の取り引きの結果、歴史ある大阪市が消滅し、財源も権限も奪われた特別区へと解体される。そしてその結果、大阪市民が築き上げてきた財産が次々と切り売りされ、行政サービスも著しく低下する。そんなことを許して良いのでしょうか。」冨田宏治 (関西学院大学・教授) 政治学

「最後に特定公政治権力がこうした危険性についての議論を隠蔽し、弾圧したままに、特定の政治的意図の下、直接住民投票でそれを強烈に推進しようとしている。つまり、それはその中身も推進手続きも論外中の論外の代物なのである。」藤井 聡 (京都大学大学院・教授) 公共政策論、国土・都市計画

「書店に並ぶ本は、大阪都反対が圧倒的に多い。不思議なことに、橋下氏以外の維新の党の政治家は、討論会に出席しない。つまり、橋下氏の弁舌だけが、大阪都構想を支えているのだ。…(中略)…一方的でウソが多く、疑ってみるべきだ。(民主党政権や安倍政権を批判してきたマスコミや東京の学者が、大阪都に対して弱腰なのは、大阪都の複雑さと、異論には橋下氏や維新が「個人攻撃」するという異例のメカニズムとによるのだろう。)」村上 弘 (立命館大学・教授) 行政学・地方自治論

「民主主義は理念であり手続きです。「都構想」についての民の声はどのように形成されてきたのかが見えていません。」 岩﨑裕保 (帝塚山学院大学・非常勤講師) 教育学

制度を変えれば、政策が良くなるわけではけっしてない。議論をして手間ひまをかける民主主義を大切にして「大阪」の生活と文化と街を発展させる点からも、大阪市を廃止・解体する「大阪都構想」には重大な問題があります。」水谷利亮 (下関市立大学・教授) 行政学・地方自治論

「自治体政策論の立場で考えれば、今回の大阪都構想はズサンな制度設計案といわざるをえず、その政策意思決定プロセスにおいても『いいことづくめの情報操作』『異論封じ込めの政治』が行われました。」大矢野修 (龍谷大学・教授) 自治体政策論

「政治学的に分析するなら、大阪都構想とは、思い付きに過ぎない政策を否定された維新の会が、これを実現するために、権力と財源を府に、そして一人の知事に集中すること目指したものである。これを進めてきた手続きは、行政学・政治学的に考えて適正なものではなかったし、行われた説明は願望とまやかしに基づくものであった。」  木谷晋市 (関西大学・教授) 行政学・政治学

「橋下徹氏の政策づくりの特徴は...(中略)...調査の軽視です。よい政策づくりに調査は欠かすことはできません。いわゆる「大阪都」構想にも調査不足の拙速さばかりが目立ちます。提供される情報は、客観的なデータではなく、根拠の乏しい期待や願望がほとんどです。これではうまくいってもラッキーヒット、普通はしくじると危惧されます。 窪田好男 (京都府立大学・准教授) 公共政策学

大阪の地方自治の歴史において、とりかえしのつかない愚挙とならないことを祈っている。重森 曉 (大阪経済大学・名誉教授) 地方財政学

「これら一連の橋下市長の行為は、彼の民主主義への無理解と傲慢さの表れであり、そのこと自体も「都構想」なる大阪市解体構想の危険性の証しである。この危険な政策に向けて、「不誠実な扇動」によって人々が動員されていく状況を深刻に憂慮しています。」下地真樹 (阪南大学・准教授) 経済学

成熟した民主主義においては「手順」が非常に重要です。…(中略)…しかし今回はあまりに自作自演の勝手な順序であり、さらには「無理やり法定協を手中におさめる」「予算と恫喝をちらつかせて各方面を誘導していこうとする」など、いずれも実に悪質な手口であると感じました。」釈 徹宗 (相愛大学・教授) 宗教学

「唯一の根拠であった「二重行政解消」の虚構性が明らかとなったにも関わらず,改革者のイメージのみを強調して具体的内容を語ろうとせず,市民に判断材料を与えないまま選択を強いる手法は「戦後民主主義の危機」と言わざるをえない。」 杉本通百則 (立命館大学・准教授) 環境論

