四月二十三日(土曜日) 東京のビジネスホテルにて。 

昨晩、二十二日夜は渋谷。N響定期。スラトキン指揮によるコンサート。C定期初日。




ベルリオーズ:歌劇「ペアトリスとベネディクト」序曲
武満徹:系図
ブラームス:交響曲第一番ハ短調

(管弦楽)NHK交響楽団
(コンサートマスター)篠崎史紀

(指揮)L・スラトキン

2016年4月22日
東京渋谷・NHKホール、午後七時開演。

 聴いてきた。先週のAも聞いているし、来週もいつものようにB定期。久しぶりで同一月、三つのプロを聴いた(聴くことになる)。いずれもが同一指揮者。
 スラトキン指揮から醸し出される音の色合い、淡い淡い色合い。その伝導の仕方が欧州の音楽家とはやや異なるアメリカの音楽家。それが昔はこのN響とマッチングがイマイチなことがあるけど、最近は面白い効果が出ていると思う。前半は興味もって聴けた。やはり興味は武満の作品。

 だが、後半。やはり「ブラ一」というと、どうも私はあのサヴァリッシュ、シュタイン、スウィトナー、ライトナー、ヴァント、等々のそれが頭に刷り込まれているようで、それが鑑賞の邪魔になっているのか?・・・・。なんとも良い演奏であるとは思うのだが、どうもどうも聴いたあとのあの充実感は、ある種異次元だった。

 それと・・・やはり、どうして特に独物の古典・ロマン派の演奏で、最近のN響は弦がどうしてこうもスカスカなのか? 一見、磨き上げられたような印象はあるのだが、それはそれは聴くにつけて、それは「繕った」物に聞こえてくるもどかしさ。ここ二十数年のこのオケ。
 いや、音の馬力はあるのだ。昔よりテクニックも馬力もあるのだろう。でも、それはカタログの性能分析表には載っているのだが、いざ運転してみると馬力が感じない現代の車のようでもある。
 いや、スラトキンの独物に、サヴァリッシュやシュタインのような重厚さを求める事自体が悪趣味であるのかもしれない。彼の魅力は違うから。

 私の求めるブラ一・・・・。雲、どんより灰色の雲。そして、例えば・・・時には、あの薪を焼べた暖炉のあの火、時にはくすぶり、時にはメラメラと・・・・。あの感じがない。
 よく表現される「いぶし銀」的な音にならない最近のN響。

 まっ、この傾向、何も「N響」に限ったことだけじゃない。他の世界のメジャーオケも多かれ少なかれ・・・。そして、ソリストたちも、指揮者も。

 そうそう、スラトキンは「リヨン国立管弦楽団」と来日予定あるはず。チェック、チェック。今年の春から夏だったかと・・・。、そちらのほうに興味津々。なんてったて彼の「手兵」だからねぇ。
 そして、デトロイト響との演奏も聴きたいなぁ。来日しないかなぁ。デトロイトには行くしかないか・・・って、そのうち、スラトキンが監督を勇退しちゃうかも知れないし、焦るよなぁ。

 今宵も東京泊。本日二十三日の午前中に東京経ち、我が街へ。そのまま会社事務所に向かって午後はずっと仕事になる。翌日の日曜日は朝から仕事。
 つまり、昨晩が現実逃避最終日。


【ニュース・チェック】

☆☆熊本の仮設住宅まず50戸建設 県は「2200戸程度必要」☆☆

http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0262464.html

 私思う、2200戸でも足りないのではと・・・。


☆☆熊本地震 収束の見通し立たず引き続き警戒 気象庁☆☆

http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000073188.html

 上記記事によれば、青木元地震津波監視課長が

  「今後1週間程度と申していましたが、過去に例のないような活動になっているので、先の見通しは、なかなか難しい」

 と言明。驚いた。

 今回の地震では、気象庁の「予測」が不能であることが次々出てしまった。つまり、今の技術では「予測不可能」なんであろう。

 ということは、当然に今後も「予測不可能」なわけであり、ならばならば、原発地域のあの地盤が「安全」であるとはいえないってことだろう。予測不可能なのだから。
 予測していなかった活動地震が今回熊本であったわけであるので、その他の地域でも「あり得る」と考えるの筋なのでは?
 さて、丸川珠代氏はどう思うであろう。しゃあしゃあとした顔で「安全です」なのだろうねぇ。やだねぇ、支離滅裂。

