kazzpの音楽&映画
  • 16Dec
    • 大刀王五

      今日の映画は、張徹(チャン・チェ)と鮑學禮(パオ・ シュエリー)が演出した「大刀王五」(1973年、The Iron Bodyguard)である……という書き出しが懐かしいほど、久しぶりのブログです。たまに映画は観ているんだけど、中華系の作品以外はなかなかアップする気にならず、入手できるもので観たいものは観尽くした感もあって、以前観たやつをもう一度観直すしかないかな、などと思っているところです。さて、映画のほうである。清朝末期の武術の達人、王五を演じたのは、陳觀泰(チェン・カンタイ)。この時代の改革主義者として知られる譚嗣同(たんしどう)に岳華(ユエ・ホワ)。実際には子供のころから王五に武術を習っていたとされるが、この映画では、成人してからの彼が王五と出会い、改革への協力を申し出るというストーリーになっている。朝廷側の役人にはボスの佟林や下っ端の江島などが出演するが、主人公たちと最後まで絡む重要な役割は姜南が演じている。主人公の愛人には貝蒂(ベティ・ペイ・ティ)が例によって女性ならではの雰囲気をアピールする一方で、岳華の妹役の李麗麗(リリー・リー)は、命を投げ打って朝廷に立ち向かう主人公たちを案じる役。主人公の片腕を演じた李修賢(ダニー・リー)は、闘いの最中に命を落とす。何と言っても、敵は数も凄いが鉄砲持ってるからね。それもあって、一対一のアクションの見せ場があまりないのが残念。ストーリーの都合上、大勢の敵に銃で狙われても死ぬわけにはいかない。映画の最初のほうに、主人公の命を狙う達人が留守中に来て、出されたお茶をこぼすことなくテーブルに拳でこんな穴を開けて帰った、という弟子たちの報告がある。主人公は「すごい腕の持ち主だ。絶対手を出すな」と注意するのだが、盧迪演じるこの敵が弱すぎて話にもならず、闘い半ばで一度は去っていくのだが、これをラスボスとして再登場させるのは、主人公に失礼なんじゃないの、と思うようなクライマックスのアクションであった。でも、本物の敵は朝廷なんである。最後の1人になっても権力に立ち向かう主人公の姿を映して映画は終わる。

  • 16Apr
  • 17Mar
    • 黄金無頼

      最近、忙しくて全然映画見てなくてブログ更新してない。久しぶりにご紹介するのは、ナンド・チチェロ監督の「黄金無頼」(1967年、ProfessionistiPerUnMassacro)である。南北戦争初期のアメリカを舞台にしたイタリア製西部劇だが、主人公は3人いるんだなぁ。「真昼の用心棒」や「サルタナ」シリーズ第5作のジョージ・ヒルトンは、火薬の使い手。「黄金の三悪人」や「荒野のお尋ね者」のエド・バーンズは拳銃の達人。「続・荒野の1ドル銀貨」や「 さすらいの一匹狼」など悪役イメージの強いジョージ・マーティン(左)は、馬泥棒。という3人が活躍するアクションだ。1人ずつだと圧倒的にヒーローらしいオーラが不足しているわけで、3人まとまることの面白さがどれだけ引き出せるか、なんだけど、火薬や拳銃の使い手といっても、なかなかその個性の見せ場がない。そこここにアクションシーンもあるんだけど、どれも思い切りが悪いというか切れがないというか、爆発力が足りないのは、ちと惜しいな。顔見せ程度の紅一点にモニカ・ランドール。そのほかジェラルド・ハーターやホセ・ボダロらが出演している。もっとダイナミックさがあればと思った一作であった。これ、キャストの問題なのかな。チチェロ監督は「Due volte Giuda」というのを見たことがあるけど、出演陣の個性があまり活かされていなかったような印象があり、演出の力強さの問題なのかな。 黄金無頼 スペシャル・エディション [DVD] 2,720円 Amazon

