若い頃から記者や編集者をしていたため、徹夜も多く、完全な夜型人間だったが、寄る年波か、最近は22時くらいには体力・気力が尽きて、早めに就寝して朝は無意味なほど早く目が覚める。「休みの日くらい昼まで寝ていたい」と思っていたあの頃が懐かしい。寝るのにも体力は必要なのです。

 

というわけで、今日は「夜の人々」(1948年)である(やっぱりイントロの文章、要らないかもなぁ…)。1930年代のアメリカ南部を舞台に、犯罪に手を染めた若者と少女との出会い、逃避行を描く。「理由なき反抗」、「北京の55日」などのニコラス・レイ監督作品の佳作。これがデビュー作だというのだから、凄い。

 

ボウイを演じたのは、ファーリー・グレンジャー。キーチ役にはキャシー・オドンネル。1970年代には「ボウイ&キーチ」としてR・アルトマン監督でリメイクされているが、ボウイはキース・キャラダインが演じている。

 

銀行強盗の仲間にジェイ・C・フリッペン、

 

同じく片目のチカモー役のハワード・ダ・シルヴァ

 

ヘレン・クレイグなどがストーリーに絡んでくる。

 

不況下のアメリカで貧困にあえぐ人々。犯罪に手を染め、隠れ家に身を潜めるボウイとそれに手を貸す父親と暮らすキーチからは、退廃的な雰囲気が漂っている。その中で、少年への恋心を生きるよりどころにして、彼と新しく生き直そうとする少女役のキャシー・オドンネルが素晴らしい。

 

逃避行中のバスを降りて、わずか20ドルの簡易結婚式を偽名で挙げる2人。厳しいながらも2人の愛を温かく見守るような演出が観る者の胸を打つ。数分で結婚式を執り行う式場の男にイアン・ウォルフ。

 

逃避行は若い2人にはまさに新婚旅行のようだ。疲れ切った2人の表情が次第に輝いてくる。ささやかな幸せを全身で感じるキーチの変貌ぶりが見事である。

 

追われながらも愛を育み、つかの間の幸せを噛みしめる2人に明るい結末が待っているわけではないのだが、短い間でも「いいじゃないの幸せならば」(by 佐良直美、若い人には分からなかったら、ごめんなさい)。

 

新しく生き直すための逃避行、なんていうのは、人生の4分の3を過ぎた年齢になるといろいろ考えるものがありますが、私だってまだまだ頑張るぞ!(カラ元気)