ビル管理が行き届いている。

そう書くと不便なく快適なイメージのオフィスアワーを想像するが、そうではない。


古く小さなビルのため、ところどころ傷みが見て取れる。


管理会社の担当者が頻繁に不便はないかと挨拶に来てくれて、関西に出張するたびにこちらではなかなか買えないツマガリのクッキーの大きな箱をお土産でくれる。


そういう意味で行き届いている。

昨年エレベーターの取り替え工事があった際も、約2週間8階まで階段を使わねばならず、季節は真夏。昼休みはウォーキングをしているので、毎日最低2往復の階段上り下りはさながら怪談であった。

運送会社の方の苦労は想像を絶する。感謝なのだ。


この時も管理会社の担当者は甲斐甲斐しく階段をつかってやってきては様子を見にきてくれた。

いい人だし安心だなぁー、と思っていた。


先日、ビルのセキュリティカードが反応しなくなり管理会社に電話した。するとすぐに状況を調べて折り返し連絡があった。


「明日、オーナーと管理人が挨拶に行く予定です。カードの件は話はしましたので、交換のタイミングなど相談してください」とのこと。


ビルのオーナーは高齢でご家族、おそらくご子息が代行してると聞いていた。高齢のオーナーが来るのか、ご子息か。

たまたまってタイミングよくて助かるなと翌日を待った。

セキュリティカードはやはり使えないままだ。


翌日、午前中の早い時間にインターホンがなる。

オーナーだなと扉を開けた。


「いつもお世話になっています」

しょっちゅう来ていた管理会社の担当者と水道検針で毎月来る人が立っていた。


「セキュリティカードですが」と一通りの話をしてから今日は改めてご挨拶だと名刺を交換した。


するとツマガリのクッキーをくれる管理会社の担当者の名刺には「代表取締役」と書いてあった。

もう1人が管理会社の肩書き。


え、え、え?


これはつまり優しく気のいい人だと思ってアルバートさんに懐いていたキャンディ・キャンディだが実はアルバートさんがキャンディのサポートを陰でしてくれていたウィリアム・アルバート・アードレーだった!みたいなそういう話ではないか!


と、キャンディ気分になって大コーフン。


ツマガリのクッキー、調べたら5000円くらいのサイズだったし経費でどうやって落としてるんだろうなー、時々くれるコーヒーチケットも使える店は一杯800円くらいする店のものだ。


なるほどオーナーならできるのかー!


正体を明かさずこれまで接してきたが、だからといってこちらの態度が変わるわけでもない。

またたまにツマガリのクッキーが食べられたらいいなと願うだけ。





にゃおす😽

ケビ子