「この投票にはいくつかの無視できない前提が欠如している。一つ、大阪市の廃止など、「改革」の域を越えた事柄が問われているのに、それが十分伝えられていないこと。一つ、大阪府や大阪市をめぐる問題点についての現状認識が共有されないまま「二重行政の解消」という虚構が先行し、その議論に乗らない者は「対案を示せない」と切って捨てられる議論が横行していて、民主的に議論を進める上できわめて不公正な状況にあること。」 住友陽文 (大阪府立大学・教授) 歴史学

大阪市民に是非を判断する材料が、提供されていないことに憤りを感じます。アンフェアでかつ虚構に満ちた説明を繰り返す手法の危険性は、映画『独裁者』でチャップリンが伝えたかったことではないでしょうか。」 長友薫輝 (三重短期大学・教授) 社会福祉学

「移行にともなう莫大なコストだけははっきりしているにもかかわらず、「構想」が実現した場合の住民にたいする「効果」はきわめてあいまいです。政策の体をなしているとは到底言えません。」森原康仁 (三重大学・准教授) 経済学

権力者に対する学説からの批判の自由は守られなければならず、国会質問で取り上げるなどして圧力をかけるというのは、天皇機関説事件の例を持ち出すまでもなく民主主義を機能不全に陥らせる。井出 明 (追手門学院大学・准教授) 観光学

大坂府・大阪市自身の問題であると同時に、日本の民主主義にとっての重大事態と痛感します。晴山一穂(専修大学・教授) 行政法

過剰改革・効率化論

いつの頃からか「改革」やら「変革」やらが安易に使われ、何かをぶっ壊すことが正義であるかのように語られ始めました。…(中略)…皆さんもっと冷静になってください。急激に変化に人間は耐えられません。変える前に立ち止まってよく考えることは極めて重要です。急激な変化の向こうには破綻しかありません。神谷章生 (札幌学院大学・教授) 政治学

財政効果のみを考慮する統合は、地域で営々と築かれてきた知的財産、伝統、文化を壊し、市民や府民の利益にかなうものとは思えません。」 高森康彦 (大阪府立大学・名誉教授) 生物学

「「大阪都」の首長が描く成長戦略を強権的に進めることを可能にし、産業はもとより教育や文化活動にいたるまで、成果主義で煽りたてる競争社会を目指すものである。これでは自然環境どころか社会環境をも破壊しかねず、大阪をリスク都市に陥れると危惧される。」 西川榮一 (神戸商船大学・名誉教授) 工学

長年築き上げてきた科学や文化の蓄積、生活のあり方などが、「合理化」や「効率」の名のもとに切り捨てられるのではないかとの危惧を抱きます。あまりにも「効率追求」に走る事は社会を活性化させる事にはならないでしょう。」 和田幸子 (神戸市外国語大学・元教授) 国際経済論

二重行政論

「大阪府と大阪市の二重行政が税金のムダづかいを生むというのが、「維新の会」が「大阪都構想」を主張する最大の根拠になっています。しかし、その主張には根拠がありません。鶴田廣巳 (関西大学・教授) 財政学

「道府県と政令市とのいわゆる「二重行政」については、多くの場合ほとんど問題になっていないことから、そもそも政令市を解体する理由にはならない。」平岡和久 (立命館大学・教授) 地方財政学

「大阪府市は特別区になった場合の財政シミュレーションを示しているが、再編効果には大阪市の事業の民営化(地下鉄・バスや一般廃棄物事業など)や「市政改革プラン」など、「大阪都構想」による二重行政の解消とは関係のないものが意図的に盛り込まれている。それらを差し引けば、純粋な再編効果は単年度でせいぜい2~3億円程度しかなく、その一方で「大阪都構想」によって初期費用600億円、ランニング費用20億円/年が必要となり、財政的に大きな赤字の発生が懸念される。」森 裕之 (立命館大学・教授) 地方財政学

「二重行政が「大阪」をダメにした。これが大阪維新の主張のひとつ…(中略)…本当にそうでしょうか。…(中略)…機会すら"無用"という考え方には重大な問題がはらまれています。井上千一 (大阪人間科学大学・教授) 経営学

「広域行政を担う大阪府と基礎的自治体である市町村は、それぞれの役割と視点から行政を行っているので、「二重行政」が無駄とは一概には言えないのです。どうすればよりよい大阪を展望できるのか、その答は大阪市の廃止にあると結論する根拠を見出すことはできません。」 高山 新 (大阪教育大学・教授) 財政学

