東京にて

四月十六日(土曜日) 深夜。午前一時になる。

 昨日、十五日金曜日、仕事を終えて会社からそのまま新幹線に乗る。東京に着いたのは十一時前。そして常宿。十六日(土曜日)・十七日(日曜日)と久々の完全休日。新年度迎えて何かと忙しかった。いや、忙しい振りしていただけかも。例のごとく。
 ここ数日、私の住まいの地域は寒さ感じていた。風強いし。急に冬物の姿になった。が、さすがに東京は「暑い」。暖かいのではなく「暑い」。

 金曜日の仕事終えて「現実逃避」二日間モードに突入。

 都会で見る上弦の月、春の月もこれまたオツである。

 新年度、何かと忙しい感じしていた。まぁ、この間の忙しさの中の中年オヤジの失態は後ほど・・・。

【熊本地震】

 一昨晩は驚いた。午後九時半過ぎ、テレビや携帯電話のあの「緊急地震速報」の告げるあの例のアラーム。その連続・・・・あれはもう私には「耐えられない」ものである。だって、あの音は「3.11」を思い出すから。
 テレビもラジオも「熊本地震」の速報。予定番組変更してそのニュースである。
 あの「3.11」の時の自分を思い出した。居た堪れない。ほんと。

 あの時、私の地域は最大で震度六弱だったが、あの生まれて初めて震度六弱を体験した私だが、ほんと、あれはあれは・・・思い出したくない。あれは経験した人しかわからない恐怖である。その後の度重なる余震がまた不安を増大させた。

 この3.11の事・・・あまり話題にしたくない・・・。辛いから。

 兎に角、兎に角、早く早く、安心・安全を取り戻してほしい。心からその一言。

【いろんな事があった四月前半を忘れて】

 さてさて、現実逃避・・・。嫌なこと忘れて。
 例のごとくホテル近くの酒屋で「焼酎れんと」仕入れてホテルの部屋で侘びしく。随分呑んでいる。たまにはいいだろう。

 久々に森恵を。
 「真夜中のドア」という曲。この曲知らなかった。それにこの歌、79年のヒットだというが、全然知らない私。松原みきなる歌手も知らない。あらららら。

 森恵の最新アルバムに入っているとのこと、早速ポチする。
 そして、その歌の画像があった。

○真夜中のドア
歌)森恵



 いい歌だねぇ、森恵が歌うと今は私にとって「なんでもいい」かも?(笑)


【M・ポリーニを追いかけて】




 今回、この週末に東京に来た目的は「ポリーニ」である。今日の夜、サントリーホールでのリサイタルが主目的。
 実は私は、このポリーニは一週間ほど前に川崎で聴いている。 それは四月の九日に川崎のミューザで行われたリサイタルだった。
 曲目が
4/9 川崎ミューザ P:ポリーニ

ショパン:前奏曲Op.45、
ショパン:舟歌、夜想曲Op.55、
ショパン:子守歌、ポロネーズOp.53

ドビュッシー 前奏曲volⅡ

《アンコール》
ドビュッシー:沈める寺、
ショパン:バラード1番


 プログラムが当初発表とは違ったのだが・・・・。このドビュッシーが絶品だった。素敵な一夜だった。
 私、ポリーニはデビュー以来、どうも「大好き」にはなれない一人のピアニストである。この日記でもあまり良いこと書いていないかと思う。
 だけどここ数年、なんだかこの人の演奏に心惹かれる。以前感じたあの「冷たさ」がないような・・・。

 私、上記演奏会は久々に余韻があるのである。ほのかに香る余韻が・・・。ポリーニ・・・若い時の彼からは感じることなかった「人間味」が感じられて・・・。だが、それはあの若い時のポリーニの大ファンからすると「テクニックが衰えた」と映るらしい。
 いや、そんなことない。私、あの若いポリーニよりも、今のポリーニのほうがずっといい。今のポリーニには惹かれるものがある。

