今日は久しぶりに、工場の中でタローに会った。
今年の年始以来だ。あの時は、アイスクリームの食べかけを
たまにあげていたっけ?
よくもまあ私のことを覚えていたものである。
人間なんてこの工場には、何千人といるのに。
いや、インドでは私が外人なので、犬的にも見つけやすいのか?
まあいいか。
あまりにうれしくて抱きしめたくなるが、それはどうしてもできない。
タローもしっぽを大きく振りながら、それを望んでいるそぶりを見せている。
どうしてできないかというと、インドでは狂犬病の疑いがあるからだ。
日本での狂犬病は、ほぼ絶滅したような話を聞いたことがあるが、
インドでは、まだ狂犬病はなくなっていない。
もし、かまれたり触ったりして菌が人体に入り、
狂犬病を発症した場合、致死率は100%だと言われている。
そう、確実に死んでしまうのだ。
だから触れない。
タローごめんよ。
本当はお前のことが好きなんだよ…