漠然としたイメージだけの二重行政批判にもとづいてリストラの発想による商工行政・支援機関の一元化が図られる場合、企業支援の水準が低下する恐れがある。」 本多哲夫 (大阪市立大学・教授) 地域経営論・中小企業論

経済・産業政策論

「「大阪都構想」は、住民の意思にもとづき住民の福祉向上をめざす自治組織を解体し、「大企業が潤えば、いまに住民も潤う」という破綻済みのトリクルダウン論にしがみついて、大企業奉仕の広域地方経営体をつくろうとするものでしかありません。」石川康宏 (神戸女学院大学・教授) 経済学

地域経済学の視点からみると、むしろ大阪経済のさらなる衰退を招くといわざるをえません。…(中略)…今必要なのは、現在の大阪市や区の行財政権限と住民自治機能を強めて、大阪経済の圧倒的部分を担っている中小企業群の再投資力を高めることで、主権者である住民の福祉の向上を図ることです。」岡田知弘 (京都大学・教授) 地域経済学

大阪経済の再生には、大阪市がこれまでの経済産業開発政策の総括と調査、研究を行い、社会のニーズと取り組みを発掘し、サポートするような都市経済政策とその実行が必要なのであって、大阪市を廃止し、大阪府に一体化したからできるものではない。西堀喜久夫 (愛知大学・教授) 地方財政学

「今、これ(中小企業)を支援する産業政策、住民主体の福祉の街、緑豊かで子供が育つ街、つまりすこやか大阪が求められる、これが発展の方向だ。そのためには、住民に近い大阪市の区を活性化することだ。カジノなどはバブルの後遺症だ、決して、都への集権ではない。」北野正一 (兵庫県立大学・名誉教授) 経済学・経済政策論

都構想にとって唯一の地域政策であるカジノ(賭博場)誘致は、「公共の福祉に反しない」という要件を充たさないばかりでなく、それ自体、決して儲かる商売ではないことが明らかになっています。桜田照雄 (阪南大学・教授) 経営財務論

「住民投票にかけられる大阪市廃止・解体構想については、(大阪都構想の)理念とは全くの別物であり、また、制度疲労が言われている特別区による方法が、大阪の景気浮揚につながるとは思えません。東京には、益々水をあけられるだけでしょう。」道野真弘 (近畿大学・教授) 商法・会社法

「連綿と続く歴史的資産としての商店街が、「大阪都構想」によって一瞬にして解体されることによって、人々の生き生きとした生活が失われることになってしまうのではないかと強く懸念します。」中西大輔 (岐阜経済大学・専任講師) 流通経済論

「カジノ構想などの大型開発に依拠した成長戦略ではなく,大阪の中小企業の技術力を活かした大阪経済の活性化を目指すべきである。」 永島 昂 (立命館大学・准教授) 日本経済論

「大阪維新の会」が大阪府政、大阪市政を牛耳る中、府市の中小企業政策は大きく後退しました。府レベルで「商業関連予算」が2007年度17億円であったものが2014年度にはほぼ3分の1の6億円に削減されました。 八幡一秀 (中央大学・教授) 中小企業論

大阪都構想の経済成長戦略には、大阪経済や中小企業の活性化をもたらす根拠が示されているようには思えません。 田中幹大(立命館大学准教授) 中小企業論

民営化論

水道は、最も公共性が高い地域独占のライフラインであり、住民は選択不可能である。…(中略)…公営が良く民営はだめと決めつけるのは早計である。…(中略)…大阪市が解体されて無くなると、必然的に大阪市水道局もなくなり、民営化される。」中村寿子 (阪南大学・非常勤講師) 水環境学

東京では都が直営している地下鉄、バス、水道について、なぜか大阪都構想では民営化するとしている。東京で民営化の予定はない。」西村 弥 (明治大学・准教授) 行政学、公共政策学

「大阪都構想のもとで行われる市民のセーフティネットでもある「保育園」などの民営化は,住民サービスの低下につながることが必至であり,これは行政の責任放棄と言えるのではないだろうか。」 野口義直 (摂南大学・准教授) 経済学

大阪市解体の「大阪都構想」に反対する108名の学者の所見③に続きます。