派閥はなくならない!なぜなら自民党だから!~金田一特別コラム | KCR総研代表 金田一洋次郎の証券アナリスト日記

派閥はなくならない!なぜなら自民党だから!~金田一特別コラム

 宏池会が解散を決めた。言うまでもなく、派閥としては、最も古く歴史ある派閥である。いささか驚いたが、政治の信頼を取り戻そうとする、首相の奇策で、「奇を衒う」とはまさに、このようなことを言うのではないだろうか。

 しかし、私は、派閥は、なくならいないと見る。その理由が、自民党だからである。まず、第一の関門として、自民党の総裁をどうやって選ぶかという問題がある。ちょうど、今年に自民党総裁任期が9月末で切れ、総裁選に臨むことになるが、無論、ここに国民の姿はない。わが国は、首相を、自ら選べない仕組みになっている。

 さらに、総裁選に出るためには、ご高承の通り、自民党所属の国会議員20名の推薦が必要とされている。このハードルが、いかに高いかは、過去の総裁選で、推薦人集めに各立候補者が、苦労していることから、容易に分かる。

 権力の中枢に上り詰めようとすれば、どうしても永田町の数の論理というものが、ものをいう。総理総裁になるためには、派閥の論理が必要なのである。この仕組みで選ばれた首相が、内閣を組閣し、大臣を任命するのだから、推薦してくれた同志を、大事にするのは至極当然のこと。従って、派閥はなくならない。自民党である限り。

 私は、以前ブログで、「もう派閥はいらない」と書いたことがあるが、あくまで、党を割って、野党合流なり、新党なりを作ってほしいという思いから出たもので、そうでなければ、早期に米国のような二大政党制にならないと思っているからである。

参照:「もう自民党派閥政治はいらない!」
https://ameblo.jp/kcr-inc/entry-12813288667.html

 その派閥が、政治資金収支問題から、奇しくも大きく揺れているわけではあるが、いかに自民党内で議論しようとも、自民党である限り、政策集団と名を変えて、復活するのは目に見えている。

 その点においては、清和政策研究会は、大きくなりすぎた。98人と自民党国会議員の約4人に1人が安倍派であり、安倍氏が居なくなった後、内部で跡目争いが起こるのは当然のシナリオだった。結局、宏池会解散の奇策により、裏金疑惑の派閥は解消されることになったが、その流れを組む、政策集団ができることは、目に見えている。

 政策集団として、そもそも政策の違いがあるのだから、本来は、党を割って分裂しなければならないのに、それができない。これこそが、自民党である。自民党には、無派閥の国会議員も79人居る。5人に1人は無派閥であり、もともと、この人達は、派閥が嫌いなのか、疑問を持っているのか、派閥を作れないのか、理由があると思うが、冷や飯を食わされていることだけは間違いない。

 派閥は、自民党政治の中で、権力に上り詰めるために、存在している。それが、長い歴史の中で、いつしか国民目線から離れ、数の論理だけが意識され、総理総裁に上り詰めるだけのものに目的が変わってしまったのである。党を割って出てくるものがいなければ、また、同じことを繰り返すだろう。


金田一拝