今日ご紹介するのは、岡本喜八監督の「近頃なぜかチャールストン」(1981年)である。婦女暴行未遂で捕まった非行少年がブタ箱で出会ったのが、無銭飲食で入れられたシニアの集団。自分たちを独立国「ヤマタイ国」の国民と称する彼らとの奇妙な交流を描いた風刺たっぷりの不条理ドラマだ。

 

非行少年の小此木次郎に利重剛。彼と岡本喜八監督の共同脚本である。左は小此木家のお手伝いさんのタミ子を演じた新人の古館ゆき。

 

彼らと絡んでくるのが、定年退職目前のベテラン刑事(財津一郎)と

 

ドジばかり踏んでいる20代の若手刑事(本田博太郎)のコンビだ。

 

ヤマタイ国のメンバーも豪華かつ曲者ばかり。総理大臣の小沢栄太郎、内閣書記官長に岸田森、

 

千石規子は大蔵大臣(彼女の年金を頼りに全員が生活しているため)

 

このほか、今福将雄(外務大臣)、田中邦衛(陸軍大臣)、殿山泰司(文部大臣)、堺左千夫(通信大臣)。
 

ヤマタイ国は、蒸発中の次郎の父が彼らに無償で提供していた家で、母(小畠絹子)と長男の一郎(山崎義治)が立ち退きを迫っていた。

 

次郎の父に藤木悠。

 

このほか、関西から来た殺し屋に寺田農、

 

市会議員に平田昭彦、警察署長に滝田裕介、

 

その他、伊佐山ひろ子、光石研、速水典子など。

 

裸を見せるなど体当たりでベテランの役者たちを相手に熱演した古館ゆきが印象的だ。予算不足で、家の中のシーンでは監督の家を使ったという話もある。学生時代に映画館で観た「肉弾」や「吶喊」などと同様、岡本喜八ワールド全開の低予算ATG作品だ。いずれもブログでストーリーや感想を書きづらい映画ばかりで、とにかく観ていただくのが一番であろう。