「ううーっ・・うーっ・・」
やっと暗闇から顔を出すと、
「お兄ちゃん、いつまで、寝てんのよーっ」
二つ年下の妹が、ふとんの上に馬乗りになっていました。
「ふ~っ、助かったぁ」
・・・・・
このような事があってから、太郎くんは、
星や地球のことや生き物など、理科にとても関心をもつようになりました。
そして、夢中になって、理科を勉強しだしました。
5年生の内容はたちまち終え、6年生、そして、中学理科と、
どんどん進めていきました。
学校でも、しだいに、先生も友達も、
太郎くんの知識の豊富さに目を見張るようになり、
今や、理科博士とあだ名されて、
一目置かれるようになりました。
そうして、
かつて、仲間はずれにしたJくんも、
遊びの輪に誘ってくれるようになりました。
・・・・・

(つづく)


「お父さん、あの星はね、リゲルといってね、オリオン座の・・・」
「ほう、太郎は随分物知りになったなぁ、ハハハ」
「でもね、お父さん、星の勉強も面白いけど、
やっぱり、友達と遊ぶのが、一番楽しいや」
「そうかぁ、子どもはやはり遊びが一番か、ハッハッハッ」
・・・・・
二人が再び星空に目を戻したちょうどその時、
何かの合図かのように、
流れ星が一瞬よぎったような気がしたのでした。

(おしまい)



太郎くんの家庭学習法


悩める太郎くんが理科大好きになったその勉強法とは・・

『赤ちゃんは、親を、とりわけ母親を選んで生まれてくる』
という話を、どこかで聞いていたアキちゃんのお母さんは、
アキちゃんが誕生して初めて対面した時、
「ようこそ、私の赤ちゃん、私を選んでくれてありがとう」
と、そっとささやきかけました。
「この子は絶対幸せにしてあげたい」
強い決意のもとに、子育てが始まりました。
アキちゃんは、とても愛くるしい子で、
お母さんの愛情に素直に応え、すくすく育ちました。
お母さんは考えました。
「この子を幸せにするために、私にしてあげられることって何かしら?」
何よりもまず健康に育ってほしい、身体も心も。
お母さんは育児の本、料理の本、読み聞かせの本など、
たくさん買い込んでは、あれこれ毎日研究しました。
小学校に入り、いくつかの習い事も始めました。
アキちゃんは、遊びも勉強も大好きな子で、
どんどん何でも吸収していきました。
特に算数が得意で、計算の速さはお母さんにも負けないくらいになりました。
・・・・・ 
ところが、5年生になったある日、
「お母さん・・ わたし・・ 算数・・ わからない・・・」
と言い出したのです。

(つづく)

「どうしたの・・ ちゃんと、できてるんじゃないの・・・ 」
きちんと書かれているプリントを見て、
お母さんは思わず声高になりました。
「ちがうの・・ わからないの・・ 
なぜ、こっちの場合は掛ければいいのか・・ 
どうして、そっちの場合は割ればいいのか・・ 」
おかあさんは、今にも泣きそうなアキちゃんをなだめながら、
しばらく様子をうかがっていると、
アキちゃんは、ポツリポツリと話し始めました。
「今日、お友達のさっちゃんに、
この算数の問題わかんないから教えてって言われて、
計算してみせてあげたんだけど、
なぜ割ればいいのって聞かれて、
理由をうまく答えられなくて・・
ホントに困ってしまったの・・」

・・・・・

(つづく)