今日は、コンプトン・ベネットとアンドルー・マートンが監督した「キング・ソロモン」(1950年、King Solomon's Mines)をご紹介したい。学生時代、「洞窟の女王」を読んで夢中になったヘンリー・ライダー・ハガードが原作で、ロバート・スティーヴンソン監督の1937年作品に続く2度目の映画化。その後も「ソロモン王の宝庫」(1958年)、「ロマンシング・アドベンチャー/キング・ソロモンの秘宝」(1985年)など、映画やTVMになっている。

 

アフリカ随一のガイド、アラン(ステュワート・グレンジャー)のもとに、ソロモン王の財宝を追って行方不明になった夫の探索を依頼する妻が訪れ、冒険の旅に出かけるというアドベンチャーロマン。

 

夫を探したいという妻の兄のジョン(リチャード・カールソン)の依頼を最初はきっぱりと断ったアランは、

 

妻のエリザベス(デボラ・カー)にも、人跡まれな蛮地への旅は素人には危険で無理だと伝えるが、高額の礼金を提示され渋々引き受ける。86年のリメイクではこの役をシャロン・ストーンが演じてます。

 

アラン、エリザベス、ジョンは原住民を引き連れて蛮地探検へと出向く。過酷で危険な旅のはずだが、自然の猛威を十分伝えようとすれば2時間の尺は必要となるところ、そのあたりはあっさり。また、現地でちゃんとロケをしていて、野生の動物も多く画面に登場してリアリティはあるが、何となくほのぼのとしていて襲撃される緊張感はない。

 

蕃族の餌食にされかかった集落にいた白人にヒューゴ・ハース。

 

いよいよ、目的地が近づくと同行していた原住民たちは逃げ出してしまうが、アンボパという男が名乗り出て旅の仲間に加わる。

 

巨人族ワトシの集落に着き、実はアンボパが正統の王であることが判明する。王位を奪った男との対決などが描かれる。

 

クライマックスではソロモン王の洞窟での財宝発見や退路を断たれてからの脱出などが描かれる。道中、反りが合わず、ずっといがみあっていたアランとエリザベスが、幾度の危険にともに潜り抜けるうちに愛情が芽生えるあたりはお約束だが、前述したように自然の猛威も蛮地の部族の襲撃なども平板に描かれているため、全般的に盛り上がりに欠ける。題材は面白いんだけど、どう考えても演出力不足としか言いようがない一作であった。

H・R・ハガードの原作はエドガー・ライス・バローズの原作より映画化が難しいのだろうか。