気付いたらいつの間にかもう大晦日に。振り返ると今年は公私共にいろいろあった年であった。世界も激動の年だったなぁ。今家族の観ている紅白の音声を聴き流しながらこのブログを書いている。書き出す前に机上で取り留めもなく特に大晦日とは関係ないような考えを巡らしていた。今回はそういう訳でリアルタイム進行のブログ執筆である。
実は気になっていた記事があった。亡くなった喜劇芸人の坂田利夫さんの遺した言葉が私の心に響く。結婚しなかった理由が、自分の子がアホだと言われることを心配していたからだと。
私は一本のアメリカ映画「フォレスト・ガンプ」を思い出さずにはいられなかった。主人公のガンプが自分の子供と初対面したシーンで自分と同じような障害が遺伝していないか心配するのだ。実は当時、私にとってはこのシーンは重要な意味を持っていた。私の父は幼い頃から知的に問題を抱えていて、私はそれが遺伝していないか子供の頃から長年気に掛かっていた。大人になって、このことに白黒つけたいと思い、医者に尋ねに行ったことがある。医者によるとその心配はないとのことだった。子が心配する逆のパターンであるが、この問題は少なからず私の人生において影を落としていたのだ。勿論、故坂田氏が知的に問題があるとも、障害のある人を差別しているわけでは毛頭ない。しかし私の場合、長い間親を良く思っていなかったのも事実だ。この問題に限らず両親とも破天荒な人間だったから。今では既にそういう感情は消え失せ、寧ろ感謝と尊敬の念を抱いているくらいである。自分が大人になって親の有り難みを知る。よく言われる言葉だが全くその通りだと私は思う。
施設の利用者さんの中には、家に残してきた子供が心配だ。ご飯を作らなくてはと不穏になる方もいらっしゃる。親にとっては子供は子供なのだ。認知症になられてもその愛情の深さは変わらない。
もう何年も前、叔母が病で亡くなる直前に「母ちゃんに会いたい」と泣いて訴えていた。祖母は勿論、既に他界しており、その場に居た私は言葉のかけようもなく余りに無力でとても辛かった。子供にとっても幾つになっても親は親なのだ。私は時が経ち人生経験をするうちに心の中で折り合いをつけることができた。そういうことで、今日は故坂田氏の言葉に私は心動かされたのだった。
親子関係については各家庭で事情がそれぞれあることだろう。でも私は信じたい。季節が巡るようにいつか冷たい雪が溶け、遠いと思っていた暖かい春がやって来ると....。
