昨日の疲れを残したまま取材へ出向く。新宿に着いてからレコーダーを忘れてきたのに気づいた。「いいや、今日は録音しなくても。初心に返ってしっかりメモをとろう」と思い直し、訪問先に行くと、先方の都合で取材時間が30分しかないという。うわ、これで2ページ書くのは大変だ。


昨日の日記に書いたとおり、教育ローンがダメになったので、やりくりしてとりあえず次男の学費だけ入金。初年度138万円は、長男のときより高い。このほか、会費として同窓会が3万円、父兄会5万円だったかの振込用紙が入っていた。これも任意でなく義務化されているんだろうか。とにかく金がかかる。


そういえば、ついに円高も1ドル100円を割り込んだ。よく考えたら、私はアメリカのクライアントと年間契約をしているんである。今年は確か1ドル120円台で日本円をもらっているが、もしこれが100円になると収入が約2割減ることになり、これは実に大きな問題である。


フリック・ストーリー


ドルに関連した映画と言えば、ロバート・レッドフォードの「コンドル」を思い出すが、タイトルだけで中身をよく覚えていないので、当時広島の映画館で同時上映された「フリック・ストーリー」を紹介したい。


こちらはアラン・ドロンの主演作である。舞台は第二次世界大戦終了後まもないフランス。凶悪な犯罪者と彼を逮捕せんと執念深い捜査を続ける刑事ボルニッシュを描いた、実話をベースにした映画。ジャン=ルイ・トランティニャンが冷酷な凶悪犯を実にクールに演じている。彼の演技でドロンが霞んだとも言われたが、ドロンもなかなか渋くていいじゃん。個人的にはドロン出演作の中でも印象的な一作である。


もう1人、忘れてならないのが、クロディーヌ・オージェである。彼女はドロンの妻として登場するが、映画の後半では凶悪犯逮捕にも協力する。凶悪犯が食事をする小さなレストランにドロンたちが入って逮捕するチャンスをうかがうシーンはこの映画の一番の盛り上がりだ。オージェがレストランにあるピアノを弾くシーンで、トランティニャンがピアノのそばまで寄ってきて、「お上手ですね」と会話を交わす。冷酷で無表情の凶悪犯が、このとき初めて笑顔を見せる、という演出が心憎い。地味ではあるが、非常に繊細でいい映画だと思う。


この映画に出てくるクロディーヌ・オージェの使い方は非常にうまい。また、彼女があまりにも魅力的で、当時高校生だった私は、フランスまでファンレターを出したんである。いやはや、私も若かった。



そういう意味でも、フリック・ストーリーは思い入れのある映画なんである。