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今日ご紹介するのは、アンソニー・マン監督の「復讐の荒野」(1950年、THE FURIES)である。日本では劇場未公開で、この邦題はTV放映時のタイトルだ。




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1870年代のニューメキシコ。牧場など広大な土地と圧倒的な権力を持ち、向かうところ敵なしの高慢・尊大なTCをウォルター・ヒューストン。息子のジョン・ヒューストンも大好きな監督だが、父親も素晴らしい俳優だなぁ。




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その娘をバーバラ・スタンウィックが演じる。勝気なじゃじゃ馬娘といったらこの人だもんね。

冒頭で西部劇と書かなかったのは、この親子の愛憎(いや、憎しみしかないな)を描いたドラマだからである。原作のニーヴェン・ブッシュは「平原の待伏せ」 (1953)でも触れたが、個人的にはちょっと好みと異なる話を書く人のようで、本作などは暗くて陰湿な展開で「娯楽としての「西部劇を見た」という爽快感はまったく期待できない。



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TCの使用人(ギルバート・ローランド)と幼馴染で親しい娘は、彼らを追い出そうとする父親に反発する。



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さらに、父親が財産目当てにしか見えない婦人(ジュディット・アンダーソン)との結婚を考え、経営権も娘ではなく彼女に一任しようとしていることを知って、彼女を刃物で刺す。父親への愛憎やファザーコンプレックスがこれでもかというほど描かれる。



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TCに土地を収奪された一家の息子(ウェンデル・コリー)とこの家とは当然いい関係にはないが、娘は父親が嫌うこの男と恋仲になり、一緒になって父親への復讐を企てる。



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銃撃やアクションが見られるのは、砦に立てこもった使用人一家との闘いのシーンくらいかな。



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父娘の愛と憎しみ、葛藤を前面に押し出した人間ドラマだ。好き嫌いは分かれると思うが、西部劇好きな人が「アンソニー・マンの西部劇だ」と思って観ると、とにかく異色作だと思うのは間違いないでだろう。


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