四月十八日(月曜日)

 午前四時半起床。外は晴れ。風がある。
 昨晩は午後十時半には床についた。寝た。起きたのが四時半。正味六時間の睡眠。

 朝、お決まりの珈琲。マンデリン。

【朝の一曲】

 ここ数日、九州地方の大地震等々、ちょっと暗くなるニュース等々。

 月曜日の朝、一週間の始まりの朝でもあるし、少しエネルギーが出るような歌をと。選んだのが「夜明けの歌」。大好きである。懐かしい。
 以下の音源がネットにある。どちらもCDで手持ちがあった。好きな歌手二人。

 まずは菅原洋一さんの歌。ソフトに歌っているのがまたいい。

○夜明けの歌

作詞:岩谷時子
作曲:いずみたく

歌:菅原洋一



 そしてオリジナルが岸洋子さんの歌。

○夜明けの歌

作詞:岩谷時子
作曲:いずみたく

歌:岸洋子



 この歌、調べてみたら1964年の発売の歌。昭和39年。ということは「東京オリンピック」の年である。懐かしいなぁ。確か小学校一年のころかな・・。

 夜明けの歌よ~~ 私のこころの昨日の悲しみ、流しておくれ~~

 と冒頭出る。最初聴いた時から「あれ?」と思ったのだが、岸洋子さんは、この部分の「私」を《ワタシ》ではなくて《アタシ》と発音する。
 岸さんは他の曲では《ワタシ》と歌うのだが、この詩だけは《アタシ》。何かコダワリがあるのだろうか・・・・。
 菅原さんは《ワタシ》である。

 この歌を聴きながら迎える夜明け・・・月曜の夜明けがまたオツである。春の夜明けでもある。


【D・バレンボイム&シュターツカペレ・ベルリン】




 とてつもない動画が数週間前アップになった。ほんと「とてつもない」という言葉が当て嵌まるかと・・・いい意味でも。
 それはバレンボイムとベルリン国立歌劇場のオペラ公演のライブ画像。それも公式チャンネルからアップである。

 2006年7月、ベルリンのリンデン・オーパー(ベルリン国立歌劇場)で行われた演奏。全幕。出し物がビゼーの「カルメン」。これは当時話題を呼んだ。その「新演出」が。

 この演出、いやぁ、凄い、「奇抜」というか、「エロチック」というか、「アダルト」というか・・・・。いやぁ、凄い。
 あの、「R18」指定、そして全国PTA連合会あたりから抗議が来るような演出かも?(笑)

①G・ビゼー:歌劇「カルメン」全四幕

主な配役

ドン・ホセ:ローランド・ヴィリャゾン
エスカミーリョ:アレクサンドル・ヴィノグラドフ
カルメン:マリーナ・ドマシェンコ
ミカエラ:ノラ・アンセルム
スニガ:クリストフ・フィッシャー

管弦楽:シュターツカペレ・ベルリン(ベルリン国立歌劇場管弦楽団)
合唱:ベルリン国立歌劇場管弦楽団

演出:マルティン・クシェイ
指揮:ダニエル・バレンボイム

2006年7月5日 ベルリン国立歌劇場でのライブ

第一幕




第二幕



第三幕



第四幕




上記連続再生は下記クリックが便利

https://www.youtube.com/watch?v=HTNO6LhfpVE&list=PLBjoEdEVMABI95BL34ant5HtC4AUmA7pG

 今年になって例のごとくEuroArtsChannelから公式に配信されている。画像も美しい、音質もいい。

 まぁ、第一幕から驚く、この演出。奇抜というかアングラ的でもあるし・・・・。また、バレンボイム指揮のオケも「濃厚」である。アダルト・エロス満載。

 そして、カルメン役のマリーナ・ドマシェンコの悪女ぶりが凄い。ほんと。




 タバコ工場が舞台のはずだが・・・どこが工場なのか・・・。
 そして、冒頭から銃殺シーンや、また刃物などが・・・・。バイオレンス劇か?
 この物語はストーリがわかっているので訳がなくても理解出来るのだが。だが、だが、普通の「カルメン」の台本とはちょっと違う。台本読み替え?