  • 05Mar
    • 紅場飛龍

      今日は久々の香港映画です。霍耀良(クラレンス・フォク)監督の「紅場飛龍」 (1990年、The Dragon from Russia)を紹介したい。TV放映時の邦題は「赤の広場の龍」である。マフィアの殺人現場を目撃した主人公が襲われて記憶を失い、殺し屋として訓練されてしまうという話。知らない間に殺し屋になってしまった主人公に許冠傑(サミュエル・ホイ)。私の世代にとっては「Mr.BOO!」がまず頭に浮かぶが、その前にジミーさんと共演した「いれずみドラゴン 嵐の決斗」が見たくてたまらない。ホイの妻に張曼玉(マギー・チャン)。家族には石天(ディーン・セキ)や李麗蕊(サラ・リー)など。いろんな俳優が出てきます。吳家麗(キャリー・ン)に右は孫興(スン・シン)。なんと、懐かしい白鷹(パイ・イン)などもアクションを見せてくれる。アクションは総じてスピーディで、90年ということもあってワイヤーも駆使している。まあ、現代劇にしてはやりすぎの感もあるけど。男優陣ではこのほかに元德(ユン・タク)、元華(ユン・ワー)など。女優では、ジェット・リーの奥様の利智(ニナ・リー)が、アクションでも活躍する。そのほか、李麗珍(ロレッタ・リー)、梅愛芳(アン・ムイ)など。やはり70年代の素朴なカンフーアクション映画と比べると、やはり見ていて今一つテンションが上がらないのは私の好みのせいが大きい。入手できるものは観尽くした感もあるが、もう少し70年代にこだわって探してみよう。 Mr.BOO! ミスター・ブー デジタル・リマスター版 [DVD] 927円 Amazon 新Mr.BOO! アヒルの警備保障 [Blu-ray] 1,473円 Amazon Mr. BOO! 天才とおバカ [Blu-ray] 1,486円 Amazon Mr.BOO! インベーダー作戦 デジタル・リマスター版 [DVD] 933円 Amazon 悪漢探偵 デジタル・リマスター [DVD] 991円 Amazon

  • 23Feb
    • 再会のパリ

      今日ご紹介するのは、ジュールス・ダッシン監督の「再会のパリ」(1942年、Reunion in France)。舞台はもちろんパリで、出てくる人たちはフランス人とドイツ人が中心だけど、アメリカの俳優が英語で喋るアメリカ製の第2次世界大戦中を背景にしたラブロマンスだ。よくできている映画だなと思うんだけど、日本で劇場未公開なのは製作年度の関係だけなのかな。主人公のミシェルにジョーン・クロフォード。生活や金の苦労も知らないお嬢さんは、これまた裕福な工業デザイナーのロバート(フィリップ・ドーン)と婚約中だが、ミシェルはナチスに家を取られ、ロバートがナチスの上層部と懇意にし、ナチス軍のトラックなどの製造に加担して潤っていることを知り、ショックを受ける。そんなときに出会ったのが、ナチスに追われている空軍パイロットのアメリカ人。ここでジョン・ウェインの登場だ。すっかりナチスの協力者、フランスの裏切者としてミシェルを苦しめていたロバートの正体が明らかになる頃には、これは単なるラブロマンスじゃないぞ、という雰囲気になっていく。緊迫感溢れる脱出行なども盛り込まれ、最後まで見る側を引き付ける。レジナルド・オーウェンやジョン・キャラダイン、アン・エイアーズなど、助演陣の好演も印象的だ。 再会のパリ [DVD] 4,104円 Amazon 世界の国 1位と最下位――国際情勢の基礎を知ろう (岩波ジュニア新書) Amazon

  • 04Feb
    • 2月3日 小松貴子&友重和彦トリオ

      今夜は、朝霞のJazz喫茶「海」でのリーダーライブでした。ボーカルは小松貴子さん。ベースが関口浩さん、ドラムが松本はるかちゃん。今日は文字どおりの満席。2ステージ聴いていただきました。お客さんの中にちょうどボーカル、ピアノ、ベース、ドラムスがいたので、セッションタイムで演奏してもらいました。大勢のお客様にいらしていただき改めてお礼申し上げます。このお店での次回のライブは4月になります。2月10日には埼玉・日高市の高麗ブルーベーリーファームで、翌11日には東京倶楽部・本郷店で演奏します。

