こんなニュースがありました。

ここで出てくる久留米方式とは、富士モデルとも関係のある久留米大の内村直尚氏が中心となって進めてきたモデルです。

精神科医にどんどん繋げているこの久留米方式が自殺者を減らしたと絶賛されています。

記事では
市保健所によると、制度開始から7年間の紹介件数は累計7076件。このうち7057人(ともに9月末現在)が実際に精神科に出向いて診察を受けた。

 診察を受けた患者たちはどうなったのか。

 保健所などが13年12月~14年11月の1年間の紹介患者1116人について、受診半年後の追跡調査をした。462人(41%)は治癒したか症状が軽くなり、治療を継続する480人(43%)のうち6割は症状が改善していた。

と書かれてあります。

??? なぜ転機の中に死亡(特に自殺)が含まれていないのかが気になりました。もしも繋げた先の人々が全く亡くなっていないのなら、そこを強調するはずです。報告書を出している久留米保健所も、なぜか悪い結果となった転機が書かれていません。

怪しい!!

早速、久留米保健所に電話してみました。すぐに結果はわかりました。精神科につなげた1116人を追跡調査した結果、死亡していたのは12人(身体的問題で7人死亡、自殺で4人死亡、不明1人)でした。

これは、半年後の結果なので単純に2倍してみると、年間で8人が自殺することになります。人口10万人あたりの自殺率は716.8人となります(全国は16.8人なので、42.7倍!)。

さて、この結果を突きつけても、彼らは必ずこのように説明するはずです。「そもそも精神科を受診するような人はハイリスク群なので、自殺率が高くなるのは当然だ。むしろそのくらいで済むように抑えている」

さあ、検証してみましょう。精神科受診者の自殺率に関するデータがあります。
「平成 21年 1月から 12月までの 1年間の推定自殺発生率は通院 100.5,入院 154.5(患者10万人対)であった.」

新潟県の入院患者の自殺率は150.7となっています。

もしも精神科に繋げたことが自殺を減少させたと主張するのであれば、せめてこれらの水準を下回らないと説得力がありません。精神科通院患者推定自殺率100.5の7倍もの数値を出しながら、効果があるというのはいかがなものでしょうか。

全国的に自殺者が減ったのは精神科医のおかげでは決してありません。多重債務の対策の効果が顕著ですが、向精神薬の処方規制の影響も見逃せません。ところが、精神科医たちは自分たちは結果を出さずにそれに便乗して自分たちの手柄にしています。

ちなみに、久留米方式を作った内村氏は、2013年だけで年間2000万円近くを製薬会社から受け取っています。

精神科の早期受診に「効果がある」という主張には要注意です。早期に繋がった患者数が増えたことを効果と呼んでいるだけで、実際にはさんざんな成果であることを隠しているのです。