【今回の熊本地震を予測していた学者がいた?】

 私、今回の熊本大地震があった時、なんだか頭の隅にあったブログ記事が気になっていた。思い出してしまった。それは、下記の私の日記にも記事紹介した。つまり、「今後20日以内に日本でM7以上の地震発生の可能性あり」とした台湾発の情報である。

 私のブログ

http://ameblo.jp/kbbnef/entry-12136852876.html

 上で紹介。

 その元記事ブログは下

☆☆20日以内に日本でM7以上、あるいは北台湾でM6以上の強い地震が起きる可能性がある☆☆ (3/7付)

http://www.buzznews.jp/?p=2053178

 記事内容では、発信日が3/7なので、熊本地震までは20日以上経過してしまっているのだが・・・・。また、予測では日本では「東北・関東の太平洋側、新潟から岐阜にかけての一帯」(日本地震予知学会の早川正士氏)

 実際は九州だったのだが・・・。

 さて、この予知・・・どう見たらいいだろう?

【こんな歌で・・・ホテルの小さな部屋で一人侘びしく】

 昨晩、コンサート終わってゆっくりとそのまま人の流れに乗ってホテルまで戻ってきた。
 暑いのか、寒いのかわからない・・・、と、いうか体がちょっと。 東京は暖かい。そして、歩いているいとやや汗ばむ。一枚脱いだ。電車内などは暑い。でも、電車降りてホームから戸外に出ると、なんだか不気味に冷える。この度合いは「風邪」の前兆か? 気をつけなければ。
 例のごとく、近くのコンビニと、同じく弁当チェーン店から買ってきた「夕食」(わびしいものである)と飲み物。シンプルに「のり弁当」、それにカップ麺、野菜ジュース二本。ミネラルウォーター。
 アルコール類は今夜はパス。一昨日、ポリーニ演奏会後に呑んだあの酒、あの美味しさの余韻があるから大丈夫。
 戻ってきたのはアレコレ午後十時頃だと。

 部屋のバスタブにお湯を張り、そしてゆっくり入浴。暖めないと・・・。十二分温まったら、お湯を抜き、バスタブの中でシャンプーその他。私、どうもホテルのユニットバスは苦手。トイレとバス一緒が。狭くて・・・・。
 ホテルによっては「大浴場」付きとなっているのもあるが・・・・。それもあまり最近は利用しない。
 かといって、今回、戻ってきた時間からサウナへ行くのも億劫だったし。
 まっ、宿泊料が安いことを売り物のビジネスホテルチェーンだから仕方ない。
 風呂から上がり、バスローブだけ纏って椅子に見っともない格好で寛ぐ。そしてボチボチとカップ麺にお湯を・・・そして夕食。

 気がつけば時刻は午前零時まわる。

 こんな音源流していた。シャンソン。懐かしい歌手ダニエル・ビダル。
 一斉風靡したなぁ。っていっても、私は小さかったし、その頃は興味なかった。全然。ただ、高校生あたりから中年の人まで幅広い人気があったようだ。ビダル。
 ミニスカートを日本で流行させたのは彼女だとか?

