今日ご紹介するのは、丁善璽監督の1972年作品「秋瑾」(Dragon Fist)である。パッケージを見ると原名は「驚天動地」(The Fury of King Boxer)となっており、このほかにも「大漢英豪」という別題がある。

 

清朝末期の混乱の中で活躍した若い女性革命家の秋瑾(しゅうきん、1875~1907年)の半生を描いたアクションドラマだ。秋瑾を演じたのは郭小莊。

 

実物はどうだっか知らないが、アクション作品ということもあって、映画の中での秋瑾は強い。実際に武術や射撃も身に付けたようである。

 

ここで、王羽(ジミー・ウォング)が登場。秋瑾を文字通り命を懸けて支援する革命家の徐錫麟を演じ、ヒロインの活躍を盛り上げる。というより、主役のような存在感である。

 

秋瑾の結婚相手、豪商の長男である王廷鈞に江明。彼との間に2人の子を授かりながらも、日本へ留学、孫文の中国革命同盟会へ参加、帰国後も革命運動に身を捧げる秋瑾と夫との溝は埋まることはない。

 

政府の高官に易原。後ろにいるのは薛漢ですね。

 

秋瑾をことごとく邪魔する男に安平。

 

革命家の1人に山茅(サン・マオ)。公私ともにジミーさんの子分的存在だが、この映画でもジミーさんを助けて活躍する。常に迫真の演技を見せるのがジミーさんの好きなところなんだけど、山茅も負けず劣らずの大熱演である。

 

動乱の中で革命だけに生きた秋瑾だが、この映画で彼女が笑うシーンはここだけ。いかにシリアスな作りの映画かがお分かりであろう。なのに、

 

突如、「片腕ドラゴン」を思い出させるような各国の怪しい武道家たちが登場したりもする。いやぁ、びっくりです。

 

あってもなくてもよさそうなシーンだが、ここは理屈抜きにアクションを楽しむ時間ということでいい。

 

大勢の兵士と闘い、仲間が倒れていく中で、ジミーさんが斬られ、撃たれながら最後まで死力を尽くして戦って死んでいくシーンは、この映画の中でも最も印象に残る。

 

ジミーさん亡き後、郭小莊が一人、死闘を繰り広げるシーンが実は本当のクライマックスで、2回クライマックスのアクションが楽しめる作品となっている。

 

秋瑾が拘置されて、子供たちと面会するシーンなどもある。左の女性は秦蜜。

 

わずか31歳という若さで処刑された秋瑾は、自分の革命家としての過去をプレイバックする。「秋風秋雨人を愁殺す」の遺句のとおり、革命にのみ己あり、の人生だったようだ。秋瑾という人物を少しでも知ることができ、ジミーさんのアクションも見られてよかった。これで中国語字幕が理解できたらなぁ……。