今日ご紹介するのは、陳洪民監督の台湾武侠映画、「三鳳震武林」 (1968年、Vengeance of the Phoenix Sisters)である。50年ちょっと前のモノクロ作品で、この前年に作られた胡金銓(キン・フー)監督の名作「龍門客棧」(残酷ドラゴン 血斗竜門の宿)のオマージュとも言われているようだ。

 

ある夜、3人の男が、牢獄に入れられた恨みから彼らを捕らえた楊家の主に復讐し、妻とともに虐殺してしまう。まだ幼い3人の娘は使用人たちと一緒に無事逃げおおせたが、3人は散り散りになってしまう。

 

それから15年後。剣術を学び、父の仇を討とうとする長女の秀鳳役に楊麗花。

 

すぐ下の妹、青鳳を演じた柳青、

 

一番下の妹に金玫。 前半は3人が偶然再会し、姉妹で力を合わせて両親の仇を討つ決意をするまでが描かれる。長姉が最も剣術が達者で末妹はやや未熟という設定。

 

彼女たちが追う3人のうちの1人に易原。個人的にはこの映画の出演者で最も馴染みのある俳優だが、長姉に殺されてしまう。

 

残る2人は康明(右)と吳炳南で、特に康明は、長姉が師匠から「お前に倒せる相手ではない」と言われたほどの強敵である。

 

日本の古い時代劇を観ているような画がいい。マカロニウエスタンのテーマ曲がときどき流れなければもっといいんだけど。このような集団戦もあれば、

 

最も頼りになる長女が三女と共に捕らえられて窮地に陥り、次女が果敢に2人を助けるシーンなどもある。

 

クライマックスでは3人が力を合わせて強敵と闘う。

 

そのほかの出演者に、葛小寶、林琳、金塗など。

 

物語の展開自体にわくわくさせられるわけでも、アクションにキレがあるわけでもないのだが、何となく清々しい作風なんである。そもそも、若い女性3人が主役というだけで、モノクロ画面も多少華やかになろうというものだ。彼女たちのくつろいだときの表情と、

 

闘うときの表情のギャップもいい。デジタル修復珍蔵版として台湾で発売されたDVDということもあり、こんなレベルの画質で観ることができたのもよかった。