  • 25Jan
    • 野球狂の詩

      今日の映画は「野球狂の詩」(1977年日活、加藤彰監督)です。少年マガジンに連載された「野球狂の詩」はまさに私の中学・高校時代を代表する野球漫画の一つ。ジャンプの「キャプテン」「プレイボール」、チャンピオンの「ドカベン」(サンデーの男どアホウ甲子園は時期がちょっと前かな)と並んで、水島新司の野球漫画に夢中になった同級生も多かった。漫画は短編読み切りでスタートして連載開始のタイミングで女子高生投手の水原勇気が登場したが、この映画は、まさに連載開始当初の、水原勇気の東京メッツ入団前後のエピソードを約1時間半にまとめたものだ。水原を演じたのは当時のアイドル、木之内みどり(現在竹中直人の奥様)だ。53歳の現役投手、岩田鉄五郎に小池朝雄、監督の五利に桑山正一。小池は投げるときちゃんと「にょほほ~」と言います。球団オーナーに藤岡重慶、犬神総裁に高木均、スカウトの尻間に谷啓など。東京メッツのメンバーでお馴染みの国立、日の本、岩田清志なども登場するが、あくまで顔見せ。代わりに、一軍と二軍を行ったり来たりする軍曹こと捕手の武藤(鶴田忍)が活躍する。真ん中は寮母を演じた石井富子。脱ぎこそしないがお色気十分。山科ゆりが武藤の妻役で出てくるのも日活ならではだ。水原の父に犬塚弘、母に高田敏江。まあ、こうした俳優陣に大きな役柄は与えられておらず、あくまで漫画の設定に沿って登場させているだけ。原作を知っている人は「なるほど、こういうイメージなのね」と思う楽しみもあるけど、物語の展開の上では不必要だなと思うシーンも多い。力道玄馬(丹古母鬼馬二)なども映画の中でさらりと登場させるが、コミックファンへのサービス以外の何物でもなく、やはり無理があるんだよなあ。帯刀を演じた高岡健二は野球経験者だけに他に俳優とは比べ物にならないくらいサマになっているが、全体的には練習風景なども草野球以下でプロ野球のイメージとは程遠いし、国分寺球場もプロが使う野球場とは思えない規模だったりして、70年代のB級日活映画そのものだ。原作はあくまで漫画であり、野球映画として見せているのでないから、これはこれでいいじゃん。野球界の人たちもうまく引っ張って来てます。当時の南海ホークスの野村克也、藤田学、大阪アパッチの監督に豊田泰光、コーチに辻佳紀、解説者に江藤慎一と、野球ファンにも楽しんでもらうという姿勢が見られる。水島先生もちゃんと台詞入りで登場するのがすごい。一番のポイントは、東京メッツがドラフトで指名するほどの水原のピッチングを実写でいかに表現するか、という点であろうが、ここにもいろいろな苦労や工夫の跡が見られます。アイドルをプロ野球投手に見せるのは大変だっただろうが、こっちも本気で見てないのでむしろ楽しめるくらい。一番大事なのは、水原勇気は漫画の中でもアイドル的存在だということで、そこは映画でも木之内みどりが十二分に魅力を発揮している。着替えで下着になるシーンや入浴シーンはもちろんだが、投球シーンやバッターボックスでのシーンでも、可愛らしさを振りまいた。私、当時は、日本の女優では若尾文子一押しだったので、木之内みどりはノーマークだったけど、今見ると、当時の人気も頷けます。というか、高校生のときの私の趣味趣向はちょっと間違ってたのかな。最近、野球狂の詩を1巻から読み直し始めたところだが、学生時代だから面白かったわけではない、今読み返しても、最高に面白い。 野球狂の詩 HDリマスター版 [DVD] 2,448円 Amazon 〈ANIMEX 1200シリーズ〉(12) オリジナル・サウンドトラック 野球狂の詩 1,296円 Amazon 野球狂の詩 DVD-BOX 36,936円 Amazon

  • 19Jan
    • さすらいのガンマン

      前回に引き続き、セルジオ・コルブッチ作品、今日は「さすらいのガンマン」(1966年、Navaho Joe)である。アパッチインディアンの集落が盗賊に襲われる。妻を殺されたインディアン青年の復讐劇だ。主役のジョーを演じたのはバート・レイノルズ。これが映画初主演かな。トレードマークの髭がないばかりか、スリムだし。盗賊の親玉で、残忍な男を演じたのがアルド・サンブレル。彼らに暮らしをめちゃくちゃにされる町の住人たち。医者にピーター・クロス、神父にフェルナンド・レイら。医者の助手を務めるインディアン娘にニコレッタ・マキャヴェリ。酒場の女にタニヤ・ロペール(左)、フランカ・ポルセッロ、このほかルチア・モドゥーニョ。列車の襲撃や町での銃撃戦などもあり、アクションシーンもいろいろ工夫されているし、一人で大勢の悪党たちに立ち向かう主人公に手を貸すインディアン娘や酒場の人間などの絡みなど、安心して観ていられる一作だ。ナバホ・ジョーを連呼するモリコーネの主題歌は、劇中、耳についてかえって印象が悪い、というくらいインパクトがある。ラストのシチュエーションもいいんだけど、思ったよりシンプルで、もう少し工夫が欲しかったところだ。先に紹介した「黄金の棺」の出来がよすぎたせいもあるかな。 さすらいのガンマン [Blu-ray] 5,184円 Amazon マカロニ・ウエスタン・ベスト・セレクション 1,993円 Amazon さすらいのマカロニ・ウエスタン~ ― オリジナル・サウンドトラック 2,621円 Amazon

