早いもので、このブログを立ち上げて今日でちょうど1年になります。これ以上精神科で被害に遭う人を増やしたくないという想いで、一般に知られていない精神医療の実態を知らせてきました。

1年を振り返ると、だいたい3日に1度の頻度で更新しています。3日坊主の典型である私にとってはすごいことです。偉い!!自分

訪問者の数に比べてコメントが少ないということが多少気になりますね。一方的な情報発信になっていないでしょうか?皆さんのお役に立てているのでしょうか?

さて、一年間を振り返ると、事件が色々ありました。せっかくなので、簡単にまとめてみましょう。


精神医療現場における、昨年度中の事件・不祥事


身体拘束・隔離・強制入院

成増厚生病院(東京都)
06年10月15日、板橋区内の同病院内で放火による火災が発生し、入院患者1人が死亡、5人が負傷した。火災発生時、当直看護師2名が出火元の病室に駆けつけたが、その他5室の個室の鍵を開けずに避難したため、個室に閉じ込められて逃げ遅れた患者が死亡や重体に陥った。個室は外から施錠され、室内からは扉を開けることができなかった。

紅葉丘病院(京都府)
06年11月22日、意思に反して精神科医に精神安定剤を注射され、医療保護入院のために病院へ強制移送された件について、山科区の女性が南丹市と亀岡市内の精神科医らを相手に損害賠償を求めた訴訟の判決が京都地裁であり、南丹市と医師に110万円の支払いを命じた。98年2月、精神科医は女性宅に行き、十分な問診をせず、暴れるなどの危険が切迫していないにもかかわらず、精神安定剤を注射して行動を制限して病院に移送した。この精神科医の行為と、それに従った市の職員の行為が違法とみなされた。

宝喜クリニック(東京都)
07年3月14日、女性患者を病院に搬送する際、拘束して精神安定剤を注射し、さらに口にティッシュペーパーを詰めて窒息死させたとして業務上過失致死罪に問われ、有罪判決(禁固10月執行猶予3年)が確定していた精神科医の宝喜正身医師に対し、免許停止1年の行政処分が下された。

暴力・虐待

埼玉江南病院(埼玉県)
06年7月、精神科に入院中の患者に男性準看護師が暴行したとして、さいたま地方法務局は人権侵害があったとして、準看護師を傷害の疑いで熊谷署に刑事告発し、院長と病院を経営する医療法人の理事長に再発防止の改善を勧告した。

国立精神神経センター国府台病院(千葉県)
06年11月8日、国内のPTSD研究の第一人者である金吉晴医師からPTSD治療を受けていた女性患者が、顔を殴られて難聴になったとして、医師と国に対し損害賠償を求めた訴訟の判決が東京地裁であり、裁判長は医師による暴行やカルテの改ざんを認定し、国と医師に約150万円の支払いを命じた。金医師は、殴ったことを「治療の手段」と主張していたが、判決は「治療とみるのは常識に照らして無理がある」とした。

東松山病院(埼玉県)
07年2月6日、男性看護助手が1月に患者に暴力を振るってけがを負わせていたことが発覚した。同病院院長が、県が求めた事情説明に対して暴行の事実を認めた。

東京クリニック(東京都新宿区)
07年3月5日、診察結果の説明を求めた女性患者の髪の毛を掴んで壁に頭を叩きつけ、付き添いの夫にもケガを負わせた、東京クリニック院長の精神科医、伊澤純被告に対する判決公判が東京地裁で開かれ、懲役2年執行猶予3年が言い渡された。同被告は昨年夏にも、男性患者に暴力を振るい骨折させたとして傷害容疑で書類送検されていた。

性的虐待

都南病院(岩手県)
06年10月10日、準強姦、準強制わいせつの罪に問われた、精神科医浜崎高行被告(42)の判決公判が盛岡地裁で開かれ、裁判長は「精神科医としての知識、経験を悪用した卑劣な犯行」として、懲役3年執行猶予5年を言い渡した。同被告は、当時18歳の患者少女に睡眠薬を飲ませ、15時間昏睡状態にさせて暴行し、別の18歳の少女にも同様の手口でわいせつ行為をしていた。

安田メンタルクリニック(愛知県)
07年3月14日、複数の女性患者に対し、診察と称してわいせつ行為を行い、有罪判決(懲役1年8月、執行猶予4年)が06年5月に確定していた、愛知県の安田メンタルクリニック元院長の精神科医、安田好博医師の免許が剥奪された。

医療過誤

伊原津病院(宮城県)
06年6月1日までに、向精神薬を投与された結果、言語障害などの後遺症が残ったとして、東松島市の男性(35)が運営する医療法人恵風会などを相手取り、約3,600万円の損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こした。

春日療養園(宮城県仙台市)
06年6月15日、統合失調症で入院していた長男(当時35歳)が死亡したのは、医療ミスだったとして、両親が病院側に計3,300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁の大橋裁判長は、原告の請求を棄却した一審判決を変更、病院側に1,200万円の支払いを命じた。

垂水病院(兵庫県神戸市)
06年7月31日、入院した男性(当時53歳)が死亡したのは副作用の強い抗精神薬の過剰投与や診断ミスが原因として、遺族が病院を運営する財団法人復光会に約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が千葉地裁であり、病院側の過失を一部認め、約330万円の支払いを命じた。

