歳を取ると容姿だけでなく感情面の心理作用も変わってくるようである。感受性が強くなるとでも言うのかな。私はこういうことに関する専門的知識は持ち合わせていないので、自分の経験から勝手に解釈して述べているのだけれど科学的根拠を説明せよと言われても私には到底無理である。
例えば、本格的ホラー映画。若い頃は割と平気で鑑賞していたけれど、歳を取ってからはショックを受けやすくなっている。特に幽霊ものはアカン。そういう作品を観た後は、家のトイレに行くのもビビってしまうのである。家族と一緒にいる時でさえそうなのだから始末に負えない。あと、スプラッターものも駄目。どうしても気分が悪くなってしまう。けれど、バイオレンスな映画は意外と大丈夫なんだな。
中には評判の良かったホラー映画があったりすると、ふと観てみたい誘惑に駆られるけど、いかんいかん、後のことを考えると後悔するぞとその誘惑を払いのけ、避けているのだ。まあ、別に勝手にしやがれと言われそうだがそういう理由なのである。
他には、感動ものの類。これは避けてるわけではないがドラマでもドキュメンタリーでも、会話の内容でも、コンテンツの好き嫌い関係なく、ふと、目にした耳にしただけで感動してたちまち涙腺崩壊である。声出して泣くわけじゃないけど。特に家族の前では要注意だ。そういう時は何度も欠伸のフリをして誤魔化すのである。
昔、映画解説者の淀川長治氏が残した言葉がある。「どんなくだらないと思われる映画でも、どこかしら良いシーン、セリフがあるものだ」と。映画をこよなく愛した人ならではの言葉である。私も映画好きだけどまだその高みには至ってはいないかなぁ。
あとは、葬儀や結婚式である。周囲の人が泣いていると、ソッコーもらい泣きしてしまうのだ。泣いている人を見てこれまた涙腺崩壊である。私が、施設の利用者さんの葬儀参列をご遠慮させて頂いているのはこういう事情もあるのだ。自分勝手な事情だとは思うが辛さが倍増してしまうのだから仕方がない。さすがに近しい親戚の葬儀には参列するのだけれど。
私が情に厚い良い人間であると主張するつもりはない。寧ろ相当な鈍感であり、周囲をイラつかせてる方かもしれない。
以上のことは、「歳を取れば涙もろくなる」と世間でもよく言われていることだし、何も私に限った話ではないのかなとも思う。自分でもこういった変化を悲観的に考えているわけではないし、プラスな面てあるのかな?! その辺のところはよく分からないけれど。