  • 16Jan
    • 黄金の棺

      2回続けてセルジオ・コルブッチ作品を紹介しよう。今日は、黄金の棺(1966年、I Crudeli)である。これが日本では劇場未公開なんて信じられない傑作である。主人公は元南軍兵士のジョナス。彼と3人の息子たちは南軍を建て直す資金を得るため、北軍の輸送部隊を襲撃し大金を強奪、荷馬車に積んだ棺の中に金を隠し、未亡人役を雇う。亡き夫の埋葬に向かう一行を装った彼らの逃亡の道中の物語だ。それにしても、ジョセフ・コットンって、オーソン・ウェルズ、ヒッチコックなどさまざまな作品に出ていながら、マカロニウエスタンで悪役もやるんだから凄いね。末の息子にジュリアン・マテオス。彼だけ父親と血がつながっていないという設定。要するに、ほかの2人の息子たち(ジーノ・ペルニスとエンジェル・アランダ)は性悪なんです。未亡人役のキティ(マリア・マーティン)がアル中で、失敗ばかりやらかすので、長男がついに彼女を殺してしまう。で、町のバーで見つけてきた代役がクレア(ノーマ・ベンゲル)。しかし、彼らの道中には想定外の事態が次々と待ち構えており、絶対開けられてはならない棺が、幾度と危機に襲われる。墓場に埋められた棺を掘り返したり浮浪者(アル・ムロック)に襲われたり、インディアンたちに命を奪われそうになったり、見る側をしっかりと引き付けたまま意外なエンディングまで突っ走る痛快な一作である。サントラ好きの間ではよく知られるレオ・ニコルズ名義のエンニオ・モリコーネの音楽が映画の雰囲気を盛り上げている。セルジオ・レオーネならこれで2時間半は撮るのかなとも思ったりするが、あっさり1時間半で見事にまとめたコルブッチが素晴らしいので、次回も続けてコルブッチを紹介しちゃいます。 黄金の棺 MWX-009 [DVD] 540円 Amazon 黄金の棺 Amazon

  • 14Jan
    • 攻撃命令

      今日ご紹介するのは、1946年のイギリス映画、チャールズ・ショーヴェル監督の「攻撃命令」(TheFightingRatsofTobruk)である。イギリス人の作家(ピーター・フィンチ)が、オーストラリアで牧場生活の取材中、牛追い(グラント・テイラー)や猟師(チップス・ラファティ)と知り合う。折しも開戦となり、3人はアンザック軍に参加、その後、リビア戦線へと展開していく。女優陣にはポーリーン・ギャリック、メアリー・ゲイなど。俳優もピーター・フィンチ以外知らない人ばかり。ドイツ軍と比較して圧倒的に戦力の乏しい彼らが長期間、塹壕で耐え忍んでトブルクを死守し、「砂漠の鼠」とロンメルを驚かせたというエピソードを描いたものなのであろうが、異色作と言われるのも頷ける。ドキュメントを見ているようで、ドラマ的にな盛り上がりを意識していないかのような作品だ。わずか68分の映画だが、とても長く感じられ、どこに作品の力点があるのかが分からないまま終わってしまった。とりわけ、ラストシーンには脱力。たまにはこういうこともあります。 攻撃命令 [DVD] 3,024円 Amazon 地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン [DVD] Amazon

  • 11Jan
    • Uボート略奪

      今日ご紹介するのは、「Uボート略奪」(1943年、TheSilverFleet)である。日本では劇場未公開で、監督のヴァーノン・ソーウェルも、作品のほとんどが日本では公開されていないようだ。舞台は第二次大戦中のナチス占領下のオランダ。造船所のオーナーで優秀な技術者でもあるレイデン(ラルフ・リチャードソン)は潜水艦2隻の製造を受注しナチスに協力する。従業員や仲間からは売国奴と言われるレイデン。一方、Silver Fleet(銀艦隊)を乗っ取って自由を勝ち取ったオランダの英雄、ピート・ハインの名前を使った何者かの指示で破壊工作が進められるが、実はナチスに協力するふりをして破壊工作を立案していたのはレイデン自身であった。町の人たちから売国奴の家族として嫌われても夫を信じるライデンの妻にグーギー・ウィザース。ナチスに協力しては足らなければ生活できない従業員やその家族にチュールズ・ヴィクターとドロシー・ゴードンら。小学校で英雄ピート・ハインについて教える女教師にキャスリーン・バイロン。ナチスに貢献しながらも彼らを欺いている緊張感たっぷりの作品で、従業員たちにはナチス側の人間と思われながらも、厳戒態勢の中で破壊工作を進める主人公ライデンの強い意志が描かれる秀作だ。友達のいじめにも耐える息子との別れのシーンも印象に残る、「見ておいてよかったな」と思った一作だ。新作や話題作の類とはまったく無縁のブログを書いている私だけど、だからこそ、あまり知られていない未公開の佳作と出会うチャンスもあるんだなあ。でも、珍作、迷作は最優先で紹介します(笑)。 Uボート略奪 [DVD] 3,024円 Amazon

