今日ご紹介するのは、エンツォ・G・カスティラリ監督の「七人の特命隊」(1968年、AMMAZZALI TUTTI E TORNA SOLO)である。つい手が伸びてしまうようなタイトルとDVDパッケージ。でも、イタリア・スペイン合作のマカロニウエスタンなので、期待もB級に留めながら観ました。

 

舞台は南北戦争。敗色の濃い南軍を率いるフッド将軍は、北軍の砦に潜入して軍用金の強奪を計画する。

 

その大役を担ったのが悪党のクライド。チャック・コナーズは適役だなぁ。彼が集めたのが犯罪者や悪党たちで、

 

早撃ちの名人(フランコ・チッティ)、

 

 

短刀投げの達人(ケン・ウッド(ジョヴァンニ・チアンフリグリア))、

 

ダイナマイトのプロ(レオ・アンショリス)、

 

身軽だが冷酷な殺し屋キッド(アルベルト・デラクア)、

 

怪力ボガード(ヘラクレス・コルテス)、

 

実は主人公のクライドは、フッド将軍から「作戦を終えたら、残る5人は皆殺しにして一人で帰ってこい」と命令されていたんである。これがこのままこの映画のタイトルになっている(ちなみに英題は「Kill Them All and Come Back Alone」)。というわけで、7人目はお目付け役として彼らの後ろを付いてくる南軍のリンチ大尉(フランク・ウォルフ)というわけだ。

 

1時間40分程度のマカロニウェスタンなので、登場人物1人1人の個性をクローズアップさせる演出も、時間的余裕もないが、その中では、何人もの敵を相手に軽々と倒していく怪力ボガードが印象に残る。知らない俳優だなと思ったら、なんと彼はプロレスラーで、ヘラクレス・コルテスはリングネームであった。この映画の公開から数年後に39歳の若さで亡くなっているが、その時点でAWA世界タッグ王座の共同保持者だったそうである。

 

北軍の砦では銃撃戦もあれば、派手なアクションもあるが、とにかくスピーディで、この当時の映画としてはテンポよく物語が進んでいく。

 

しかも、南軍の大尉が突然北軍の制服を来て現れたり、主人公が仲間を裏切って1人軍用金を持って逃げるなど、飽きさせない工夫を随所に凝らしている。

 

裏切者同士が協力して敵と闘うシーンもある。アメリカの西部劇と違って、正義も友情も信頼も一切描かれない。そもそも全員が悪党だというのもあるけど、ここまで味方を平気で裏切ったり殺したりできるのは、マカロニウエスタンならではだ。「何なんだよ、この展開は」と思いながらも最後まで楽しめました。

 

音楽はフランチェスコ・デ・マージ。実は高校のとき、輸入盤サントラレコードを買って、他のイタリアの映画音楽作曲家にない音作りが好きになってしまった。サントラばかり聴いてきて、映画は40年以上遅れてようやく観ることができた次第。女優が一切出てこない男臭く、とにかく理屈抜きで見せる一作でした。