先日、都内の大学病院での大きな検査を受けたばかりだが、明日は地元の病院。地域医療連携ということで、日頃の血液凝固や心電図などの検査は地元で済ませている。都内の病院のほうはすべて時間通りに滞りなく進められるのに対し、地元の病院のほうは驚くほど混むんである。午前中の診療は9時受付だが、9時過ぎてのんびり行こうものなら診察は3時間後だったりする。そのため、7時から発行される整理券を求めて、かなり朝早くから皆さん並んでます。早朝から並ぶか長時間待ち続けるか、どちらを選ぶかはともかく、いずれも体力勝負。元気な病人でなければ到底、ここの患者は務まりません。
さて、今日ご紹介するのは、王羽(ジミー・ウォング)監督・主演の香港カンフー映画、「吼えろ！ドラゴン 起て！ジャガー」(1972年、The Chinese Boxer)である。中国拳法道場師範に恨みを持つ男が日本人の空手家や剣道家を引き連れて道場を潰そうとする。師範も殺され、1人残った若い弟子の復讐の物語だ。例によって敵は悪い日本人だが、半日映画というよりは中国拳法と日本空手の対決に重きが置かれている。。
師範には房勉(ファン・ミエン)、その右は、弟子の王光と裕鄭雷。
道場に恨みを持つ男に趙雄(チャオ・シュン)、後ろにいるのは日本人の剣道家を演じた董力と王青だ。雪の中での殺陣は日本の時代劇を観るかのようだ。
日本人の空手家のボス、北島を演じるのは羅烈（ロー・リエ)。彼の悪役はかなりキャラが作られていて、演技にも力が入ってます。登場するや否や、茶碗を握り潰し、
怒りのあまり高く飛び上がって天井を突き抜けて屋根までぶち抜いてしまう、という…(笑)。まさに監督のジミーさんのサービス精神なんである。
ロー・リエの弟子、石原には陳星(チェン・シン)、田中には王鍾(ウォン・チュン)。
ヒロインには、師範の娘を演じた汪萍(ワン・ピン)。
2人のロマンスもうまく散りばめている。
腕の立つ日本人空手家たちに勝つために厳しい特訓を経て、秘かに舞い戻るジミーさん。でも、敵に顔を悟られないようにするのがマスクだけ、というのが凄い。これじゃ単に風邪をひいただけにしか見えないでしょ。
ともあれ、マスクのままの大立ち回りも用意される。一対一だけでなくこういうアクションも取り入れて娯楽映画としていろいろ楽しませようというのがジミーさんのサービス精神だ。ところで、この敵の集団の中に
陳觀泰(チェン・クアンタイ)を見つけた。わずか数秒でやられちゃうんだけど。ほかにも、馮克安、袁和平、白彪、楊威など、いろんな俳優が出てます。
悪人たちに襲われた夫(翟諾)を探して趙雄の元を訪れた妻(江玲)が、彼に犯されるのも、映画になくてもいいが、ジミーさんなりのサービスシーンと言えるだろう。
江玲が脱ぐわけはなく、ヌード吹き替えですが、このシーンの撮り方が実にユニーク。
雪山での決斗シーンもなかなか楽しい。このあたりは、マカロニウエスタンも日本の時代劇にも言えるが、それまでの流れでうまく場を盛り上げて、わくわくさせる演出であれば、展開は分かっていても十分楽しめる。
香港カンフー映画の黎明期にこれだけの作品を作ったジミーさんの情熱をひしひしと感じる一作だ。娯楽作品の何たるかを改めて実感させられた。
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