 あの甘い幼い声が、当時の日本の男性には堪らなかったらしいが、私は子供ながら「なんだか、おっかしいの」なんて思っていた。今でいえば「かわいこぶりっ子」ッて感じに思えて(笑)

 この歌があった。ビダル目的よりも、当初はこの楽曲の「ドミノ」が好きだから。

○ドミノ

歌)ダニエル・ビダル



 この大人の歌を、子供というかうら若き女性、それも金髪のスレンダー美女フランス人ビダルに当時の日本の男性は惹かれたのだろう・・・多分。

 私、フランス、パリというとこの歌を思い出す。
 それから定番だが、これ

○パリの空の下

歌)ダニエル・ビダル



 あの、シャンソン歌手のような、あの妖艶な歌い方もいいのだが、このような爽やかな若い女性の可憐な声もいいねぇ。

 肩こりがす~~と抜けていくような・・・いいねぇ、この気分。


【忘れかけてきた「N響のブラームス」の響を聴きたく】

 サヴァリッシュ、シュタイン、スウィトナー、ヴァント、ライトナー、コンドラシン、ブロムシュテット、スヴェトラーノフ、ノイマン、マタチッチ、ワルベルク。。。他・・・・。20世紀には独特のブラームスの演奏が多々あったN響演奏会。良かったなぁ。

 いまは・・・・聴くことができなくなってしまった。その「カケラ」さえも探すのには苦労する。

 こんなN響のブラームスがあった。コンチェルトなのだが。

①ブラームス:ピアノ協奏曲第一番ニ短調

(ピアノ)イェフィム・ブロンフマン
(管弦楽)NHK交響楽団
(コンサート・マスター)堀正文

(指揮)ハインツ・ワルベルク

1996年3月 定期ライブ画像







 懐かしい、懐かしい、若い時のブロンフマン。私、確かこの時が彼の演奏初体験だったかと。
 この演奏、いいよねぇ、ジワジワと込み上げてくるものがある。あの、炭火のように。ブロンフマンがまたいい。流石だ。この若さでブラをこのように弾きこなし、そして聴衆を魅了していた。やはり天才だったなぁ。

 この時代好きだなぁ。ワルベルク・・・いい指揮者だったなぁ。何振ってもそつ無く。そして、時折、「凄い」って思う。良い指揮者。派手さがないけど。
 N響ってこの時代いいねぇ。弦セクションもいい。陰影がいい。
 ストバイ布陣。この時代がピークだったなぁ。
 団としては、コンマスには徳永・堀・山口と三人体制。上記は堀さんの出番。
 そして、何より、この時代が到達点のピークだったのは、ストバイの次席奏者陣、武藤さん、大林さん、三浦さん、永峰さん・・・・この布陣の最高レベルの次席の存在が大きかったなぁ。上記演奏会では、トップサイド、武藤氏、第二プルトに大林、永峰両氏のコンビ。
 まぁ、これだけの実力者、それにこの日は「オリ」だったが、三浦さんも含め、中堅の武藤氏、それから若手の大林、三浦、永峰三氏。凄い布陣だった。
 けど、このあたりがピーク。あの輝いていたストバイのあの音が・・・・・・・みるみるうちに力がなくなってきたから。

 徳永コンマス退団、それから若手のホープ三浦氏退団と続き、それと平行して大林氏、永峰氏のプルトが下がり・・・次席から退き・・・・あれれれれれれれ、大丈夫なの~~~と思ったのはもう既に遅くて・・・・段々と魅力なくなった。
 そして、大林氏、永峰氏が第二ヴァイオリンに異動。コンマスの山口氏も第二ヴァイオリン首席に異動したら、なんとなんと、それもそのはずなのだが、第二ヴァイオリンのほうが、オケの華であるメロディラインのストバイ群の音より、セコバイ群の音が輝き、「世にも珍しいオーケストラ」になってしまった・・・。←これは皮肉であるのは言うまでもない。

 永峰氏は第二ヴァイオリン首席として、そして大林さんは同次席として活躍。当然である。第二ヴァイオリンの最前列に山口、永峰、大林と常にいるわけだから。第二をグイグイ引っ張るわけだから。

 今現在は山口氏、そして永峰氏が数年前に退団している。そして、大林さんが首席の一人になっている。素晴らしい。
 三浦氏は退団のあと、新星日本交響楽団のコンマスとなり、その後、東京フィルとの合併後は東京フィルのコンマスとなり活躍中。

