今日ご紹介するのは、「黄金」や「アフリカの女王」などを撮って大活躍していた40代のジョン・ヒューストン監督が撮った「勇者の赤いバッヂ」(1950年)である。舞台は南北戦争。初めての実戦に怯え、恐怖のあまり戦闘中に逃亡する若い兵士が、自分の臆病さを恥じ、勇敢に戦うまでを描いたドラマだ。


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原作となった「赤い武功章」は、1894年にまだ24歳のスティーブン・グレインが書いた短編小説で、この作品で彼は作家としての地位を確立する。レッド・バッヂとは、名誉の負傷を指している。



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1863年、北軍304連隊は来る日も来る日も演習に明け暮れていたが、ある日突然、出撃命令が下る。



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多くの兵士たちが出撃を喜ぶ中、唯一、若い新兵のヘンリーは初めての実践に怯えきっていた。それを必死で隠し、強がりばかり言う主人公を演じたのが、後に西部劇で活躍するようになるオーディ・マーフィだ。第二次大戦で20を超える勲章に輝き、彼の自伝に基づいた映画「地獄の戦線」も作られているほど。戦争の大英雄である彼を敢えて臆病者として出演させるというのが、実にユニークだ。映画の中でヘンリーと友情が描かれる戦友のトム役にはビル・モールディン。こちらはまったく聞いたことのない俳優です。



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逃げる途中で北軍の傷病兵たちの列に遭遇したヘンリーは、自分の連隊の仲間、ジムを見つける。彼は最後の気力を振り絞って丘に登り、息絶える。



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連隊に戻る決意をしたヘンリーは、旗手として先頭に立って敵に立ち向かい、仲間からも将軍からもその勇気を称賛される。銃剣を担いだ戦闘シーンが中心で、スケールこそ大きくないものの、敵味方が接近し、いつ死んでもおかしくない状況下での戦いだけに、臆病とか卑怯といったキーワードも生々しく感じられる内容となっている。



撮影のハロルド・ロッソン、音楽のプロニスロー・ケーパーもいいけど、やっぱり、ジョン・ヒューストンはいいなぁと思ってしまう。モノクロながらメリハリの効いた映像は60年前の作品とは思えないものがあるし、最近は無駄に長い映画も少なくない中、この作品の69分という短さも素晴らしい。



ジョン・ヒューストン、最近見てなかったけど、ほかの作品もまた見たくなってきたなあ。



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