足の腫れと痛みは「一気に治さないと治らない」という医師に、「三連休も続けて治療します。日曜と月曜は病院がお休みだからとにかく総合受付に行け」と言われた。行ってみると、総合受付に電気が灯っているだけであとは真っ暗。内科も閉まっていて真っ暗。「整形外科の処置で来ました」というと、ちゃんと資料が用意されていて、「外科の待合室で待ってください」と言われた。暗い中、待っている人は10人弱。ここに小児科や皮膚科の応急処置の人が集結しているらしい。ほどなく診察室に呼ばれ、薬と包帯を取り替え、別室で点滴を30分受けて帰ってきた。毎日の点滴はいやだし、整形外科でもらう薬がメチャクチャ強烈で、頭痛や下痢はするわ、とにかくだるい。なのに副作用として「体温低下」があり、私は週末からずっと平熱である。たまに薬がよく効いているときは35.9度とかだったりして、なんか天国のようである。医師に「1カ月半ぶりの平熱です」と報告すると、そりゃ糠喜びだ、と言われたけど(笑)。


さて、今日の映画はニコラス・レイ監督の「キング・オブ・キングス」(1962年)。1927年のセシル・B・デミル作品のリメイクである。「ベン・ハー」、「エル・シド」、「ローマ帝国の滅亡」など他の史劇に比べて知名度も評価も低いのは、この映画がイエス・キリスト伝だからに他ならないが、私はこの映画はとてもいい作品だと思っていて、久しぶりに見て感動した。


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イエス・キリストを演じるのは、先日紹介したジョン・ウェインの「捜索者」に出ていたジェフリー・ハンター。キリストの生涯を描いた3時間の大作で、過剰な演技を一切見せることなく、眼で演技しているかのような迫力で、重要な役を見事に演じている。


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ヨハネにロバート・ライアンというのも意外だったが、この映画では唯一のスターである彼の存在感はさすがに素晴らしい。


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山上の垂訓。スペインのとある村に5,000人を集め、その衣装づくりだけで1年かかったという。このあたりのスケールは当時の史劇映画ならでは、という感じ。映画として楽しく、見応えのあるシーンだ。


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最後の晩餐からゴルゴダの丘での磔までが描かれる。この作品に好感が持てるのは、イエス・キリストのPR映画になっていないことで、わざとらしさがまったくないんである。また、ニコラス・レイが意識してそうしたのかどうかは分からないが、全体的に地味で抑制が利いた演出は、3時間を疲れず画面に釘付けにさせる要因ともなっていると思われる。また、完璧というべきだろうか、オーソン・ウェルズの抑えた感じのナレーションが素晴らしく、相乗効果を挙げている。ドラマチックな展開を期待すると裏切られるが、むしろ淡々とイエス・キリストを描く中から、観る側にじわじわと感動のようなものを与えてくれる佳作である。