 いやぁ、こうみると、90年半ば、N響のストバイの次席だった若手三人は実力派だったことがその後の経歴みてもあきらか。こんな人達ば前のほうで「ガンガン」弾いていたのだから、そりゃ凄い音していたわけだ。さて、その若手だった三人も今はベテラン。永峰氏は数年前に退団。三浦氏は他オケのコンマス。・・・・・今は大林さんが一人で重責を担っている。N響のセコバイは素晴らしい。

 その後が・・・あとの人材が・・・・・。ちょっと心配。

 そうそう、あのN響のヴィオラの首席の二つのポストのうち、ひとつが長らく空席なのだが・・・・・どうしたのだろう? あちこちの音楽雑誌等々で「募集」と見るのだが。
 最近、ヴィオラがしゃしゃり出て来て欲しい時に、なんだか腰砕けになってしまってがっかりすることある。むかしはなかったけどなぁ。むしろ、不甲斐ないストバイの時には、団を引っ張っていた時ある。ストバイが貧弱なときに、ヴィオラ群が「こう弾け!!!」ッて感じで引っ張っていたような時があるが・・・それは今も昔。
 あっ、それはチェロにもある。そしてそして、バスにも・・・最近。

 そう、ちょっとハッキリ言ってしまうけど、上記の演奏、このほのぼのとしたブラームスの演奏、この時のN響だったらば、例えば、スラトキンの手兵のリヨン国立管弦楽団やデトロイト交響楽団の今の状態より絶対にいいと思う。
 だが、だが、今のN響だったらば、リヨンのオケ、デトロイトのオケのほうが心に残る演奏してくれそうに思う。N響ファンとしては残念だが。
 いつもいうが、音は綺麗だろう・・・今のN響。ふくよかだし、滑らかだろうし。でも、でも、大切な何かが足りないもどかしさ・・・・付きまとう。


【この演奏で耳直し、聴き直し】

 ホテルなのでCDがない。聴くこと出来ない。ちょっと、「ブラ一」聴きたくなり・・・・。youtube探した。いい時代になったなぁ。

 その前に「ピアノ・コンチェルト一番」を。誰かの演奏でと思った。やはりやはり、コンセルトヘボウだろう。というわけで・・・youtubeに音源ある中から選ぶ。

②ブラームス:ピアノ協奏曲第一番ニ短調

(ピアノ)クリフォード・カーゾン
(管弦楽)アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
(コンサートマスター)ヤン・ダーメン
(指揮)E・V・ベイヌム

1953年デッカ録音 モノラル



 カーゾンはその後、ソニーにセル&クリーヴランドで録音したり、また最近はライブ音源などもCD出ている。お得意のナンバーだったらしい。世評は圧倒的にセル指揮盤が高いけど、私はベイヌム盤がいい。セル盤が人気なのは録音がステレオで良く捉えているからということもあるだろう。

 ベイヌムの指揮は当時の指揮からすると、あの大ロマン、濃厚を売り物にするのではなくて、どちらかというと、爽やかさ、颯爽、小気味良く、って感じを目指したか? いい演奏だよねぇ。そして、このオケの特質である、深く潤いのある音場がなんとも言えず。
 ホルンのソロも、そして弦のピッチカートのあの微妙な音色の移り変わりも・・・・・・。いいよねぇ。それが華美には絶対にならず、魅せつけにはならず、むしろ逆なんだよねぇ。でも、出る。そこがいい。愛おしくなる。

 そして、ベイヌムの代表的名演。泣く子も黙る「ブラ一」。

③ブラームス:交響曲第一番ハ短調

(管弦楽)アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
(コンサートマスター)ヤン・ダーメン
(指揮)E・V・ベイヌム
1958年5月、フィリップス録音



 いいなぁ、録音は古いけど・・・・。琥珀色、いぶし銀、セピア・・・・そんな色合いがどのセクションにもあり。オーボエはソロがハーコン・ストチジン、コンマスがダーメン。フルート首席がバルワーザーである。

 ただいまの時間、午前二時半過ぎた。そろそろ寝よう。
 明日はホテルを午前十時に出ればいい。