また古い映画の紹介に戻ります。今日はジョージ・スティーヴンス監督の「ガンガ・ディン」(1939年、GUNGA DIN)を紹介したい。85年も前の映画です。

 

タイトルバックの丸を巨大なドラに見立て、それを打ち鳴らすたびに波紋とともに入れ替わるのが面白い。

 

19世紀末のイギリス領インド。映画は、西北国境の匪賊を退治する英国駐屯軍の3人の軍曹の活躍から始まる。彼らは殺人カルト集団だったが、目を見張る強さで彼らをやっつけていくのが、

 

カッター(ケイリー・グラント)、

 

マクチェスニー(ヴィクター・マクラグレン)。アンドリュー・V・マクラグレンのお父さんですね。

 

そして、バランタイン(ダグラス・フェアバンクス・Jr)。彼はあとわずかで兵役満期となり、結婚する予定になっている。

 

そのため殺人カルト集団の襲撃に備えて偵察に向かう際には、ヒギンプウザム(ロバート・クート)が代役を務める。

 

タイトルにもなっているガンガ・ディン(サム・ジャッフェ)は、軍のために水運びをするインド人の従者だが、兵隊になることに憧れている。

 

カッターは、彼から埋もれた財宝の話を聞き、2人で黄金の寺院を探し当てるが、

 

そこは、陰母神カーリを崇めるカルト集団の本拠だった。カッターは捕らえられ、ガンガ・ディンが屯営に戻って急を告げる。

 

仲間を救出しに行きたいバランタインは、婚約者を説き伏せる。映画の内容が内容だけに、せっかくの紅一点だがジョーン・フォンテインの出番は短い。

 

ガンガ・ディンから敵の数も知らされず、カッターを助けに行った軍曹たちは敵の大群に囲まれてすぐに捕虜になってしまう。

 

隙を狙って首領を人質に取り、塔の上に避難するが、敵は守備隊が駆けつけたら全滅させようと待機していて、それを防ぐ方法もない。

 

重傷を負ったガンガ・ディンが、塔の頂上によじ登ってラッパを高らかに吹いて守備隊に危険を知らせることで、軍曹たちは命を救われる。エンディングで、守備隊本部の追悼式で従軍詩人キプリングの詩が読み上げられるが、この映画は、キプリングの詩『ガンガディン』をモチーフにしたものらしい。

 

こうして書くとシリアスなドラマに見えるが、映画はコミカルなシーンも多く、もともとコメディ出身らしいケイリー・グラントをはじめ、主役の3人とも喜劇タッチのアクションを見事にこなしている。本作で、ジョセフ・H・オーガストが1939年のアカデミー賞撮影賞(白黒) にノミネートされている。