今日ご紹介するのは、「危険な場所で」(1951年、ON DANGEROUS GROUND)である。監督は数々の佳作を世に送り出したニコラス・レイ。

 

主人公は、ニューヨーク市警の殺人課刑事ジム(ロバート・ライアン)。堅物で協調性がなく、捜査のやり方もハードで、孤立しがちな存在だ。

 

同じ班の仲間にチャールズ・ケンパー(左)とアンソニー・ロス(右)。

 

映画の前半はニューヨークでの日々を追う。すぐカッとなって自分を抑えられず、容疑者を乱暴に扱う様子が描かれる。

 

そんなジムに対し、上司であるブラウリー警部(エド・ベグリー)は、郊外の山中の静かな町で起きた少女殺害事件の捜査に協力するよう命じる。

 

少女の父親にウォード・ボンド、母親にオリーヴ・ケリー、妹にパトリシア・プレストなど。

 

被害者の父親は犯人を見つけ次第殺害しようと雪の中を捜索し、ジムはそれに同行する形となる。

 

彼らが辿り着いた一軒家に住んでいたのがメアリー(アイダ・ルピノ)。盲目のメアリーにジムは心惹かれる。ジムこそ、「Love is Blind」だ。

 

実は彼女の弟が少女を殺害した犯人であった。しかし、ジムとブレントに追いつめられ、山頂から転落死してしまう。

 

このほかの出演者にクレオ・ムーアなど。

 

ニューヨークでの荒んだ刑事生活ですっかり自分らしさ・人間らしさを失い、夢や生きがいもない孤独な主人公が、田舎で暮らす盲目の女性に会って自分を取り戻す光を見出す、そんな映画だけに、単に犯人を追う刑事ものとして観ると実につまらなくて退屈するから、評価の分かれる映画だろうな。日本での劇場公開も40年近くされなかったようだ。このちょっと異色の作風を際立たせているのがバーナード・ハーマンの音楽で、大自然の映像と一見ミスマッチに思えるハーマンのスコアが素晴らしい。

 

殺人を犯した少年も、娘の命を奪われ復讐心に燃える父親も、何か病んでいる。そんな中、雪のように白い心を持つ盲目女性を演じたアイダ・ルピノの演技が光る作品だ。