嫌われ松子の一生 通常版 [DVD]/中谷美紀,瑛太,伊勢谷友介
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今日の映画は中島哲也監督の「嫌われ松子の一生」(2006年)である。同じ年にTBSでドラマシリーズ化もされている。


嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)/山田 宗樹
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私は以前原作を読んでいる。すごい勢いでページを捲って読んだあのときの快感を引きずったまま映画を見たわけで、やはり原作だけでやめときゃよかったかなという気持ちも少しあります。


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松子の生涯を演じたのは中谷美紀。全力投球としか言いようがない。ちなみに、ドラマのほうは内山理名が演じた。


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松子の死後、甥の笙(瑛太)が彼女のアパートの後片付けをしながら、松子という一人の女の壮絶な生き様を知る、という設定もおおよそのストーリー展開も原作どおりである。


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しかし、暗く重苦しい原作とは打って変わって、映画はカラフルな映像に加え、ミュージカル仕立ての明るい雰囲気を盛り込む。ひょんなことから人生の坂道を転げ落ち続ける悲劇のヒロインを決してシリアスに偏ることなく描いている。ただ、「下妻物語」で印象的だった独自の色彩表現は、ここでは今一つの感もある。


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中学教師から一転、ソープ嬢、殺人による服役など、波乱万丈の人生を歩みながら逞しさを増す主人公を演じた中谷美紀が実にチャレンジャブル。その捨て身の演技が良くも悪くもこの映画の最大の見どころだろうか。


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松子と刑務所で知り合い、その後ストリッパー、AV女優、事業家へと転身するめぐみ(黒沢あすか)との友情も描かれる。このほか、松子の家族に香川照之、市川実日子、柄本明、彼女の人生に関わる男たちに伊勢谷友介、宮藤官九郎、荒川良々らが登場する。


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このほか、多くのタレントや芸人などが顔見せ程度の出演をしているのが、いかにも「まあ、原作とは違った感覚で気楽に見てよ」と言われているようではある。登場人物が見ているTVの中だけで登場する片平なぎさには笑えるが、これも旺盛なサービス精神の一環か。


好き嫌いは別として、隅々まで行き届いた演出のおかげで、先に原作を読んでいてもそれなりに引き付けられるのだけど、ラスト10分のファンタジックなまとめ方はあまりにもひどい。嫌悪感を催し、我慢できずエンドロールまで早送りしてしまった。