  • 08Jan
    • 地獄への退却

      今日ご紹介するのは、ジョセフ・H・ルイス監督の「地獄への退却」(1952年、Retreit, Hell ! )である。朝鮮戦争が勃発し、予備役の将校として緊急招集を受けた海兵隊のハンセン大尉(リチャード・カールソン)が主人公。大尉はもっぱら通信担当で実戦からは遠ざかっていたばかりか、妻(アニタ・ルイーズ)や子供たちも宿舎に連れてきていた。家族優先で厳しさの欠けているハンセン大尉に緊急時であることを強調し厳しく接する大隊長、コーヴェット中佐にフランク・ラヴジョイ。緊張感のない少年兵たちを指導するノヴァク軍曹にネッド・ヤング。ここまでは、若い兵を率いた実戦経験の少ない主人公の成長を描いたドラマが展開するのかなと思うのだけど、部隊が凄絶な仁川の敵前上陸を果たしてからは、非常にリアルな戦争ドラマとなる。日本語か中国語か分からないようなセットも出てくるし、ドキュメント映像を繋いだりもしているが、細かいことはあまり気にならない。人海戦術で攻める中国兵が常に周りを囲む中での過酷な道のりを舞台は進んでいく。敵兵が見下ろすシーンはまさに西部劇の待ち伏せシーンのようだし、ジープの中からのショットは幌馬車隊のシーンのようでもある。そういえば、音楽を担当したウィリアム・ラヴァも西部劇でときどき見かける名前だな。戦闘シーンの中で若い少年兵(ラスティ・タンブリン)の心理がうまく描かれていたり、家族を優先する主人公に厳しい目を向けていた独り身の中佐が戦地の子供たちに食べ物を与えるシーンなどもさりげなく挿入されていていい。多くが死傷した中での中佐の「敵が妨害しても突破し、橋が壊されても建て直す、敵の妨害には屈せず、ライフルや銃剣、手りゅう弾、素手で戦う」という言葉が印象的だ。弾が尽きても銃剣で戦おうとするシーン、凍傷になる兵が続出する厳寒の地での進軍シーンは、「退却はしない」という彼らの決意を見事に示している。なかなか見ごたえのある一作であった。その他の出演者は、中尉役にラモント・ジョンソン、その妻にドロシー・パトリックなど。 地獄への退却 [DVD] 3,024円 Amazon

  • 06Jan
    • 帰郷

      今日ご紹介するのは、マーヴィン・ルロイ監督の「帰郷」(1947年、Homecoming)である。クラーク・ゲーブル演じる軍医が主人公。友人(ジョン・ホディアク)の登場を通して、他人に思いやりのない、何事も自分中心の男として描かれる。その彼が、愛する妻(アン・バクスター)がいるが、彼女を残して戦地へと赴き、同じ部隊に所属する看護師と恋に落ちる話である。ストーリーは特筆すべき点も見当たらない凡庸なメロドラマだ。大戦中の戦地で働く医師が主人公だけに、戦地でのシーンや手術のシーンなどもある。また、人の生死に関わって主人公が人間的に成長するという点も描かれたりもする。が、要は戦争を背景にしたメロドラマ以外の何物でもないわけで、そういう点で、この映画は短気でちょっと変わった看護師を演じたラナ・ターナーの魅力に尽きるだろう。もちろん、他の女によろめいた夫を信じてひたすら帰りを待ち続ける妻を演じたアン・バクスターも美しさでは負けていないのだけど、やはり存在感が違います。写真左は母親役のグラディス・クーパー。このほか、レイ・コリンズなど。「なんだよ、メロドラマじゃん」と思いながらも、最後まで見てしまいました。というわけで、クラーク・ゲーブルについて全然触れなかったので、DVDでも貼っておきます。 荒馬と女 [DVD] 1,533円 Amazon 或る夜の出来事 日本語吹替版 クラーク・ゲーブル DDC-012N [DVD] Amazon ナポリ湾 [DVD] 1,500円 Amazon 風と共に去りぬ メモリアル・エディション (初回限定生産/3枚組) [Blu-ray] 5,173円 Amazon