 最初はとっつき難い感じしたが、そのうち夢中になってしまった。最後まで一気に聴いたのが二日前の東京での夜だった。

 そして今、朝には似つかわないかもしれないが・・・・。
 まぁ、問題作というか、すごい演出だ。だけどだけど、見入ってしまうなぁ。凄い。ほんと。二度三度と見ないとこの演出の言わんとしているところが分からないかも。

 全体的演奏は、かなりグランド・オペラ的な感じの仕上がり。歌手陣も朗々と歌う。イタ・オペみたい。

 この「カルメン」はここのところ、グランド・オペラじゃなくて、コミックオペラ的な演奏が多いのだが。これは20世紀的な大歌劇場公演バージョンのよう。

 バレンボイムの指揮から出るオケの感じもそうだ。かなりエロチックでもある。
 この演出といい、バレンボイムの指揮の表現といい、あの20世紀中頃の世界情勢だったら、このベルリン国立歌劇場を管轄していた東ドイツ政府、から「反社会的」「退廃的」なんて言われて関係者が牢屋に入れられたかも?? ほんと。そういう意味でも面白い。

 舞台は「青」「蒼」を基調としたトーン。それが何を意味するのか・・・・。

 そしてそして、普通の「カルメン」とは違うのは、主役の四人が全員殺されること・・・・・。これが一番違う。

 この演出、演奏観ていたら、なんだか今の人間社会に蔓延る「人間の脆弱性」と厭らしさを感じた。

 とにかく色んな意味で「凄い」演奏だ。「素晴らしい」。終わったあと思わず画面に向かってブラヴォー連発していた私である。

 しかしもって、このカルメン役のマリーナ・ドマシェンコの迫真の演技がいい。素晴らしい。この目つき、ほんとほんと悪女的。
 男と女の・・・・・。

 とにかく演出も相まって、昔だったらば「日活ロマン○ルノ」と間違えられるのではないかとも(笑)

 一度観ただけでは、演出者の言いたいことがわからない。何度か見ないと・・・・。問題作だ。

 そしていつの間にかこのマリーナ・ドマシェンコの演技の虜になっている私。
 バレンボイム指揮する演奏・・・・決して軽妙ではない。なんだかフランス・オペラという要素よりも、ワーグナー的な音、またはイタオペ的な・・・。

 劇中、最初のほうでカルメンが巻いているマフラーのようなもの・・・・これも一つのポイント。

 いいものを観た。久々に・・・。

 キレイ事だけでは済まされない、綺麗事だけでは人生は進まない・・・・そういう不条理という概念をもチラリチラリと出しているような演出にブラヴォー。
 この主役級四人・・・素晴らしい演技だ。

 ドマシェンコのセリフの時の声が好き。この声いいなぁ。それでいて、歌になると決してしつこくはならない。素晴らしい。
 こんな「カルメン」は初めてだった。
 こんな退廃的、そして中毒的、麻薬的・・・男と女、人間の本性を出す「カルメン」には驚いた、と、同時にそこに惹きこまれる私がいる。

 そして、この劇場・・・リンデン・オーパーが素晴らしいなぁ。いいねぇ。


【バレンボイム&SKBのブルックナー】

 そうそう、二月の彼らの来日公演はブルックナーチクルスだった。なんとなんと短期間にブルックナーの全交響曲を連続演奏するというとてつもないことをやってくれた。
 私は「五番」の日と「六番」の日を聴いた。会場はサントリーホール。

 最近のブルックナーの演奏にしては珍しい「濃厚」な感じした。時折、テンポを大胆に動かすバレンボイム。そしてピアニッシモの多用。その緊張感は素晴らしかったなぁ。
 スベスベツルツルの演奏ではない。時折、アインザッツが乱れるようなところもあったが・・・・。通り一遍の小奇麗な演奏が多い中、バレンボイムは前世紀的な演奏をする。ここが賛否別れるかも。

 バレンボイムの指揮から出るSKBのブルックナーは「精緻」ではない。そういう音楽ではない。むしろ時折「岩」のような断面がある。そういう音質を出せる指揮者やオケが少なくなった。ある意味、貴重だ。

 私の好きなブルックナーの演奏とは違うのだが、でも、それでもバレンボイムとSKBには満足した。

 この前、ベルリンに行った時はこの「ベルリン国立歌劇場」はまだ改装中だった。あと数年かかるらしい。
 このオペラ劇場で聴きたいなぁ、観たいなぁ。この「カルメン」。そして「ブルックナー」。

 さてさて、時刻は五時半を廻った。

 朝食の準備っと。
 またまた現実の始まり、その一週間の始まりだ。