「大変お待たせしました、いや誰も待ってないし…」の中華お取り寄せ映画、今日は「一代英豪」 (別題 : 枯月流星斬、1979年、Hero of the Time)を紹介したい。

 

北宋の時代、無敵の黄金拳法を操る悪党のボスと戦う男たちを描いた作品だ。1970年代らしいタイトルバックにほっとするんだけど、「そんなこと言うのは年寄りだけ」なんてことはないよね。

 

江湖の達人と言われるそのボスの呂黄を演じるのが龍飛だ。

 

不死身の身体を金色に光らせる無敵の“金身勝功”という技を持つ呂黄は、東城県一帯を牛耳っており、武術者から権力者までが逆らえず彼に服従している。

 

一味の中でも腕の立つ刺客の1人に宗華。高い武芸のスキルを持ちながら、呂黄のもとにいる香蘭という女性を愛するが故、呂黄に服従している。

 

香蘭役には陳莎莉 (サリー・チェン)。

 

知事から派遣されてやってきた熊天君にスーパーキッカーの譚道良(タン・トゥリャン)。

 

その相棒で老酒鬼と呼ばれる酒飲みに張允文。彼らは東城県の警吏を殺した犯人を追うが、刺客は宗華であり、譚道良の兄弟子であった。字幕がなくてもストーリーが追える程度の展開に加え、謝光南の演出が誰の眼にも冗長・稚拙なのが明らかなのが実に残念。でも、そんなときこそ、粗探しはしないで少しでも楽しめるところを見つけたいもの。

 

譚道良を毒殺しようとする悪党一味の妖精?役に胡錦が登場する。フー・チン姐さんの存在は、ヒロインが素晴らしければ素晴らしいほど、チョイ役であればあるほど光るのだが、本作はヒロインらしきものが不在なのでわりと目立っちゃう。

 

キャラの濃いフー・チン姐さんのほかに、顔の濃い陳星(チェン・シン)も出てくる。冒頭に登場して宗華にすぐ殺されてしまうのでガッカリしたのだが、実は死んでなくて再登場、という設定。ちょっと呆気にとられたが、

 

 

結局、龍飛と戦ってまた殺されちゃう……って、なんなんだ。

 

いつも徳利を手放さない張允文は案外強いが、酔拳のように、酒の力で技が冴えるというわけではない。

 

笠を一度も脱がない宗華も雰囲気は十分だが、アクションで見せるタイプではないので、

 

なんだかんだ言って、譚道良の足技だけが見どころという感もなくはない。

 

その他の出演者に、鄒忠義、張寶善、史亭根ら。

 

金粉を塗りたくったように見えるけど、これは金なんです。金身勝功というのは、金属のようなボディに変身することで攻撃を受けてもビクともしない不死身になる、というもので、

 

3人がかりで戦ってもなかなか倒せない。こういうシーンも、結局は譚道良の足技頼みだが、

 

力量のある監督なら、譚道良の足技をもっと活かした演出をするところなんだろうな、と思った一作であった。でも彼のファンにとってはスーパーキッカーのアクションが見られるだけ幸せで、むしろ、宗華の影が薄くなるほど活躍している。

 

いろいろケチをつけているようにも見えるけど、こういう作品を観てるとやっぱり幸せな気分になる私である。日本語字幕も英語字幕もないと、「これ、なんて言っているんだろうな」などと思ったりもするのだが、この映画に関しては、台詞が分かったからより面白いというわけでもなさそうだから大丈夫。……って結局ケチをつけているじゃん。