教育委員会の改正法案 | 三木けえオフィシャルブログ「実行力。維新」Powered by Ameba

教育委員会の改正法案

今日は地方教育行政の法改正について、政府案に反対、日本維新の会、民主党共同案に賛成の討論をしました。


以下、原稿をアップします。最初に宣言しておきますが、長いです…政府案が衆院を通過しましたので、残念な思いでいっぱいです。お時間ある方は、ご一読頂けたらと思います。




日本維新の会の三木圭恵でございます。


 


私は、日本維新の会を代表して、只今議題となりました、政府提出「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」に反対、日本維新の会と民主党共同提案「地方教育行政の組織の改革による地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案」に賛成の立場を表明して討論を行います。


 


与野党から、この改正法案が提出された背景には、大津市いじめ事件に見られる様に、教育委員会の隠蔽体質、事勿れ主義、責任逃れを許す責任の所在の不明確さが大きな社会的問題になり、教育委員会の抜本的改革が強く求められていることが挙げられます。


 


こうした問題を解決してく為には、まず制度上の不備を正していかなければなりませんが、政府案では、これらの制度上の不備を正すことができず、教育委員会の隠蔽体質を完全に払拭することは不可能と考えます。


 


それは、誰が最終責任を取るかが依然、不明確だからです。これが最大の問題点であり、委員会審議を通じても、その疑念を晴らすことはできませんでした。


 


当初、政府与党案では、教育委員会の廃止、執行機関の首長一元化も検討されたと伺っていますが、与党協議の結果、結局は、教育委員会を執行機関としたままの、中途半端な法律案になってしまいました。


 


教育委員会を執行機関として残した場合の弊害は、例えば、大津市いじめ事件でも、教育委員会が様々な事実や、アンケートや聞き取りの調査結果を隠蔽し、少年の自死をいじめとの関連性は判断できないと、一方的に調査を打ち切ったこと、そのことに対して、市長が何の権限も持ち合わせていなかったこと、その後の警察の強制捜査により、事実が明るみに出て教育委員会の隠蔽体質が世間の非難を浴びたことからも明らかであります。


 


いわば、大津市では、民事訴訟、県警の捜査、第三者委員会の設置、そして世論という大きな圧力が無ければ、そのまま隠蔽されていたこと、また制度として、それが可能であることが問題点として遺族から示されています。


 


更に、国家賠償法の関係で、いじめ被害者の遺族が損害賠償訴訟を大津市を相手に行なっておりますが、この時点で越市長は、いじめについて「市教委から何も知らされておらず、警察が押収した17箱の書類をコピーして送ってもらい、初めて色々な真実を知った。」と文部科学委員会の参考人として供述されていました。


遺族の方からは、責任の所在が首長ではなく、教育長にあるというならば、それでも良い、ただ訴える先はそれならば、教育長でなければおかしい、との意見をお伺いしております。


 


しかし、政府改正案においても、いじめ問題についての責任は教育長にあるとしていながら、国の法体系だからといって、損害賠償訴訟を起こされた場合、今までと同様、いじめ問題に関しては、何の権限もない首長が訴えられるという矛盾が生じてしまうのです。


これでは、教育委員会に事実を隠蔽され、調査を打ち切られ、やむなく市長を訴えた、ご遺族の気持ちに応える法改正とはとても言えることはできません。


 


日本維新の会、民主党共同案では、最初から首長に権限と責任がある、としていますから、いじめ問題が起きた時も、より迅速に対応でき、また権限と責任のある首長が訴えられても、法体系の矛盾も生じません。


 


日本維新の会と民主党で提出した共同案は、「教育委員会を廃止して、教育部局とし、責任の所在を首長と明確化し、一方で議会と教育監査委員会の設置によって、首長に対する歯止めとする、また教育に関する方針を策定し議会の承認を得ることによって政治的中立性を確保する、法案」でございます。この法案について、委員会審議を重ねました結果、大臣も「責任についてはこの法案の方がより明確」とのことでしたが、結局一文字も修正はありませんでした。全く残念でございます。


 


また我が党では、政府案においても、首長による教育長の罷免権を認めるよう求めて参りました。


 


教育長を罷免することは、心身の故障、職務上の義務違反、その他教育長たるにふさわしくない非行がある場合のみ認められるとのことですが、


 


文部科学委員会での我が党の多くの委員からの質疑により、総合教育会議の大綱に違反した場合、尊重義務違反となり、「職務上の義務違反に問われることも有り得る。」との下村大臣の答弁、


 


また、いじめ防止対策推進法第28条の重大事態への対処において、教育委員会または学校が、事実関係を明確にする為の調査、又必要な情報を適切に提供すると定められ、第30条では、地方公共団体の長はこの第28条の調査の結果について調査を行うことができる、としているところでありますが、もし仮に、教育委員会、又は学校が、これに違反していた場合も「教育長が故意に隠蔽したときは、職務上の義務違反に問いうる」との大臣答弁を得たことは、首長の権限が半歩前進したということであり、高く評価をいたします。


 


とはいえ、法文上はそれが明確に規定されておらず、運用状況も見極めなければならないため、現段階では、その大臣答弁のみを取って、賛成をするまでには至らないという結果になりました。


 


また、我が党では教育長の任期が3年というのも問題としました。教育長が首長に任命されることを考えれば、首長の任期と教育長の任期は合わせるべきであります。


 


容易に想像できるのは、例えば市長選挙に現職と新人候補が立候補して、激戦を戦い、仮に新人候補が勝った場合、前職の任命した教育長の任期が多数年残っているような場合も想定でき、この場合せっかく総合教育会議を設けても意見の対立が起こり得ることが考えられます。その結果教育行政が滞ってしまう可能性が多々有り得るとの懸念が生じます。最初から問題が発生する可能性があるのに、そのまま改正案を通すことには反対でございます。


 


また総合教育会議の大綱の策定においても、首長が策定する、となっているものの、協議調整がつかなければ、最終的には誰に決定権があるのか、という我が党の問いに、協議調整をして下さいの一点張りで、重大事態の場合は協議調整がつかないことは前提としてありえない、との答弁がありました。また突き詰めていくと、大綱に関しては、予算の執行事務に関しては、首長、教育全般に関しては、教育長に権限がある、との答弁であり、それでは今までの市長部局と教育委員会の会議と何が違うのか、ただ今までもあった会議に名前をつけ、法律上位置づけただけで、何の教育の再生にもならないのではないかとの疑念にいたりました。


 


以上から、日本維新の会は政府案に対しては、反対せざるを得ませんが、「今法律案施行後、数年の後に、不備は柔軟に見直す。」との大臣答弁もあったことであり、今後の改善を是非とも期待します。


 


また日本維新の会、民主党共同案はそういった問題点を解決し子供達の為の教育を進める為の改革案でありますので多くの議員の賛同を得ることをお願い申し上げ、私の政府与党案に対する、反対討論を終わります。


 


ご清聴ありがとうございました。