土曜日の朝のこと
ほぼ毎週土曜日はゴルフに出かける夫の奴さんなんだが、先日は予約をキャンセルして寝ていた。
しかし私はここ数ヶ月土曜日は実家に帰り、母ちゃんのお見舞いと食事の準備があるために早起きであった。
狭小住宅の我が家なので、キッチンで抜き足差し足しても音が漏れる。
何も朝から太鼓を叩いて、時にはヨーなんて掛け声まで、というわけではない。
常識的なキッチン利用時のdBであろう。
文句を言いながら来た男
しかし奴さんはぶつくさ言いながらこちらにやってきた。
「もうだめだ、もう眠れない、音が響いて何もかもだめだ」
この男の良いところでもあり、悪いところは全て大袈裟なところである。
土曜日の朝、妻が台所仕事をしている音でこの世の終わりのような物言いをしてきたのだ。
熟年の知恵
私は知っている。
こうした際に自分の正当性を主張して上手くいく試しはない。
すぐさま「あら、ごめんなさいね、ごめん、ごめん」と謝る。するとそれ以上は言えないものだ。
ごめんごめんと言いながら、洗濯もしちゃおう。
はっきり言って知ったこっちゃないのだ。
貴様のパンツを洗ってやるのだからね。
奴さんの真意
心配性の奴さんとしては、私が土曜日にゆっくり眠れず毎週早起きしてお弁当やおにぎり、ケーキを焼いて忙しくしてるのが心配なのだそうだ。
ミニおべん、おにぎり、ケーキ
「無理をしないで、楽をして身体を休めて欲しい、君は病気なんだから」
この男は本当に頭が良い。
「うるさくて眠れないから土曜日の朝は何もしないでくれ」
これを優しくシュガーコートすると先程のセリフになるわけだ。
(知らん、知らん、母ちゃんが待っているんだ。
貴様はゴルフに行ってらっしゃいな。)
心の中でこうつぶやきながら答えた。
「うん、無理しないにするね、ありがとう」
一切の行動を変えるつもりはないのだがね。
言い過ぎたと思ったのか、奴さんが巨峰を買ってきた。果物にはめっぽう釣られてしまう私である。
今日も円満である。
ちなみに、奴さんは前夜22時台には寝たので、土曜日のこのやりとりが発生した朝7時半ごろの時点で充分な睡眠を確保できていたことを申し添える。寝過ぎじゃよ。
にゃおす🐱
ケビ子