友達のはなし。 | 酸素濃度

酸素濃度

酸素がなくては生きていけない

中学生の時、とても仲の良い友達がいた。


常に一緒に居た。


だけどある日突然、私の中の何かが切れて、その子を受け入れられなくなった。


言葉を悪くするなら、生理的に無理というあれ。


顔も合わせなかった。


ひたすら避けた。


いじめまがいのこともした。


またある日、突然コロッと笑顔で私はその子に寄って行った。


その子は拒むことなく、前と同じように接してくれた。


元どおりの友達になった。




最近その子の電話をした。


「どうしてあの時、あんなひどいことをした私を黙って受け入れてくれたの?」
「単純に、小人がすきだったから、かな。ほら、小人は近づくと逃げるでしょう。だから逃げられないように自分からは近づかなかった。寂しくなかったと言ったら嘘になるけど、どこかでまた戻ってきてくれると思ってたし、そう思っていたかった」


その子は全部分かっていた。


私が自分から距離を縮めるのは良いけれど、相手から迫って来られると逃げてしまうこと。


求められることが苦手なこと。


それを分かった上で付き合ってくれていたのだ。




私はその子が羨ましかった。


上手に愛される子だった。


人に縋るのも上手だった。


「私は敵を作りやすいから」と言っていたけれど、来るものをほとんど拒む私と比べたら、まだマシな方だった。


嫉妬していた。




今でも半年に一度は話しをする。


あの時はごめんね、と謝る。