毎年8月は暇を持て余しているんだけど、今年の8月は映画を数本しか見てなくて、ブログも長期間更新してなくて恐縮です。

 

さて、今日ご紹介するのは、ドナルド・シェビブ監督の「小さな贈り物 リトル・キッドナッパー」(1990年、カナダ)である。ニール・パターソンのこの脚本は、1953年に「The Kidnappers」というタイトルで映画化(フィリップ・リーコック監督)されていて、本作は40年近くを経て作られたTVムービーである。「小さな誘拐者」という邦題でTV放映はされている。

 

ボーア戦争で父親を亡くし孤児となった幼い兄弟(レオ・ウィットリーとチャールズ・ミラー)がスコットランドから父の生家があるカナダの田舎を訪れる。

 

彼らを出迎えたのは、息子を戦争で失くし、ボーア人(オランダ系移民)に敵意をむき出しにする祖父。頑固で村人からも疎んじられている人物をチャールトン・ヘストンが演じる。

 

娘は、ボーア人の息子と恋仲になるも、父親からは当然許されるわけもない。リー・ピンセントは、何の楽しみも見いだせない娘を終始、沈んだ表情や暗い笑顔で表現し、そんな家族をどうすることもできない母親をパトリシア・ゲイジが演じている。TVムービーでの活躍が主体の、日本ではなじみの薄い俳優陣だが、その地味さがまたいい雰囲気だ。

 

海岸で赤ん坊を拾って、秘密基地でひそかに育てようとする兄弟。これが大事件に繋がる。

 

大西洋に面するカナダ・ノバスコシアの豊かで美しい自然をバックに物語が展開する。とりたてて演出の上手さや俳優たちの個性が印象に残るわけでもないのだが、

 

幼い子供たちの好演もあって、心温まる小品となっている。

 

チャールトン・ヘストンが演じた祖父は、以前、多くの作品でヒーローとして活躍した面影も全然なくて、「いやぁ、随分老けてしまったものだな」と思わせるものがあるが、よく考えたら、このときまだ60代で、亡くなるのは18年も後の話。すっかり騙されました。