前回の記事で少しの体調不良で再発を疑い不安になると書いた。
レッツゴー胃カメラ
不安な気持ちをなるべく避けたい気持ちで人間ドックを受診した。
これまで避けに避けてきた胃カメラもこの際逃げてはいられないのだ。
胃の検査はもう何年も避けてきた。
バリウムでご迷惑をおかけしました
避けてきた、と書くとそれっぽいが要するに胃カメラをする勇気もなく、バリウムは最初の発泡剤でギブアップをするか、なんとかバリウムにたどり着けても全て飲めず、挙句飲む時間も人の倍以上かかって迷惑をかけて技師に怒られたことがあるほど。
「どうするんですか!やめるんですか!今の量じゃ検査できません!日を改めますか!最初からまた飲めるんですか!」
こう言われた直前、私は半分のバリウムしか飲めずに立ちすくみ、技師がひとまずやってみましょうかと配慮してマシンが回転した挙句、せっかく飲んだバリウムを思いっきり戻して顔中が白くなり、オバQ顔で泣きながら途中撤退を決めた。
まともな検査ができていない
つまり、まともな胃の検査はできていない。
そんなこんなで乳がんになった。
それからは胃が痛い、腹が痛いと思えば胃に何かあるかもしれないと不安が募った。
乳がんの手術の前に検査はしたけども大事ではないだけでなんらかのツボミがあるかもしれない。
そう思っていた。
胃カメラの決意
そこで4月のドックでは胃カメラと向き合う決意を固めた。
当日の恐怖たるや、想像を超えるもので鼻からか口からかチョイスがあるのだと説明書を渡されて検査の合間に読んで決めてねとのこと。
パンケーキのトッピングを生クリームにするかアイスクリーム にするか、そんなノリでチラシを渡されて、しかしまだ多少はそんなノリで鼻からのが楽ソウジャーンと鼻から宣言をした。
一応麻酔はしてくれた。
この麻酔があるのが鼻からコースだけなので、画像が多少鮮明じゃないというデメリットを覆し、昭和のAVよりはきれいな画像だろうよ、と鼻からコースを選んだ。
いざツーン
鼻から胃カメラが入る。
鼻がツーンとしながら喉を通過する吐き気が同時にやってくる新しい世界である。
目を瞑り、涙とヨダレを惜しみなく流す。
看護師が背中をさすってくれる。
「モニターを見ながらの方が気がまぎれますよ」彼女は私の知らない道の轍を作る人なのだ。
この先のことは何でも知ってるわ?
涙でグシャグシャのじゃがいものような女の目を優しく開けさせる。
モニターは一面のピンク
モニターを見て驚いた。
一面ピンク。
きれいなピンク一色である。
「きれいですよー」
「グアグエグエ(ほんとにきれい!)」声にならない声で返事をした(つもり)
本当にきれいなピンクで、むしろ驚いた。
ドックの前日はうどん
引くほど号泣
胃カメラが抜かれて、終わったこと、やり遂げたこと、そして綺麗なピンクに安堵して48歳の女が声を上げて泣いた。
号泣、慟哭、大泣きである。
先生は「何にもなかったのにどうして?」と言われた。そりゃそうだ。
看護師も「少し休んで行ってください」と危険人物を外野に触れさせないよう配慮してくれた。
夫は夫で
しかし今すぐ出て行き、夫に報告したい。ピンク一色であった、と。
廊下で待っていたら同じ日にドックを受けた夫が私に気づかず前を通り過ぎた。真っ青な顔で。
心配になり、追いかけたところ
「胃カメラは2度としない。辛すぎる」と。
しかし私はこの胃カメラのピンクが頭に残り、今は多少胃が痛くてもあのピンクだったから何かあったとしても初期の初期だ。と胃に関しては少し強気になれるのだ。
胃カメラは辛いが、来年もやるぞ。
あのピンクをまた見たい。
にゃおす🐱
ケビ子