  • 01Jan
    • 五遁忍術

      皆様、あけましておめでとうございます。昨年は記事の数もすっかり減ってしまったけど、今年もこのブログ、よろしくお願いします。新年一発目は恒例の香港映画です。張徹(チャン・チェ)監督の「五遁忍術」 (1982年、Five Element Ninjas)。日本でもDVDが出ていて、邦題は「少林拳対五遁忍術」なんだけど、別に少林拳と忍術の闘いではない。程天賜(リッキー・チェン)主演。これだけで、ヒーローものではなくて、チームでアクロバティックに戦う作品だろうな、と分かる。以前紹介した、同じ張徹監督の「沖宵樓」とキャストもかなり重複してます。武林の盟主、袁[(關鋒)に対立流派のボス、康(詹森)が闘いを挑むが、劣勢。康側は切札の日本人武士(黃偉棠)を出してくるが、最後には袁側にやられてしまう。そこで、彼の師である忍者之王が“五遁陣”なるフォーメーションで待つ、という果たし状を送る。陳惠敏(チャーリー・チャン)演じるこの忍者之王、剣淵夢道(けんぶちむどう)というすごい名前だ。袁側は先発隊を送り込む。五遁陣は、金・木・水・火・土の各ゾーンで構成され、それぞれの忍者が彼らを待ち受ける。最初のゾーンは「金」。「木」。これ分かりやすいね。水遁の術の「水」。これが「火」のゾーン。最後の「土」はモグラ叩きのように地中から忍者が現れたり消えたりする。張耀星、蕭玉、林志泰、王華など、先発隊全員が彼らにやられてしまう。冒頭では出番の多かった龍天翔もここで無念の死。道場に残った者たちにも、剣淵が送り込んだ女忍者によって敵の魔の手が忍び寄る。敵とはいえ、本作のヒロイン的存在となる純子というくノ一を演じたのが陳佩茜。知らない女優だが、アクション女優じゃないので忍者にしては動きがいかにもダサい。大勢の忍者たちが道場に乗り込んでくるが、忍者たちが使う武器の名前が表示される。実は、映画の冒頭で、登場する忍者の武器や衣装は、徳川幕府刑事図譜などいくつかの文献を参考にしたものだと説明され、所蔵品や著作者の名(もちろん日本人)が何人か紹介される。どこまでリアルなのかは定かではないが、忍者が使っていた武器や衣装を映画で再現している、ということなのであろう。ここまで活躍してきた羅莽(ロー・モン)が純子の手によって殺されてしまうのが残念。袁の盟主も殺されてしまい、生き延びたのは主役の程天賜だけ。彼は、忍術をよく知る老師(周小來)を訪れ、兄弟子たち(王力、余太平、朱客)と修行に励む。ちなみに、本作のアクション監督は程天賜と朱客となっている。修行シーンはいささかあっさりしすぎ。五遁の各ゾーンにどう対抗するかなどは明らかにされない。クライマックスは剣や槍などの武器を使った闘いで、チャーリー・チャンの足技は見られないのかなと思ったら、途中から鉄爪のついたスパイク足袋を履いての足技攻撃となり、ファンも納得してのエンディングとなる。どうでもいいシーンに時間を割いたり、5つのゾーンの忍者たちの攻略方法などはあっさり端折られていたりもするし、そもそも強烈なヒーローが存在するわけでもない。が、本作はアクションシーンが身上だけに、アクションさえちゃんとしていればある程度満足感は得られる、ということを示したような作品でした。 少林拳対五遁忍術 [レンタル落ち] Amazon 少林拳対五遁忍術 [DVD] 3,990円 Amazon

  • 29Dec
    • 沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇

      今日ご紹介するのは、「沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇」(1995年、LaCeremonie)である。女流ミステリー作家、ルース・レンデルの小説をクロード・シャブロル監督が映画化している。新しい家政婦(サンドリーヌ・ボネール)を雇い入れた裕福な一家に起こる惨劇を描く。彼女と面接するのは、なんとジャクリーン・ビセット。そう、ビセットが出ていなければこの映画は見ていなかったと思う。きっかけはどうであれ、この映画はすごいです。夫(ジャン=ピエール・カッセル)は工場主、妻(ビセット)は元モデルで画廊を経営、息子(ヴァランタン・メルレ)は妻の連れ子、娘は夫の連れ子という家庭の状況もうまく表現されている。娘役のヴィルジニー・ルドワイヤンは、このときまだ10代。極めて寡黙ながら真面目に働く ソフィーには誰にも言えない秘密があった。この映画は是非ご覧いただきたいので、詳細には触れないことにしよう。途中から物語に関わってくる郵便局員のジャンヌが、また怪しい。このときすでに40歳を過ぎている彼女だが、私の好きな映画、「夕なぎ」にも10代で出演している。最近の作品では、「愛、アムール」が出番は少ないけど印象的だった。私が号泣したこの映画も、ぜひ見ていただきたい一作です。話は映画に戻って、この2人が狂気に駆られていく展開が、普通に見てる分にはまったく予想外で凄い。とはいえ、単に奇抜なスリラーサスペンスというのではなく、鏡をうまく使った撮影で人間関係や会話をうまく表現したり、オペラを使ったクライマックスなど、さまざまな趣向を凝らして楽しませてくれる。50歳過ぎてるのにまだまだ美しいビセット目当てで見たけど、映画自体が、テンポ感も絶妙で一気に見せてくれる力作だった。詳しく書けないけど、あとは見てください。秘密にしてばかりじゃ申し訳ないので、ちょっと車の話を書きます。ビセットが乗っている車はホンダ。ご主人のほうはルノーに乗っている。ちなみに我が家もルノーです。娘はプジョー205じゃん。で、よくエンジンが止まる、という設定のイザベル・ユベールの愛車が、やっぱりシトロエン2CV(笑)。車だけでも楽しめます。 沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇(〇〇までにこれは観ろ! ) [DVD] 2,052円 Amazon ロウフィールド館の惨劇 (角川文庫 (5709)) Amazon