 そして、確かニ月の日記のどこかに書いたけど、今年二月の初めにパリに行った時、ちょうどこのポリーニがパリでリサイタルを開催していた。当然それを聴いた。目当てだった。そしてそして、そのリサイタルがとっても素敵だった。私を虜にした。
 「ポリーニってこんなにいい情感があったっけ?」なんて失礼だが思った。ほんと、ほんと、感激した。

 その時のプログラムは

2/8 パリのライブ
会場 フィリハーモニー・ド・パリ
曲目

シューマン:「アレグロ」op8
シューーマン:「幻想曲」ハ長調op17
ショパン:舟歌 op60
ショパン:ノクターンop55
ショパン:「幻想ポロネーズ」op61
ショパン:スケルツォ第三番op39
《アンコール》
ショパン:エチュード「革命」
ショパン:バラード第一番

 そして、演奏の冒頭に「ブーレーズに捧げる」ということで、
・シェーンベルグ:ピアノのための六つの小品

 が演奏された。

 実に感動的演奏会だった。過去に彼のリサイタルを何度も聴いているけど、私、このパリ公演で彼の魅力に出逢えたと思う。それは、。若い時のあのイメージのポリーニとは違う。とってもとっても素敵な、そしてとっても魅力的なポリーニだった。それは「崇高」とか「孤高」とかいうのだろうか・・・・。
 テクニック酷使の弾きまくりとは相対する弾き方に感激した。私、「悟りの境地」だと感じた。

 そして、思ったのは、彼が四月に日本で演奏することはわかっていた。それまでは興味なく、チケットも購入していなかったのだが、このパリ公演を聴いて急いで川崎の4/9、それから今日のサントリー4/16、それから来週の同サントリーの4/21のチケットをゲットした。
 ポリーニの実力は認めていても、これほどまでに彼に夢中になるとは思わなかった・・・・・。

 ただ・・・ただ・・・心配な要素が・・・

 パリでは、その境地が完璧だったけど、川崎ではどこかどこか旅の疲れ?、あの往年のポリーニからすると・・・ちょっとミスというか・・・流れが悪かったかな?とも。
 でも、でも、川崎のチケットをわざわざ買った理由はホールの響きである。どうも私はサントリーHでのピアノの響きはイマイチに感じていて・・・・・。なので無理して川崎も聴いた。それは正解だったかも。
 今日の夜のサントリーが響きの面ではちょっと心配。

 欲をいえば・・・例えば首都圏だったらば、神奈川県立音楽堂で聴きたいのだが・・・。それは諸事情から無理だろうなぁ。ならば、せめて上野の文化会館大ホールだろうなぁ、ピアノ・リサイタルは。本当は紀尾井とかトッパンとかの中ホールがいいのだが。

 そうそう、あのパリのフィルハーモニーだって、ちょっと音がおかしいと思うけども、あれはあれで素晴らしい。それに、あそこ、まだ開館から一年だからまだ本当の響きはわからない。

 今夜の演奏はどうだろう? 期待している。
 そう、川崎の演奏でも感じたことある。彼の今の演奏の境地は「満開の桜」ではない。その満開の桜に酔いしれいている情景ではない。違う。そういう境地ではない。だから、だから惹かれたのだろう、今の私。

 また追って詳しい感想書きたくいる。

 youtubeの中から、こんなショパンがある。日本ライブだろうか?。数年前の。

○ショパン:夜想曲第八番op27-2

(ピアノ)M・ポリーニ



 今夜はどんな演奏を披露してくれるだろう・・・ポリーニ。


 こんな音源もあった。懐かしい。我が家にももちろんCDがある。LPもある。なにを隠そう、私がポリーニのLPを自分で購入した最初の一枚がこれだった。若い時のポリーニ。
 正直言って、このLP聴いた時は「冷たいなぁ」と思ったけど・・・・笑。まぁ、カルチャーショックだった。
 そういえばだが、私が東京下宿生活の時代、下宿近くの名曲喫茶ではこのポリーニのこのLPがよく流れていたなぁ。

○シューベルト:「さすらい人幻想曲」

ピアノ:M・ポリーニ



 時刻は午前二時になろうかと・・・・。
 またまた「れんと」オンザロックをもう一杯。今晩のポリーニを期待して。