年末、愛犬が虹の橋を渡りました。


「Go to Daddy!」
「Go to Mommy!」

どこにいても、そのコマンドを聞くと必ず私たちを見つけてくれた愛犬。


「大好きだよ。Go to Daddy!」
そう声をかけながら見送りました。
向こうの世界では、無事にDaddyを見つけられたかな。

遠距離恋愛中の彼からしばらく連絡がなくなって、
もしかして愛情が冷めてしまった?
まさか別れたいの?
そんな不安になる夢を見て、目が覚めました。

私と夫は、結婚前にしばらくの間遠距離恋愛をしていて、
きっとその頃の記憶が夢に出てきたのかも。


今は毎日、夫の写真に向かって一方的に話しかけています。
夫のいない日常にはいまだに慣れなくて、
涙を流さずに過ごせた日は、旅立ちの日からまだ一度もありません。

寂しい気持ちだけじゃなくて、
もっとしてあげられることがあったんじゃないか、
死に直面してどれほど怖かっただろう、どれほど不安だっただろうと毎日考えています。

私は現実を受け入れられなくて、
「絶対に良くなる」と信じて本人にも言い続けていたけれど、
本当はもっと気持ちに寄り添ってほしかったのかもしれないな。
そう思うたびに胸が締めつけられます。

だから不安で気持ちが離れちゃう夢を見ちゃったのかな。


毎朝、お線香をあげなら夫の写真に話しかけます。
「また一日、再会できる日が近づいたね」と。

子どもたちの成長をしっかり見届けるって夫と約束しているから、
私はまだそっちの世界には行けないけれど、
こっちの世界で毎日を一生懸命生きていたら、ちゃんと彼は認めてくれるはず。

国を跨いだ遠距離恋愛をしていた時よりも、
彼はさらに遠くへ行ってしまったけれど、
きっと私たちは大丈夫。

ちゃんと乗り越えて、いつか笑顔で再会できる。


I’m cancer free

この言葉を、夫の口から聞きたかった。
夫もその言葉を目指して、つらい治療を本当によく頑張っていた。

夫の病気をきっかけに、たくさんのがん治療をしている人たちとつながり、
「I’m cancer free」という言葉を時々聞くようになった。

そのたびに、心から「おめでとう」と思う。
「よく頑張ったね」と自然に労う気持ちが湧いてくる。
それは、夫が味わった治療の苦しさ、がんそのものの辛さをずっとそばで見てきたからだと思う。
だからこそ、乗り越えられた人を見ると
本当に良かったね、って心から思える。

でも同時に、私は夫の口からもその言葉を聞きたかった。
「どうして夫のがんは、治せるタイプではなかったんだろう」
そんな思いがふと胸をよぎる。

何年も治療を続けている人たちを見ると、
羨ましいなと思うこともある。
夫にも、もっと長く、年単位で頑張ってほしかった。
けれど、長く苦しまなかったのは良かったのかもしれない。
そんなふうにも思う。


毎日、夫の写真に話しかけている。
不安なことや迷いがある時は、
「夫ならなんて言うかな」と心の中で考える。
楽しい時間を過ごしている時も、夫のことを思い出す。
きっと今の私を見て、夫は微笑んで喜んでくれている。そう思うと心があたたかくなる。

がん治療に成功できた人たちを心から祝福できる気持ちを持てるようになった私を、夫もきっと褒めてくれると思う。


病気になるのは、誰のせいでもない。
治療室で、ストローラーに乗った小さな子が治療を受ける姿を見て、夫と二人で涙した日のことを思い出す。
「こんなに小さな子が治療を頑張っているのに、
何十倍も生きてきた自分がもっと生きたいと願うのは、わがままなのかもしれないね」と言っていた優しい夫。


どんなタイプのがんも、いつかすべて治せる時代が来てほしい。

今、がんと闘っているすべての人たちが、
「I’m cancer free」と言える日が、一日も早く訪れますように。