  • 27Dec
    • 真昼の用心棒

      今日の映画は、「真昼の用心棒」(1966年、TempoDiMassacro)である。邦題だけだとつまんないマカロニウエスタンにしか思えないけど、監督がルチオ・フルチならとりあえず期待して見るでしょ?主人公である用心棒のトムにはフランコ・ネロ。故郷の友人から、村に帰ってきてくれという手紙を受け取ったトムだが、生まれ故郷に戻ると、兄の牧場は人手に渡っていたどころか、スコット一家にすべてを奪われ、村の銀行も飲み屋などもすべて彼らが支配していたのである。すさんだ生活を送っている兄にジョージ・ヒルトン。とりあえずマカロニの主役俳優が揃ったところで、悪徳の一家を倒す、という展開になる。あまり悪そうに見えないスコットにはジュゼッペ・アドバッティ(右)、しかし、その息子(ニーノ・カステルヌオーヴォ)が変でキモい設定。この息子に鞭で痛めつけられる主人公。中盤まではガンプレイはあまり見られず、クライマックスもこんな感じ。せめて、マカロニウエスタンお約束の美人女優が出るかなと思いきや、バーのマダムのリンダ・シニ(リン・シェイン)がちょっと顔を出す程度だ。ただ、敵だと思っていたスコットが主人公の実の父親だったり、飲んだくれていた兄が実は凄腕のガンマンだったり、主題歌が印象的でファンの間では結構有名だったり、ルチオ・フルチだから少し期待していたわりには、悪く言えばお約束のような展開だけど、ちゃんと楽しめるB級作品に仕上がっている。 真昼の用心棒 [DVD] 1,543円 Amazon

  • 23Dec
    • 12月23日「Jazz & Pops X'mas Live」

      今夜は、上福岡BLANCで「小松貴子♡accora jazz&pops X'mas Live」と題したライブの伴奏をしてきました。バックバンドは山口じゅんさん、内田藍さん、そして私のトリオ。ボーカルはaccora(左)と小松貴子さんが1ステージずつ、3rdステージは2人で一緒に歌う、という構成。また、3名のボーカリストのお客さんの飛び入りがあったほか、全員で一緒に歌うコーナーなども用意しました。上福岡BLANCは明日で閉店。ライブのほかに毎月セッションホストを務めさせていただきましたが、今夜が最後の演奏となりました。新しいお店のオーブンの際は、またセッションやライブで盛り上げたいと思います。私の今年の演奏は、28日(木)がイマジン(東松山市)、30日(土)がKocomo(行田市)、いずれもセッションホストを務めさせていただきます。

  • 17Dec
    • 狩人の夜

      今日取り上げるのは、俳優としてはよく知られるチャールズ・ロートンの唯一の監督作品、「狩人の夜」(1955年、TheNightIOfTheHunter)である。服役中に銀行強盗の隠した金の話を聞いた男(ロバート・ミッチャム)が伝道師になりすまして、隠された金を見つけるため、家族を付け狙う。銀行に押し入って殺人も犯して1万ドルを隠した男にまだ20代のピーター・グレイヴス。いやあ、若い。この頃まだ生まれていない私にとっての彼はやはりTV「スパイ大作戦」です。彼は警察に連行されるが、ミッチャム演じる狂信者は隠された金を奪わんと、彼の妻(シェリー・ウィンタース)に近づく。当時まだ生まれていなかった私の彼女との映画館での出会いは「ポセイドン・アドベンチャー」です。さらには幼い兄妹(ビリー・チャピンとサリー・ジェーン・ブルース)を恐怖が襲う。追ってから逃れるため兄妹が小舟に乗って川を下っていくシーンは幻想的というのかすごいな。演出は一口に言えば非凡。映像の強い力と不思議な音楽とのアンバランスに引き込まれて、変な映画だなとは思いつつもチャールズ・ロートンの才気と熱意の伝わる映画である。ちなみに、撮影のスタンリー・コルテスはフラーの「ショック集団」、「裸のキッス」なども撮ってるけど、この人のセンスは独特で魅力的だな。身寄りのない子供たちを引き取って面倒を見ている未亡人(リリアン・ギッシュ)が兄妹を救うが、クライマックスやエンディングも何となく掴みどころがない映画である。ロートンさんにはぜひもう一作撮って欲しかったものである。 狩人の夜 [DVD] 1,944円 Amazon

