オンラインサロン『ふみサロ』で、毎月1冊の本からインスパイアされてエッセイを書いています。
7月の課題図書は『失敗の科学』(マシュー・サイド著)です。
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【エッセイはここから】
私の父方の祖母は、私と同じ位の年齢で亡くなっています。 父が23歳の時で、まだ結婚もしておらず、私の母とも会ってはいませんでした。
原因は脳に出来た腫瘍を取り除く為の手術の失敗だったようで、亡くなるはずではなかったそうですー
父は今年1月に87歳で天寿を全うしましたが、これまで、祖母のことについて語ったことは殆どありませんでした。
むしろ語ることを避けているような雰囲気がありました。
昔、父と話した時、
「手術が失敗して、何もしなかったの?」と聞いたことがあります。
正義感が強いところのある私は、
「病院を訴えなかったのか?」 「泣き寝入りをしたのか?」 「悔しくなかったのか?」
と追及してしまったような記憶があります。
父はその時、
「そういうことをしても、母が戻ってくる訳ではないから...」と答えました。
私はそれ以上何も言えなくなったのを覚えています。
そんな父は、昭和9年に京都で私の祖父が創業した『西陣織』の帯地の製造・販売業を生業としてきました。
祖母も織屋の娘でした。
私が子供の頃は景気も良く、従業員さんも沢山いました。
しかし、就職する頃には着物人口は減り続けており、全く未来の見えない業界となってしまいました。
私は4,5歳の頃、西陣から離れた今の住まいに引っ越し、家業に関わることなくこの半生を生きてきました。
そんな私は社会に出てから約30年、10社以上の職場を転々としましたが、将来の無いこの業界に関心が向くことは全くありませんでした。
それが、一昨年、3代目となった私の兄の誘いで、家業を手伝う機会があったのです。
この時、私はこの『西陣織』の素晴らしさに改めて気付き、これからの人生は『西陣織』について、そして着物や日本の伝統文化の素晴らしさについて、より多くの方に伝えていきたいと考えるようになりました。
祖父や父が守ってきた『西陣織』、今度は私が私らしい形で守っていけたらと思っています。
【ここまで】
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