先週の日曜日のこと、夫が真っ青な顔でベランダから戻ってきた。
我が夫はサボテンを愛し、朝晩ベランダに出ては挨拶と言って世話をしている。
狭小住宅なのになぜかベランダは大きく、ルーフバルコニーもあるために、大きな洗濯物を干すにはトゲトゲに注意が必要な数になっていた。
サボテンはたくさんあるが、夫が「サボさん」と呼ぶ特に気に入ったサボテンがある。
太くて長く存在感あるサボテンである。
ベランダから戻った夫は「サボさんがいなくなった!」こう言った。
擬人法かよ、と思いつつあれだけたくさんあるから一つなくなってもなんら景色に影響ないではないかと思う気持ちを抑えて返事をした。
「え?いなくなった?そんなわけないでしょ?飛ぶわけないんだから」
我が家は角地の角部屋なため、日頃も風の影響を受けやすくその日も風で倒された鉢が二つあった。しかしいなくなる、ということはあの大きなサボテンが飛ばされるくらいの風なわけでそれはちょっと考えにくい。
たまたまその数日前までベランダの修繕工事があり、工事業者によってベランダに置いたものが一部動かされたこともあり私はこともあろうか疑った。「工事の人が持って帰ったとか?」しかし夫曰く「昨日まではいた。間違いない。このご時世工事の人が持って帰るなんてありえない」
ふむ。
念のため身を乗り出して下を見た。
落ちるとしたら一階しかない。
しかし何も落ちていない。
翌月曜日、マンション管理人にサボさん失踪の話をして何か情報があれば教えて欲しいとお願いしていた。
見るからに元気がない夫。
サボさんがいない。
サボさんがいない。
誰かがサボテンステーキでも食べてるかもね!
夫の元気がないのは気の毒だがそれほど関心がない妻。
そうこうして数日が経ち、金曜日の朝となった。
サボさん失踪から6日目。管理人から手紙とこれは白菜か?と思うビニール袋を受け取った夫。
何やら事件めいた報告書を受け取った。
冷静に落下してきたサボテンを撮影し、報告書にする被害者。
マンション理事会で同じ時期に役員を務めた几帳面なあの方のお宅(一階)に落下したようだ。
落下したご家族に怪我はなかったのだろうか。
サボさんは怪我をしているが、致命傷では無さそうだ。
サボさんはビニール袋に入れられて白菜のようだったが無事であった。
その日のうちに一階のお宅に菓子折りを持ってお礼とお詫びにうかがった。幸い怪我人もなくただ驚いたとのことでホッとした。
翌日、マンション入口の掲示板にベランダからの落下物がないよう洗濯物や鉢植えの置き方に注意せよ!と書かれた張り紙があった。
うちのことである。
しかし、どうやって落下したのか見当がつかない。うちの夫とサボ(呼び捨て)が迷惑をかけて申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
戻ってきたサボ(呼び捨て)はこのように負傷。
帰ってきたから良かったが、どこかでサボってんのかと思ったよ。サボテンだけに。
鉢植えはほどほどに。
にゃおす🐱
ケビ子