  • 13Dec
    • 怪奇と幻想の島

      今日ご紹介するのは、日本では劇場未公開のイギリス映画、「怪奇と幻想の島」(1968年、ガイ・グリーン監督、The Magus)である。イギリス人英語教師ニコラス(マイケル・ケイン)が、ギリシャの小さな島を訪れる。謎の自殺を遂げた前任者の代理として赴任してきたのである。ある日、海岸を散歩していたニコラスはT・S・エリオットの詩集を拾う。それがきっかけで出会ったコンチス(アンソニー・クイン)は豪邸に住む、自称霊能者だ。屋敷の中には元恋人が愛用していたペーパーウェイトがあった。ここから先は、あらすじを書いても無意味であろう。難解で入り組んだ物語の中で惑わされ続ける主人公、ここは実は精神病院で治療の一環だと言われたり、昔は村長で、ナチスから村人たちを守れなかったことを悔やんでいるコンチスの過去なども明らかにされるが、すべてが映画の撮影だとも言われる。見ている側もよく分からないけど、ファウルズの原作を作り手側もよく分からなくて撮っているのではないか、といった感じすら覚えるような映画だ。そうした幻想的なシーンに登場するのが死んだはずの女リリー。私は高校時代からキャンディス・バーゲンのファンで、実は「弾丸を噛め」のような役柄が好きだったりするのだが、この映画の彼女は幻想的な存在をうまく演じていて素敵である。もう1人、現実の女性として主人公の元恋人アンヌ(アンナ・カリーナ)が登場する。優柔不断な主人公が束縛から逃れるように残酷な別れ方をしてギリシャにやってくるのだが、しばしば登場する彼女もこの映画に不可欠の存在だ。頭の中がこんがらがったままでエンディングを迎えるような作品だが、日本で劇場公開されなくても不評でも、私には理解できなくても、それでも何か不思議で印象に残る映画なんだなぁ。 怪奇と幻想の島 [DVD] 1,533円 Amazon

  • 08Dec
    • レッド・ティアーズ

      今日の映画は、倉田保昭さんの出演100本目を記念する、倉田さん企画・製作の「レッド・ティアーズ」(2011年、辻本貴則監督)である。いつもは画像を10点程度までに絞っているんだけど、今回はインパクトあり過ぎてまったく絞り切れなかった。連続猟奇殺人事件を追う刑事の活躍を描くサスペンスアクションではあるが、R15+指定も納得のグロテスクな映画でもある。頭部を切断された遺体が相次いで発見される。この事件を追う若い刑事の鉄雄に石垣佑麿。警察署とは思えない安っぽいセットに、早くも低予算のVシネマ的な雰囲気を感じ取り、まったく期待せずに見ていた私だけど、まあその予想は見事に裏切られました。鉄雄は、証拠写真に写っていた若い女性、紗代子(加藤夏希)を訪ね、恋心を抱く。母親(山口果林)と二人暮らしをしている紗代子には誰にも言えない秘密があり、悲しい運命を背負っていた。……というのも、これが母親の姿だったから。死体はその場で折り畳んでトランクに入れて運ぶ。いやあ、驚愕の真相が明かされてからは、それこそ畳みかけるようなテンポで攻めまくります。自宅はこれだもんね。山口果林もこんな役はやったことないだろうな。これだからね。さらに、これだもんね。見ている側は笑う余裕もなく圧倒され続けます。倉田さんたちは、この化け物というか吸血鬼というかを抹殺するために特別に設置されたチームで極秘任務を遂行していたわけである。ついに母親は殺されるが、それに怒ったのが娘。鉄雄と喫茶店でデートしているときの紗代子はこんな感じなんだけど、かくも豹変する。加藤夏希、凄いです。楽しんでやってるのかどうかは知らないけど。このくらいでは死にはしない。こんな折り畳んだ姿で飛んでくる。予想もしないアイデアで来ますな。紗代子を愛してしまったが故に彼女を守ろうと、鉄雄は上司の倉田さんを轢き殺そうとするが、さすがです、片手で車を止めちゃいます。こうやって書いていると荒唐無稽に見えるけど、本気なんです。この2人も迫真の演技です。倉田さんにしてもジミー・ウォングにしても、どんな設定、どんな役柄でも常に気合いを入れて演じていて、その熱意や真剣さが伝わってくるんだよなぁ。このほかの出演者に、森田彩華やアクションシーンで活躍する倉田プロモーションの中村浩二など。倉田さんも、もう若くないので昔のような素敵なアクションは見られないけど、それがちっとも不満に感じられないのは、アクション映画への情熱のようなものが伝わるからなんだろうなと思う。 レッド・ティアーズ【DVD】 5,076円 Amazon <img alt=" <初回生産限定>倉田保昭・グレートセレクション【DVD】 17,496円 Amazon