都立梅ヶ丘病院(東京都)
06年9月27日、東京都は、05年4月に8歳の入院女児が浴槽で溺れて死亡した事件について、付き添いの保育士を2ヶ月の停職、病院長と看護科長を減給とする処分を行った。同病院は小児精神科の専門病院として有名で、院長は児童青年精神医学会の次期理事長であり、「専門家」として、主要な教育、医療行政に関わっている。

宮崎県立富養園(宮崎県)
06年11月8日、宮崎県は県立の精神科病院・富養園において、抗精神病薬の副作用で患者が高熱、脱水症状を起こし多臓器不全になるという死亡事故が2000年度に起きていたことを発表した。

安田病院(宮城県仙台市)
06年12月11日、統合失調症で入院して死亡した男性(当時29歳)の両親が、病院の運営法人に3300万円の損害賠償を求めた裁判の第一回口頭弁論が仙台地裁で開かれた。男性は入院して向精神薬の投薬治療を受けていたが、歯痛を起こしたことから鎮痛剤を連続投与された結果、全身の皮膚がただれ、入院29日後に中毒性表皮壊死症で死亡したとされている。

徳島大学病院、城西病院(徳島県)
07年2月16日、旧徳島大学医学部付属病院(現徳島大学病院)が誤診し、紹介された城西病院で抗精神病薬を投与され脳障害が残ったとして、男性と母親が付属病院を管理運営する国と、病院を経営する医療法人に損害賠償を求めていた訴訟の和解が、徳島地裁で成立した。原告代理人によると、和解金額は二千五百万円(国二千三百万円、医療法人二百万円)。

横領・不正・裏金

本舘病院(岩手県)
06年9月14日、精神科の入院患者の預金口座から現金を引き出していた事務職員の判決公判が盛岡地裁で開かれ、業務上横領罪で起訴した無職和田忠志被告(48)に懲役3年執行猶予5年が言い渡された。同被告は、患者から預かっていた預金通帳から約890万円(時効分を含めると1000万円超)を無断で引き出して使っていた。

国立精神・神経センター武蔵野病院(東京都)
06年9月17日、入院患者のキャッシュカードを盗み、現金316万円を引き出したとして、警視庁小平署は国立精神・神経センター武蔵病院の准看護師、神原栄子容疑者(53)を窃盗の疑いで逮捕した。

新潟県立精神医療センター(新潟県)
06年9月27日、公金の実態調査を進めていた新潟県は、調査の中間報告を発表し、長岡市の精神医療センターで、使途不明通帳が2冊(合計約77万円分)が見つかったことを明らかにした。

国立病院機構賀茂精神医療センター(広島県)
06年10月23日、国立病院機構本部中国四国事務所は、賀茂精神医療センターの看護師が入院患者8人から計78万2400円を着服したとして、看護師を懲戒免職、同センター院長ら4人を戒告処分した。同看護師は、患者が盗難防止のために預けていたセンターから現金を計35回に渡って着服していた。

国立精神・神経センター国府台病院(千葉県)
06年10月31日、患者が支払った入院費など計約436万円を着服した同病院歳入係長が、懲戒免職処分された。係長は、患者26人が支払った入院費などを17回に渡って着服し、発覚を防ぐために入金データなどを改ざんしていた。

東松山病院(埼玉県)
07年3月16日、同病院で04年4月から06年7月にかけ、看護師を実際より多く働いていると報告して入院基本料を過大に請求し、また入院患者が支払う必要のないベッドサイドのコンセント使用代を別途徴収していたことを受け、県と社会保険事務局は改善状況を確認するため、同病院の現地調査を行った。同病院は07年2月、不適正な受給金の返還同意書を同事務局に提出していた。

不当労働行為

盛岡観山荘病院(岩手県)
06年7月12日、盛岡観山荘病院(旧盛岡精神病院)で、病院側が団体交渉に応じないのは不当労働行為に当たるとして従業員組合が県労働委員会に救済を申し立てた問題で、同組合などは不当労働行為に加担し県労委の決定にも従っていないとして、病院弁護士の懲戒請求書を岩手弁護士会に提出した。

東松山病院(埼玉県)
07年3月29日、病院元職員が、退職を強要されたとして、同病院を経営する医療法人緑光会を相手に、団体交渉に誠実に応じるよう求めて県労働委員会に申し立てた。元職員は05年12月、職員への退職強要、就業規則の周知の不徹底、時間外手当の不支給などの是正を上司に求めたところ「職場の混乱を招いた」として出勤停止処分になり、06年1月に同病院を退職した。

その他

精神病院(福岡県福岡市)
06年7月28日、精神科病院が05年11月頃から06年1月にかけ、認知症のため正常な判断ができない状態の男性医師(78)に、診療行為をさせていた疑いのあることが分かった。同病院の内部資料には、院長が男性医師を「12月ごろから認知症だった」と診断した、との記載があった。関係者によると、医師は投薬量の指示を誤るなどしていた。

三船病院(香川県)
06年9月10日、閉鎖病棟5階床下(深さ約70センチ)で、大部分が白骨化した遺体を見つけた。司法解剖の結果、4年前に入院中に行方不明になった女性患者と判明した。