10月2日水曜日。

一回目の化学免疫療法の点滴が終わりました。

 

実はここにたどり着くまでにひと騒動あって、2週間ほど最初の治療が遅れるところでした。

 

多形型横紋筋肉腫という非常に悪性度の強い病気であること。

放射線治療後に転移が発覚したあと次の治療に進んでいなかったこと。

こんな状態の中、2週間も望みの治療が延期されるなんてストレスでしかありません。

 

治療が遅れそうになった理由1

ポート埋め込み手術の日程が延期。

ポートは鎖骨下に埋め込まれるペットボトルキャップ大の器具で、ポートから静脈に繋がっていて今後長期間行われる予定の点滴治療で血管にダメージを与えることを防ぐ目的で使われます。

その手術日程の一週間の延期が知らされました。最初の治療はPICCラインを使うから治療開始時期には影響なしとのこと。

 

理由2

そのPICCライン。これは腕の血管から長い長い管を胸の方まで通して薬剤による血管のダメージを防ぐ目的で使われるけどポートのように長期間使い続けることができません。

先週9月27日にこのPICCラインの予約に行ったのですが、それがうまく入らなかったのです。

スタッフが数人で超音波の機械を使って数時間頑張ってくれましたがだめでした。

残念だけど一回目の治療は腕からの点滴で、と言われCancer Care クリニックを後にします。

 

理由3

医師の懸念

当初の治療予定10月2日の前日、クリニックのナースから電話があります。

医師が点滴での治療は血管を痛める可能性があると心配している。ポートを埋め込んでから治療に進みましょう。

2週間の治療延期ではがんの進行度合いに大きな変化はないから、とのこと。

 

ナースが電話をくれた時点で、全ての予約が変更されてしまっていました。

CT画像で肺転移が分かってからこの時点でほぼ一ヶ月。

がんが増殖することを恐れ毎日不安な気持ちで過ごしながら次の治療を待ち続けてきたのに、医師の目からはそう見えなくても患者目線では2週間の延期はもう死活問題です。

 

電話を受けたその時点で午後2時。

何とかして当初の予定通り治療をしてもらいたい。

夫と思いつく全ての手を尽くします。

PICCラインを試みてくれたクリニック、Patient Repにも電話をかけメッセージを残します。

午後2時半になっても折り返しの電話がなく焦る私達は直接Cancer Careに行ってみることにしました。

 

Systemic Therapy。化学療法が行われるフロアに行き受付に事情を話します。

声を荒げることなく、それでも厳しい口調で。

(この国🇨🇦では大切なコミュニケーションスキルです)

フロアのチャージナースがすぐに出てきて対応してくれました。

30分程待った後、PICCラインを担当してくれたナースの一人が夫の横に座ります。

「明日の朝8時半にここで受付をして。医師、薬剤師と連絡を取って治療に進めるよう手配したから」

もう、どれだけ安心できたことか。ありがとうという言葉だけでは全然足りないけど思いつく限りの感謝の言葉を残してその日は家に帰りました。

 

診断名がつくまで、そして治療が始まってからもずっと患者として何が必要なのかを、声を大に主張し続けることがどんなに大切か思い知らされます。

声をあげ続けることは大切な一方で、それぞれのスタッフはそれぞれの担当の場所で本当に親身に熱心に対応してくれます。

病院スタッフは人手不足、そしてシステムが崩壊しそうな現場で日々戦ってくれています。

 

10月2日。

治療前にラインを取るのにスタッフのみなさんご苦労されましたが、免疫療法の薬剤キイトルーダ、化学療法の薬剤ドキソルビシンによる治療を無事に受けることができました。

今のところ倦怠感以外の副作用はなく過ごしています。